ストーリー | 20 3 月 2023
昨年8月の焼けつくような日、正午近くの気温は53°Cに達していました。イラクのバスラで農家を営むジャーマルさんを取材しました。温室に向かう細い道を歩く足元のひび割れた褐色の地面からは土煙が立ち上ります。温室の中に入ると、ムンとした一陣の風とともに目の前に広がったのは、枯れて干からびた作物でした。
「この暑さでは作物はやられてしまいます。」ジャーマルさんは、しおれた作物から枯葉を摘み取り、指の間で潰しながら話しました。「ここで30年以上農家を営んでいますが、こんなことは初めてです。」
黄色く変色した葉、しなびた作物を見れば、世界の気候危機の影響が最も大きい国の一つに挙げられるイラクを襲う熱波がいかに苛烈であるかが分かります。
イラク南部は最も被害の大きい地域です。