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ハイチの現状

人道的危機が深まる中、飢餓がハイチの脆弱な人びとを襲っています。世界で最も高いレベルの食料不安を抱えるハイチの状況は、政情不安、ギャングによる暴力、深刻化する経済悪化に対する懸念、コレラの発生によってさらに深刻化しています。

ハイチの食料安全保障の状況は確実に悪化しており、飢餓状態にある人の数は2016年から3倍に増加しています。最新の報告によると、ハイチでは緊急の人道支援を必要とする人の数が増え続けており、490万人が急性食料不安に陥っています。これは、前回の分析と比較して20万人の増加です。特に、180万人近くが緊急レベルの飢餓に直面しており、迅速な支援を必要としています。

この1年間、特に2022年9月のロックダウン以降、ハイチ全土で治安状況が悪化しています。食料を必要とする人びとに支援を届けることもより難しくなっています。国連WFPハイチは、ギャングによる暴力の影響を受けている人に支援の手を差し伸べ、物流ルートを確保するために、アクセスユニットを設置しました。こうした取り組みにより、アクセスが困難な地域での食料安全保障は大きく改善されましたが、2022年の国連WFPの緊急活動は資金不足のため、当初の目標である120万人の60%にしか到達しませんでした。

国連WFPのハイチ緊急支援

緊急食料支援
国連WFPは緊急支援を通じて、脆弱な立場にある家庭へ無条件で食料と現金の支援を提供し、危機に対応するための備蓄および準備を確実に行っています。2022年、国連WFPは72万3000人を対象に、5400トンの食料、32万5000食の温かい食事、2,290万米ドルの現金支援を行いました。国連WFPは2023年、緊急レベルの食料不安(IPC4)に直面している147万人に、1万5200トンの食料と8,670万米ドルの現金で支援することを目指しています。
緊急時の備え
国連WFPは、緊急の食料支援のほか、物流や緊急通信などで政府を支援する準備を整えています。緊急時の食料備蓄は、危機に見舞われたにハイチの人びとの基本的な食料を届けるための重要な手段です。国連WFPは、あらかじめ全国に物資を配備しておくことで、突然発生する災害や危機に迅速に対応し、被災者のニーズを満たすとともに、必要に応じて数週間後に追加支援を計画・準備することができます。この備蓄は、米、豆、植物油などで、最大で30万人分の1カ月間の生活を支えることができます。
ロジスティクス
国連WFPは、ハイチ国内に、トラック25台、ヘリコプター2機、飛行機1機を保有しています。また、他の国連機関、NGO、政府機関と同様に、海上輸送も利用して活動を展開しています。陸路での移動が危険な地域もあるため、支援が届きにくい地域へのアクセスに、空路と海路での輸送は欠かせないものとなっています。ハイチでは2022年、燃料不足に繰り返し悩まされ、燃料配給への需要が非常に高まりました。国連WFPは、34のパートナー機関に12万2000ガロン以上の燃料を提供しました。また、ドミニカ共和国との間で人道的回廊を設け、緊急用の食料備蓄の一部を提供するなどして、陸路や海路で人道支援を迅速に提供できるように支援しています。
自立支援
緊急対応と並行して、国連WFPはコミュニティ資産の再建や生計プログラムを通じて、脆弱な立場にある人びとの自立支援に取り組んでいます。2022年には、97kmの農村道路と53kmの灌漑用水路が修復されたほか、28トンの種子の配布、4つの製粉所が設立されました。さらに、7万5千本の挿し木が行われ、2万5千人の小規模農家がマイクロインシュランスの適用を通じて支援されました。国連WFPは2022年、約11万3000人へ直接自立を促す(レジリエンス)支援を提供しました。2023年には25万人にまで支援を拡大することを目指しています。

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