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「この戦争は終わらせなければならない」ウクライナ危機から7カ月

この国とその穀物に依存する世界中の人々にとって、なぜ平和が最善の長期的解決策であるのか、WFP国連世界食糧計画(国連WFP)のコリーン・フライシャー地域局長がその理由を語ります。
, Peyvand Khorsandi

「私たちは皆、このような事態が起こらないことを願っていました。準備はしていたのですが、この規模は想定外でした。私たちにはこの国での展開拠点もなく、職員も、調達業者も、パートナーもいませんでした」と、フライシャー局長は語ります。

モルドバでウクライナ人難民と話すコリーヌ・フライシャー国連WFP地域局長。
モルドバでウクライナ人難民と話すコリーン・フライシャー国連WFP地域局長。Photo: WFP/Giulio d'Adamo

ウクライナ戦争が勃発した2月24日、コリーン・フライシャー国連WFP中東・北アフリカ・東欧地域局長は、デイビッド・ビーズリー国連WFP事務局長の任務に同行してイエメンに滞在していました。

「当時、私たちの大きな関心事はイエメンでした」と彼女は言います。ウクライナ戦争が始まる前から、イエメンでは未曾有の支援需要のある年となることが予想されていました。

国連WFPが対応する最大の人道的緊急事態の一つとして、イエメンに加えてウクライナが加わることになろうとは、誰も想像していませんでした。ウクライナでは約7カ月間で600万人以上が同国を離れ、同数の人々が国内避難民となっています。

「それでも戦争が始まって2週間で、200人のスタッフが活動を開始し、オフィス、倉庫、パートナー、そして活動拠点ができました」とフライシャー局長は言います。

紛争や気候変動の影響を受けている状況において、新型コロナウイルスが猛威を振るった2年間は、国連WFPが成し遂げてきた開発における進歩の多くが打ち砕かれた期間でした。

ウクライナのブチャで破壊状況を視察するデイビッド・ビーズリー国連WFP事務局長。
ウクライナのブチャで破壊状況を視察するデイビッド・ビーズリー国連WFP事務局長。Photo: WFP/Marco Frattini

ウクライナ戦争は、「破局的状況の中で起こった新たな破局」だと、ビーズリー事務局長は指摘します。

「私たちは穀物の50%をウクライナ・ロシア地域から調達しています」と、ビーズリー事務局長は、イエメンの首都サヌアの流通拠点で、食用油の瓶の列と穀物の袋に囲まれながら、動画ツイートを上げました。

「この戦争は、食料コストや石油・燃料などの輸送コストに劇的な影響を与えるでしょう。どれだけ悪化するかはだれにもわかりません。」

ビーズリー事務局長の予想は的中してしまいました。

黒海の主要な港が閉鎖され、ウクライナとロシアの穀物、植物油、その他の食品がサプライチェーンから事実上排除されたことで、世界中の食料システムが混乱しました。

食料、燃料、肥料の価格が高騰し、2021年の容赦ないコスト上昇に拍車がかかり、何百万人もの人びとが栄養不良に陥りました。

戦前、ウクライナは月に600万トンもの穀物を輸出していましたが、現在は月に150万トンにとどまっています。

これは、現在深刻な食料不安に直面している82カ国で3億4,500万人の人びとに影響を与えるものであり、記録的な飢餓の危機に直面している45カ国で最大5,000万人の人々に災いをもたらすものです。人道支援がなければ多くの人の生命が危機にさらされます。

国連WFPは、現在5大飢餓ホットスポットと呼ばれているアフガニスタン、エチオピア、ソマリア、南スーダン、イエメンにおいて、飢きんにより人命が奪われていることを懸念しています。

ウクライナ産の穀物を満載しイエメンに向かう国連WFPのチャーター船。
ウクライナ産の穀物を満載しイエメンに向かう国連WFPのチャーター船。 Photo: Ukraine Armed Forces/Nataliia Humeniuk 

