G7主要国へ国連WFPが飢餓問題への注力維持を要請-背景にスーダン、ハイチ、サヘル地域での危機で悪化する世界の食料危機
国連WFPの分析によると、現在、約3億4500万人が深刻な飢餓(急性の食料不安)に直面しており、この数は2020年初頭から約2億人も増加しています。このうち、4300万人が飢きんの瀬戸際にあります。一方、資金不足の影響で、国連WFPは最近、アフガニスタン、バングラデシュ、パレスチナでの食料配給の削減を余儀なくされました。ソマリアとチャドでは、さらなる削減が予定されています。
「昨年、G7 各国のリーダーは、飢餓との闘いにおいて、多くの人の命を救う結果を残しました。何百万人もの人びとが必要な支援を受け、ソマリアのような国々は飢きんを回避することができました。しかし、残念ながら、世界的な食料危機が去ったわけではありません。スーダンやハイチのような状況は、火に油を注ぐようなものです」と国連WFPのシンディ・マケイン事務局長は述べました。
スーダンでの戦闘により、何十万人もの人々が避難し、何百万人もの人々が飢餓に陥っています。国連WFPは、現在の戦闘の直接的な結果として、今後数カ月でさらに200万人から250万人が急性食料不安に陥り、過去最高の1,900万人に達すると推定しています。
ハイチでは、政情不安、暴力、経済悪化により、食料不安が悪化し、数百万人が飢餓に陥っています。 同国では人口の約45%にあたる、過去最高の490万人が急性食料不安に直面していると見られています。同様に、アフリカのサヘル地域では、ブルキナファソなどで暴力によって、避難民や紛争で生活や生計を絶たれた人びとの間で飢餓が発生しています。
国連WFPは、2022年に支援を拡大したG7各国に対し、世界的な食料危機の影響を受けている数億人、そして昨年1年間で新たに飢餓に陥った数百万人の人びとのために食料支援を継続するよう要請しています。また、黒海穀物イニシアティブの継続、肥料の十分な供給の確保、小規模農家の生産性向上プログラムの支援など、食料危機を緩和するための取り組みへの政治的支援も呼びかけています。
国連WFPの長期的な要請は、弱い立場にある人びとの回復力を高めることに重点を置いています。その中には、リスクにさらされているコミュニティに対する社会的保護に改めて焦点をあてることや、すべての子どもが毎日学校で栄養価の高い給食を受け取れるようにすることが含まれています。
「私たちは、特に食料システムの回復力を高めるために、支援を強化する必要があります」とマケイン事務局長は述べています。「気候危機のリスクがあるコミュニティが将来の災害に向けて備えることができるようになれば、今後干ばつや洪水が発生したときに緊急支援が必要なくなります」
2022年、ニジェールは過去10年で最悪の食料危機に直面しました。最も影響を受けた地域の中には、国連WFPがレジリエンスプログラムを実施していた地域もありました。その結果、被害が大きかった地域の大多数にあたる80%の村が人道支援を必要としませんでした。
昨年ドイツで開催されたG7サミットで、各国首脳は「世界の食料及び栄養の安全保障を強化するための努力を惜しまない」ことと最も脆弱な人びとを守ることを誓いました。また、農業と食料システムの長期的な強靭性を強化し、将来的に貧しい国々が脆弱でなくなるように取り組むことも約束されました。
紛争は依然として世界の飢餓の主な要因の一つです。スーダンでの出来事は、銃が持ち出されたときに食料不安が高まることを示す一例に過ぎません。国連WFPは、G7各国に対し、「紛争が飢餓の主な要因となっている国々で、長期化する危機の政治的解決に向けて取り組む」よう求めています。
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