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南部アフリカにおける記録的に深刻なエルニーニョによる干ばつに対応するための緊急行動の要請

プレトリア – 南部アフリカ全域で3,000万人以上が深刻な干ばつの影響を受けています。国連およびパートナーは、次のリーンシーズン(食料が最も不足する収穫前の時期)までに支援が緊急に拡大されなければ、数百万人が深刻な急性の飢餓に追い込まれる恐れがあると警告しています。

この共同の呼びかけは、エルニーニョ現象および気候変動による深刻な影響を強調するため、南アフリカのプレトリアで開催された会議で、国連とNGO、地域および国家機関、人道および開発パートナーによって行われました。これは2023年5月に開催された南部アフリカ開発共同体(SADC)の臨時サミットに続くものです。サミットでは、命を守るための緊急支援と、長期的な気候変動へのレジリエンス強化と復興を支援するために55億米ドルを必要とする、地域規模の要請が発表されました。 

「現地で会った農村の人々は、今までこのような状況は見たことがない、話しています。彼らは将来を非常に心配しています」と、エルニーニョとラニーニャ現象対応のための国連気候危機調整官のリーナ・ゲラーニ氏は述べました。彼女はさらに、「命と生計を守るために、今すぐ、そして大規模な緊急支援が必要です」と付け加えました。 

2023年7月に世界各地で始まったこの大規模なエルニーニョ現象の影響により、南部アフリカ地域では深刻な雨不足が発生したほか、気温は平均を5度上回っています。この地域は過去100年間で最も乾燥した2月を経験し、この期間の降雨量は例年の20パーセントしか降りませんでした。 

「サイクロン・フレディの壊滅的な被害からようやく生活を立ち直したと思ったら、エルニーニョの洪水で私たちが一生懸命に築き上げたものがすべて流されてしまいました」と、マラウイのワールド・ビジョンの活動地域に住む、4人の父親でもあるロベンさんは語りました。「トウモロコシの収穫量が激減するのは、まるで腹にパンチをくらったようなものです。ノックアウトされて、立ち上がることすらできません。家族に一日一食しか食べさせてあげられません。6月までには食べ物が完全になくなってしまいます」 

この緊急事態は、既存の脆弱性にさらに苦しみを加えています。すでに干ばつが発生する前から、社会経済的な課題、食料価格の高騰、および気候危機の複合的な影響によって、食料不安と人道的支援の必要性のレベルは高かったのです。 

「気候危機は、この地域の子どもたちにとっての危機です。不安定な気候パターンが干ばつや洪水を引き起こすため、気候変動は現実的で日常的な脅威です。生計手段を失い、家族にさらなる負担がかかることで、子どもたちは虐待、避難、飢餓、コレラなどの病気のリスクにさらされています。干ばつと洪水の影響は、教育へのアクセスにも波及し、子どもたちが児童労働や児童婚に巻き込まれる危険性を高めます。即時の命を救う支援と共に、ドナーからの持続的で柔軟な支援、共同投資や気候予防・準備への革新的な資金提供が、気候変動による緊急事態に繰り返し見舞われる子どもたちの命を救い、そのレジリエンスを強化するために重要です」と、ユニセフ東部・南部アフリカ地域事務所のエトレバ・カディリ所長は述べました。 

雨不足は作物の生育にとって極めて重要な時期に発生しています。この地域の7割の人々が雨水に依存する農業で生計をたてており、広範囲にわたる不作と家畜の死がすでに地域全体で浮き彫りになっています。 

「エルニーニョ現象は終息に向かっているかもしれませんが、その影響はまだ終わりが見えません」と、国連世界食糧計画(国連WFP)南部アフリカ副地域局のアデインカ・バデジョ局長は述べました。「最も被害の大きい国の農家は、この干ばつにより平均して少なくとも作物の半分を失い、次の収穫は2025年4月まで期待できません。最も被害の大きいコミュニティーの即時の食料需要に対応し、次の作付けシーズンに備えられるよう、緊急に行動しなければなりません。進行中の危機を緩和し、将来のレジリエンスを構築するには、迅速な行動が不可欠です」 

アンゴラ、マラウイ、モザンビーク、ナミビア、南アフリカ、ジンバブエはいずれも干ばつの影響を受けており、ナミビア、マラウイ、ザンビア、ジンバブエは緊急事態を宣言しています。国連とそのパートナーは、国家および地域規模の対応を支援しています。 

「農作物への干ばつの影響を評価するための調査が進行中であり、予測的な行動が発動され、脆弱なコミュニティーに直ちに支援を提供するための措置が講じられています。しかし、この課題の大きさを鑑みると、危機に効果的に対応し、命と生計を守るためには追加の資源が必要です。支援はコミュニティーの気候レジリエンスを構築することに重点を置くべきです。レジリエンスと早期回復の支援が確保されなければ、コミュニティーは回復せず、農家は次のシーズンに作物を植えることもできず、人道支援へのニーズが続いてしまいます」と、国連食糧農業機関(FAO)の南部アフリカ担当地域調整官、パトリス・タラ氏は強調しました。 

農産物、特にトウモロコシの生産不足が予測されているため、農家の収入は減少するでしょう。さらに、食料価格の上昇により、農家は将来の生産レベルを維持および向上させるために重要な種子、肥料、および設備に投資する余裕がなくなるでしょう。 

「南部アフリカの干ばつは、最も脆弱な人々の生活に対する気候災害の影響が増大していることのさらなる証拠です。この危機には、包括的で影響力があり、大規模な対応が求められます。重要なのは、科学が証明しているように、頻度と激しさを増すであろうこのような災害に対応する準備を強化するために、私たちはアフリカ諸国政府を支援する責任があるということです」と、国連事務次長補兼アフリカ・リスク・キャパシティ・グループの事務局長であるイブラヒマ・シェイク・ディオン氏は述べました。 

コミュニティーが差し迫った不作に直面している中、大規模な人道危機を回避する機会は急速に失われつつあります。人道支援を提供し、コミュニティーが回復し、将来に向けてレジリエンスを構築できるように支援することが急務です。  

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国連世界食糧計画(WFP)は世界最大の人道支援組織であり、緊急時に命を救い、食料支援を通して、紛争や災害、気候変動の影響から立ち直りつつある人びとのために平和、安定、繁栄への道筋を構築しています。 

トピック

South Africa アンゴラ マラウィ ナミビア モザンビーク ザンビア ジンバブエ 気候 資金調達 緊急支援

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