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数千万人もの人びとが、前例のない資金危機の拡大で深刻な食料難に直面

Photo: WFP/WFP/Jerry Ally Kahashi. WFP food distribution in Goma, DRC.
【ローマ】国連世界食糧計画(WFP)は28日、最も深刻な人道危機対応を行っている28の国・地域で、命を救う支援を受けている5,800万人が、緊急の追加資金が確保されなければ支援を失う危険があると警告しました。

各国政府や個人ドナーの寛大な支援にもかかわらず、WFPの主要ドナーからの資金が急減しています。これらの深刻な資金削減と、かつてないほどの支援ニーズの増大が重なり、何千万人もの人々が食料支援に依存する中で、前例のない危機が発生しています。

現在WFPは、2025年の資金が前年比40%の減少という危機に直面しており、特に最も脆弱な人々を支える緊急食料支援プログラムに深刻な影響を及ぼしています。WFPのラニア・ダガシュ=カマラ事務局次長は「WFPは最も支援を必要とする国々を優先し、最前線で食料配給を拡充しています。運営コストの削減にも全力を尽くしていますが、それでもなお、私たちは命に関わる資金の崖っぷちに立たされています」とし、「緊急食料支援プログラムは単に命を救うだけでなく、苦しみにある人々を救済し、脆弱な地域社会に安定をもたらします。極度の飢餓に直面した地域では、社会が急速に崩壊する可能性があります」述べています。

WFPは最前線で対応

現在、世界中で34,300万人が深刻な食料不安に直面しており、その主な要因は紛争、経済不安定、気候変動による災害など、次々と押し寄せる世界的な危機です。2025年、WFPは支援対象を支援を必要な人々の3分の1強―世界の最も飢えに苦しむ12,300万人―に絞り、そのうち半数近くの5,800万人は食料支援を受けられなくなる切迫した危機に瀕しています。

昨年、WFP80か国で12,000万人以上に食料支援を提供しました。この中には、飢餓が最も深刻な地域や食料不安の最前線も含まれています。

差し迫る供給停止の危機

WFPは現在の資金不足に迅速に対応するために、28の最も重要な緊急支援事業が8月まで深刻な資金不足と危険なほどに低い食料供給に直面していることを、各国政府や民間ドナーに説明しています。

28の国々は次の通りです: 
レバノン、スーダン、シリア、南スーダン、チャド、アフガニスタン、ミャンマー、ウガンダ、ニジェール、ブルキナファソ、コンゴ民主共和国(DRC)、イエメン、マリ、バングラデシュ、ベネズエラ、ハイチ、モザンビーク、ナイジェリア、ソマリア、ケニア、ウクライナ、マラウイ、ブルンジ、エチオピア、パレスチナ、中央アフリカ共和国、ヨルダン、エジプト

以下に、これらのプログラムの一部を紹介します。

スーダン
毎月700万人以上に支援を届けるために、約57,000万米ドルが必要ですが、その供給が4月に停止する可能性があります。エルファシル市近郊のザムザム難民キャンプで最初に飢きんが確認され、その後、北ダルフール州および西ヌバ山地の10地域に拡大しました。スーダンでは2,460万人が十分な食料を得られておらず、緊急食料支援、栄養支援、緊急物流の資金提供が遅れると、数百万の人々の命綱が断たれることになり、命に関わる飢餓の瀬戸際に瀕している人びとが即時に壊滅的な影響を受けることとなります。

コンゴ民主共和国(DRC
640万人に食料を届けるため、39,900万米ドルを必要としています。東部での武装勢力による暴力が激化し、すでに100万人以上が避難を余儀なくされています。コンゴ民主共和国への食料と栄養の支援は、地域を安定させ、すでに何度も紛争で避難を余儀なくされている最も脆弱な状況にある人々に手を差し伸べるために不可欠です。

シリア
毎月120万人に食料と栄養支援を提供するため、14,000万米ドルが必要です。新たな資金がなければ、8月には最も深刻な食料不安に陥っている100万人への食料支援が打ち切られる危機にあります。何百万のシリア難民が自国へ帰還しようとしている重要な時期に、命を救う支援の停止は安定と社会の結束が損なわれる恐れがあります。

レバノン
140万人に食料支援を提供するために、16,200万米ドルを必要としています。深刻な資金不足により、脆弱な状況にあるレバノンの人々とシリアからの難民への食料支援がすでに影響を受けており、不安定化と社会的緊張の高まりを招いています。レバノンでは、経済危機と政権移行期にあり、食料不安が深刻化し続けていてすでに3人に1人が深刻な飢餓に直面しています。

南スーダン
WFPは、戦争、異常気象、経済危機から逃れてきた230万人に食料と栄養の支援を提供するために、28,100万米ドルを必要としています。非常に厳しい飢餓の危機に直面しています。南スーダンには、スーダンの戦争から逃れてきた100万人以上の人びとも到着してきています。南スーダンの人口の3分の2が深刻な食料不安に陥っています。雨季を前に、命を救う食料を事前に備蓄するために、南スーダンでのWFPの緊急支援への新たな資金が緊急に必要です。

ミャンマー
120万人に緊急食料支援を提供するため、6,000万米ドルを必要としています。直ちに新たな資金がなければ、4月にも100万人がすべての支援を失う可能性があります。激化する紛争、避難民の発生、交通の制限で既に食料支援への必要性は急増しており、3月29日に同国中部で発生したマグニチュード7.7の地震でさらに悪化することが懸念されています。

ハイチ
130万人に食料を届けるため、1,000万米ドルが必要です。武装集団による残忍な暴力により、記録的なレベルで飢餓と避難民が増加しています。人口の半数が極度の飢餓に直面しており、5歳未満の子どもの4分の1が発育不全に陥っています。100万人以上が家を追われ、今年はわずか1か月で過去最高の6万人が家を追われました。WFPは避難してきた人に温かい食事と現金による支援を実施してきましたが、新たな資金がなければ、この支援は今後数週間で停止される可能性があります。

西アフリカサヘル・チャド湖地域
500万人に支援を提供するために、57,000万米ドルを必要としています。新たな資金がなければ、4月には供給停止の危機が迫っており、飢餓のピークを迎える6月から8月にかけて、ブルキナファソ、マリ、モーリタニア、ニジェール、中央アフリカ共和国、カメルーン、ナイジェリアの最も脆弱な数百万人の人々が、極度の食料不足に直面します。現在の資金水準では、今後数か月で500万人がWFPからの重要な支援を失う恐れがあります。

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WFPは、緊急時に命を救い、食料支援を通じて紛争、災害、気候変動の影響から回復する人々の平和、安定、繁栄への道を築く世界最大の人道支援機関です。

 

トピック

スーダン コンゴ民主共和国 パレスチナ シリア レバノン 南スーダン ミャンマー ハイチ チャド 資金調達 食料安全保障 緊急支援

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WFP 国連世界食糧計画 日本事務所 広報

富田 絵理葉 eriha.tomita@wfp.org

田中 理子  satoko.tanaka@wfp.org

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