ウクライナ戦争:人道的悲劇はいかにして世界的な飢餓の危機を深めたか
ストーリー | 2023 年 2 月 24 日
ウクライナでは、戦火の中、多くの人が避難を余儀なくされ、インフラの破壊やサプライチェーンの寸断によって国の経済に大きな影響が出ています。国連WFPの推計によると、3世帯に1世帯が十分な食料を確保できておらず、東部と南部の一部地域ではその数は2世帯に1世帯まで増加しています。
同国では、500万人以上の人びとが国内避難民となっており、800万人近くがヨーロッパで難民として生活しています。ウクライナ国内、特に前線に近い地域に残った人びとの多くは、仕事などの生計手段を失っています。避難先から帰還した人びとも、資金が底をついたり、家が瓦礫と化すなどして、生活再建に苦労しています。
戦争とインフラ破壊によるエネルギー危機、ウクライナ国内の食料生産とサプライチェーンを混乱させ、東部と南部の多くのコミュニティでは食料を安定的に手に入れることが難しい状況です。
国連WFPは、毎月300万人の人びとに、食料配布と現金支給を柔軟に組み合わせて支援を届けています。支援地域は多岐にわたり、前線近くの地域でも支援を行っています。
ウクライナと国境を接するモルドバには、女性や子ども、高齢者を中心にウクライナからの難民が推定9万8千人残っており、すでに脆弱なモルドバの経済に圧力をかけています。国連WFPは、国内の避難民受け入れセンターで温かい食事を提供するとともに、避難民を受け入れている家庭には現金を支給しています。
ウクライナは世界的な穀倉地帯のひとつで、戦争前は年間4億人を賄えるほどの食料を生産していました。戦争の影響で食料価格が高騰する中、食料支援を必要としている国々への供給が大幅に削減されています。国連WFPは黒海の港の再開を支援し、合意が成立してからは、ウクライナから深刻な食料不足に苦しむ国々に穀物を輸送するために24時間体制で活動しています。