7月27日に調印された「黒海穀物イニシアティブ」により、穀物を積んだ船が再びヨーロッパの「穀倉地帯」に入ることができるようになりました。

それから1カ月も経たないうちに、ジブチに向けた国連WFPのチャーター船がオデーサ州ユジニのピブデンニ港から、アフリカの角と呼ばれる地域で深刻化している干ばつへの対応の一環として、2万3,000トンの穀物を積んで出港しました。

事態は大きく進展しました。戦争が始まって1カ月後、国連WFPの支援はウクライナで100万人に届き、7月には290万人になりました。「これは、国連WFPの万全な緊急対応体制のおかげです」と語るのは、ウクライナ緊急対応局長に任命されたフライシャー氏です。

彼女はすぐさま現地入りしました。

「イエメンからカイロに戻り、夫に『また会おうね』と別れを告げました」と彼女は振り返ります。「それからジュネーブに行き、そこで調整をし、それからクラクフ(ポーランド)、モルドバ、そしてウクライナに入りました。」

「ウクライナ戦争の影響を劇的に感じることができました。物価が上がると、人々は家族のための食料を買えなくなります。しかし、この戦争が長引けば、食料をどう入手するかという問題だけでなく、食料を入手できるかどうかの問題に直面することになるでしょう。」とフライシャー局長は付け加えます。

政府や人道支援組織にとって、このような価格上昇は飢餓に対する対応を非常に困難なものにする、とフライシャー局長は指摘します。

「今、私たちは各地域で大規模な削減を行わなければなりません。私たちが進めている15の活動の多くで、人びとは1日の緊急配給の50パーセントしか受け取っていません。ですから、特にイエメンなどでは、飢餓がこれまでにない数字になることを非常に懸念しています。」と彼女は警告を発します。

「追加資金がなければ、飢きんが起こるでしょう」と彼女は付け加えます。

ウクライナのイルピンで行われた国連WFPによる食料配給の様子。
ウクライナのイルピンで行われた国連WFPによる食料配給の様子。Photo: 

Yurіj Sosa

さらに、気候変動が追い打ちをかけます。

「水不足は大きな問題です」とフライシャー局長は言います。「この地域には世界人口の6分の1が生活し、世界の淡水資源の1%が存在します。この地域の人びとは飢えに苦しむだけでなく、水不足にも直面しているのです。」

「戦争を終わらせることが重要です。終わらなければ、さらに多くの資金が必要になります。」と、彼女は将来を見据えつつ話します。

「市場が再び安定するためにはウクライナでの戦争を終わらせる必要があります」と彼女は付け加えます。「シリアで11年、イエメンで7年にわたって紛争が続いています。これ以上紛争を増やして、私たちを必要としている人々を増やすことはできません。」

国連WFPには紛争を終わらせることはできません。しかし、少なくとも、その影響を受けている人々が生きていくために必要な食料を確保することはできるのです。

 

支援を必要としている人との出会い

「私は2つの厳しい出会いを経験しました。」とフライシャー局長は語ります。「モルドバのキシナウでエレナという女性に会いました。彼女は、第一子を出産するために不確実で不安定な未来が待つウクライナの夫のもとに留まるか、それともウクライナを後にし、もうすぐ生まれる赤ちゃんのために最低限の安全、食料、住居を確保することを決断しなければならなかったのです。彼女が選んだのは2番目の選択で、それはどんな母親にとっても、特に初めての母親にとっては、とてもとてもつらい決断でした。」

フライシャー局長は続けます。「ドネツクからヴィニツィア(ウクライナ)に避難してきた少女が、政府の国内避難民登録センターで、家族と一緒に現金支援の登録をしていました。少女は家族を描いた絵を持っていました。」フライシャー局長は、少女が写真の中の男性を指差して言った次の言葉を忘れられません。『これは私のお父さんで、軍隊にいます。これは私の家で、私たちはこの家を出なければなりませんでした。お母さんが失業してしまったから、食べ物を買うお金がないからです』。 

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