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スーダン難民、食料支援大幅削減の恐れ 飢餓と栄養不良が深刻化

WFP/Mohamed Galal. People continue to flee escalating violence in El Fasher, many arriving in Tawila with little or not. Sudan, Tawila, North Darfur.
【ナイロビ、ケニア】WFP国連世界食糧計画は本日、スーダンから近隣諸国へ避難した数百万の難民が、深刻な資金不足のために食料支援が大幅に削減され、重篤な飢餓と栄養不良に陥る恐れがあると警告しました。

20234月にスーダンで武力衝突が始まって以来、400万人以上が食料や住まい、安全を求めて隣国へ逃れました。避難してきた家族の多くは、トラウマを抱え、栄養不良の状態で、着の身着のままのケースが多くあります。

WFPは直ちに緊急支援を開始し、スーダンから避難してきた人々を受け入れている7つの隣国(中央アフリカ、チャド、エジプト、エチオピア、リビア、南スーダン、ウガンダ)で、食料や現金、温かい食事、栄養支援などを提供しています。またWFPは難民を寛大に受け入れているコミュニティへの支援も拡充しており、これらの地域もまた自身の食料不安に直面している状況にあります。

しかし、こうした食料支援はWFPの予算をすでに超えており、急速に限界を迎えつつあります。中央アフリカ、エジプト、エチオピア、リビアでのスーダン難民への支援は、資金難によって今後、数か月以内に停止する可能性があります。

ウガンダでは、最も脆弱な立場にある難民の多くが、1日にわずか500キロカロリー以下(1日の必要栄養量の4分の1以下)で生活しており、新たな難民の流入が支援体制を限界まで追い込んでいます。

また、スーダンから逃れた難民の約4分の1を受け入れているチャドでも、近く新たな拠出がなければ、今後数か月で食料配給が削減される見通しです。

スーダン事務所のショーン・ヒューズ危機緊急調整官は、「極度の食料不安と終わりが見えない紛争が同時進行している、まさに危機的なケース。スーダンから逃れてきた何百万人もの人は完全にWFPの支援に依存しています。追加資金がなければ、さらに支援を削減せざるを得ません。これは脆弱な家族、特に子どもたちを、飢餓と栄養不良のより深刻なリスクにさらすことになります」

子どもたちは、長期にわたる食料不安に特に脆弱です。ウガンダや南スーダンの受け入れセンターにいる難民の子どもたちの「グローバル急性栄養不良率(GAMGlobal Acute Malnutrition)」はすでに緊急対応の基準を超えており、多くの子どもたちは隣国で緊急支援を受ける前から深刻な栄養不良です。

WFPはスーダン国内で支援を大幅に拡大し、1か月あたり400万人以上に支援を届けています。これは2024年初頭の約4倍にあたります。隣国で新たに流入してきた難民への重要な支援も強化されました。たとえばチャドでは、ダルフールからの避難民の急増とスーダン国内への越境支援の継続に対応するため、WFPは倉庫容量を4倍に拡張し、食料供給ルートも増強しました。

また、エジプトや南スーダンでは、2023年に内戦が始まった後、WFPは現金給付を拡充し、スーダンから到着した家族を数時間以内に登録して、即時の支援を届けられるようにしました。

「スーダンから逃れてきた難民たちは、命からがら国境を越えてきたにもかかわらず、待ち受けているのはさらなる飢餓、絶望、そして限られた資源なのです」とヒューズ調整官は述べました。「食料支援は行き場のない脆弱な難民たちにとって、まさに命綱です」。

WFPはスーダン難民と、彼らを支えている受け入れコミュニティへの食料・栄養支援を継続するため、国際社会にさらなる資金支援の動員を強く呼びかけています。

今後6か月間、隣国にいるスーダン難民への緊急対応を維持するには、2億米ドル超の資金が必要です。さらに、スーダン国内で最も脆弱な人々に対する命を守る支援活動のためには、57,500万米ドルの追加資金が求められています。

