日本の政府や市民社会との連携
日本政府からの支援
国連WFPの活動は、各国政府および民間からの任意拠出金によって支えられています。
日本政府は国連WFPにとって第6位の拠出国です。2017年、日本政府からの拠出金は1億7520万米ドル(約193億円)に上りました。
日本政府による国連WFPへの支援は、世界の平和と安定に寄与するという日本の政府開発援助(ODA)に対する考え方に沿って、飢餓、貧困、栄養不良の根絶を目指すものです。日本からの拠出金は、緊急支援活動や復興・開発支援などに役立てられています。
毎年、国連WFPは日本政府と政策協議を行い、お互いの 戦略計画に沿ってどのように連携を深めていくかを話し合います。
主な優先課題は、自然災害や紛争などで被災した人々の命を救う緊急食料支援や、栄養不足に苦しむ母子への栄養支援、学校給食、小規模農家をはじめ弱い立場に置かれた地域社会の自立支援などです。こうした活動を組み合わせて、人道支援と開発支援を継ぎ目なく行い、社会の復興と発展を助けます。
また国連WFPは、独立行政法人国際協力機構(JICA) や日本のNGOと連携することで、アジアやアフリカの支援現場で、より大きな成果を上げてきています。さらに、日本からの支援は、道路や港湾の修復、倉庫の建設、緊急時に食料やその他救援物資を運ぶための飛行機のチャーターなど、国連WFPが実施するロジスティクス(物資輸送)活動を支えています。
国連WFPにはおよそ77名の日本人職員が勤務(2017年8月時点)。その多くがアジアやアフリカの食料支援の最前線で、支援活動に従事しています。
さまざまな日本とのパートナーシップ
国連WFPは日本の数多くの支援機関と連携して、人道・開発支援に取り組んでいます。JICAとは2010年に連携覚書を結び、2014年からは年次ハイレベル協議を行っています。協議では具体的な協力分野、案件の特定を行い、緊急時の人道支援物資輸送から、農村開発における食料・栄養安全保障の強化に至るまで、幅広い分野での連携を促進しています。
また、JICAが派遣する青年海外協力隊などの海外ボランティアを国連WFPの現地事務所で受け入れ、日本の顔が見える支援を促進しています。
日本の自衛隊とも長年にわたるパートナーシップが続いています。これまでに、イラク、パキスタン、ハイチ、南スーダン、さらに東日本大震災の被災地など、自然災害や国連平和維持活動のさまざまな現場で連携。自衛隊はヘリコプターを提供して国連WFPの食料を迅速に空輸したり、道路や物流拠点を整備して国連WFPの支援活動に貢献したりしています。
日本の非政府組織(NGO)は、支援現場で国連WFPの食料を配給したり、食料がきちんと届いているか確認するモニタリングという業務を担うほか、NGOの技術支援と国連WFPの食料支援を連携させ、現地の地域社会のインフラ整備や農業技術支援、地産地消の学校給食などを実施しており、きめこまやかな支援を行ううえで欠かすことのできないパートナーです。2016年、国連WFPは8カ国で日本のNGO6団体と連携しました。
また、国連WFPは世界6カ所で国連人道支援物資備蓄庫(United Nations Humanitarian Response Depot、略称UNHRD)を管理し、緊急時対応のためにさまざまな国際機関や各国政府機関、NGOなどの物資を備蓄し発送するサービスを提供しています。ここでは、ネットワークに参加する日本のNGO、47団体に対し支援物資の管理サービスを提供しています。
日本の企業とも栄養支援や情報通信などの分野で連携が進んでいます。2014年には味の素との事業協力を締結。ガーナ政府と協力のもと、日本政府からの拠出金を用いて、栄養欠乏防止のための共同事業をガーナ北部で実施しました。また、2017年には、国連WFPが他の国際機関や民間企業と共同で推進する、感染症発生時の医療・救援物資供給網構築事業に、NECの技術が役立てられることになりました。
WFP議員連盟は、2002年に設立された超党派の国会議員連盟で、衆参両院合わせて50名以上の国会議員が参加しています(2017年10月現在)。WFP議員連盟は、日本の支援が、飢餓、貧困、栄養不良の根絶を目指し戦略的に活用されるように、国連WFP幹部との意見交換や現地視察などの活動を行っています。
日本の大学やそのほかの教育機関とは、世界の食料や飢餓問題について、また、国連WFPにおけるキャリアについての講演会やセミナーを実施するなど、広報・教育活動を通じて連携を強化しています。特に上智大学とは2011年に連携協定を結び、国連WFPが定期的に学生に講義を行うなど、積極的に連携を推進しています。