「人道支援だけで紛争や強制移動を終わらせることはできません。いま本当に必要なのは、政治的・外交的なグローバルな行動です。平和と安定を取り戻すため、戦闘を終わらせなければなりません」とヒューズ調整官は訴えています。

編集者への注釈:

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スーダン紛争から逃れた難民を受け入れている国々:

中央アフリカ

WFPは、スーダン紛争から逃れた25,000人以上の難民と帰還者を支援しています。スーダン難民には完全な食料配給を行い、紛争の影響で帰還した中央アフリカの市民にも75%の食料配給を提供しています。WFP10月までの支援継続に400万米ドルを必要としており、追加資金が得られなければ8月以降、難民への支援を全て停止せざるを得ません。

チャド

チャドは約140万人の難民を受け入れており、アフリカで最大かつ急速に難民人口が増加している国ひとつです。スーダン危機発生から2年以上で86万人の難民と274,000人の帰還者が到着し、限られた資源に対し大きな圧力がかかっています。毎日約1,000人の難民が主にスーダンの北ダルフールからチャドに到着しており、スーダン危機初期と同じ状況です。WFP2025年に120万人超のスーダン難民、帰還者、受け入れコミュニティの家族を支援する計画ですが、追加資金がなければ今後数か月で食料支援が削減される見込みです。今後6か月(20256月~11月)の難民対応には7,700万米ドルが必要です。

エジプト

紛争開始以来、約150万人のスーダン難民がエジプトに到着しており、南スーダンに次ぐ最大の受け入れ国です。20254月、WFPは食料支援(現金給付)を受けるスーダン難民および他国籍の難民の人数を235,000人から20万人に15%削減し、食料配給量も33%減らしました。5月にも支援対象者を20万人から17万人に減らし、6月にはさらに15万人に減らしました。追加資金が得られなければ、20258月に最も脆弱な人々への人道支援を停止せざるを得ません。2025年末までの資金需要は2,000万米ドルです。

エチオピア

WFPは現在80万人以上の難民に対して、現金および現物で通常の50%の配給量の食料支援を行っています。そのうち10万人がスーダン難民で、新たにアムハラ州およびベニシャングル・グムズ州に到着した2万人は完全配給を受けています。今後6か月(6月~11月)のスーダン難民支援には1,800万米ドル、2025年末まで全難民に50%配給を継続するには4,000万米ドルが必要です。

リビア

WFP2023年の戦争開始以降にリビアに逃れてきた5万人の難民に食料支援と栄養支援を実施しています。しかし、過去2年間で313,000人のスーダン難民がリビアに到着しており、UNHCRによると2025年末までに65万人に増加すると予測しています。現在の支援規模を拡大する資金がなく、追加資金がなければ7月末に全支援を終了する見込みです。7月から11月の支援継続には500万米ドルが必要です。

ウガンダ

ウガンダには190万人の難民がおり、そのうち81,000人がスーダン難民です。WFP66万人以上の難民に支援を行っていますが、20254月の160万人から減少しています。支援内容は温かい食事、食料支援、栄養支援、生活支援プログラムで自立促進も行っています。3月以降、中程度に脆弱な難民は配給量の22%のみ受け取っています。今後6か月(6月~11月)のスーダン難民支援には600万米ドル、2025年末まで全難民に完全配給を続けるには5,000万米ドルが必要です。

南スーダン

紛争開始以降、116万人の新たな難民が南スーダンに到着し、そのうち365,000人がスーダン難民、残りは南スーダン帰還者です。新規到着者には、越境直後に温かい食事、食料と現金支援、栄養支援を行っています。過去2年間の難民流入により、南スーダンの難民総数は50万人を超えています。資金不足により、支援は脆弱性に基づき優先され、新規到着者が定住難民キャンプに移動後は、資金不足とキャンプ・受け入れ地域の高いニーズにより50%の配給に減らされています。WFPは難民キャンプでの栄養・学校給食プログラムも実施しています。南スーダンでのスーダン難民支援には7,100万米ドルの資金が不足しています(20256月~11月)。

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スーダン 難民と移民 紛争 緊急支援

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田中 理子  satoko.tanaka@wfp.org