コンゴ民主共和国で多くの人々が家を追われ、食料不安が悪化し、人道的ニーズが一層高まっています
【キンシャサ】コンゴ民主共和国(DRC)で激化する紛争により家を追われる人々の数が膨大な規模に達しています。食料不安が危機的な水準にまで悪化し、国内のみならず地域全体で既に逼迫している人道支援の対応をさらに困難にしていると、WFP国連世界食糧計画は警告しています。
WFPは命を守るための支援を避難民に届けるため、活動を拡大していますが、急増するニーズに追いついていないのが現状です。
以下は、食料安全保障の現状とWFPの活動に関する最新情報です。
コンゴ民主共和国の食料安全保障の状況
- コンゴ民主共和国軍(FARDC)とM23をはじめとする武装グループとの激しい衝突により、今年1月以降、東部ゴマだけで66万人以上が避難を余儀なくされ、安定した食料へのアクセスを失っています。
- 紛争の影響を受けている東部州(イトゥリ州、北キヴ州、南キヴ州、タンガニーカ州)では、総合的食料安全保障レベル分類(IPC)で急性食料不安に相当するフェーズ3に直面している人の数が、660万人から790万人に増加しました。このうち約230万人は、非常に深刻な状況を示すフェーズ4に該当します。
- 東部の主要な農業地帯である北キヴ州のグラン・ノール地域では、治安の悪化と大規模な避難により、食料生産が深刻な影響を受けています。
- 最新の調査によると、北キヴ州および南キヴ州では、90%以上の世帯が急性の食料不安に直面しており、多くの家族が食事の量を減らしたり、栄養価の低い食べ物でしのいだり、物乞いに頼らざるを得ない状況です。
- 治安の悪化により交易路や市場へのアクセスが妨げられ、地元の食料価格が高騰し、人びとは日々のやりくりに苦しんでいます。
- コンゴ民主共和国国内でIPCフェーズ3以上にある人々の数は、現在2,800万人に達しています。
- 国境を越えた避難も食料危機をさらに深刻化させています。2025年の最初の4カ月間だけで、約14万人がコンゴ民主共和国から隣国へ避難し、その多くはブルンジ(7万人)とウガンダ(6万人)に流入しています。
- 隣国に逃れた人々は農地を放棄し、食料、住居、医療などの基本的なサービスへのアクセスをほとんど持たない状態です。
周辺国に避難したコンゴ人の食料不安
- 女性、子ども、高齢者が最も深刻な影響を受けています。これらの人々は主に食料支援に頼って生活しており、受け入れ国の過密で資源の限られた避難サイトでは、栄養不良に加えて保護上のリスク(暴力、搾取など)にもさらされています。
WFPの対応
- 2025年1〜3月の間に、東部で110万人に命を守る食料および現金支援を実施しました。
- 11万5,000人の児童に、学校給食と家庭持ち帰り用の食料配布を実施し、学習と栄養改善を支援。
- 34万人の子どもおよび妊産婦・授乳中の女性・女児に対し、治療用栄養食品と栄養補助食品を提供。
- 1万4,000人に生計支援プログラムを通じて生活再建の手助けを実施。
- WFPは、食料や救援物資を安全かつ迅速に届けるためのロジスティクスと輸送の専門能力を活かし、被災地全体の人道対応を支えています。
国境を越えた難民への対応:
- ブルンジ:WFPは現在、8万人以上の難民を支援しており、その中には今年1月以降にコンゴ民主共和国での暴力から逃れてきた2万5,000人の新規避難民も含まれています。しかし人道資金の制約により、3月にはすべての難民への食料支援を半分に削減せざるを得ませんでした。
- ルワンダ : WFPは13万人以上の難民、保護申請者、帰還者を支援しており、その中にはコンゴ民主共和国からの最近の到着した16,700人も含まれています。食料支援は、現物や現金の支給を通じて行っていますが、資金不足のため、4月には現金支援が50パーセント削減されました。コンゴ民主共和国への自主的な帰還者が急増しているため、WFPは移動中の食料支援も行っています。5月中旬までに2,500人以上の帰還者が記録されました。
- ウガンダ :WFPは現在、63万人以上の難民を支援していますが、これは資金難のため4月の160万人から大幅に減少しています。この中にはコンゴ民主共和国から到着したばかりの難民6万4,000人も含まれています。コンゴ民主共和国からの避難民を受け入れる施設では、急性栄養不良の割合が15%を超えています。WFPは温かい食事の提供、食料支援、栄養改善プログラムおよび生計支援プログラムを通じて支援を行っています。
- タンザニア:ブルンジとコンゴ民主共和国からの約18万6,000人の難民が、厳しいキャンプ政策のもとで生計活動の制限を受けながら、WFPの食料支援に依存しています。5月には配給量が82%から65%に削減されましたが、6月にはさらに50%に減らされる予定です。大規模な難民流入のリスクは依然として高く、既に逼迫している支援体制にさらなる負担となっています。
課題
- WFPは人道支援を行っているパートナーと協力して命を守る支援の提供に努めていますが、ニーズは急増しており、追いついていません。
- 治安悪化と武力衝突が続いているため、人道支援のアクセスが制限されており、東部コンゴ民主共和国の最も脆弱なコミュニティへの支援が困難になっています。
- 食料物資の不足がWFPの緊急対応に大きな影響を与えており、特に南キヴ州では4月に一般的な食料配給が実施できませんでした。
- 重要な人道拠点であるゴマ空港は依然として閉鎖されたままです。
資金状況
- WFPは、2025年10月までDRCでの緊急支援活動を継続するために、緊急に4億3,300万米ドルの資金を必要としています。即時の支援がなければ、数百万人が命を守る支援から締め出され、人道危機が国内および地域レベルでさらに深刻化する恐れがあります。
- ブルンジ:追加の難民流入がない場合、難民への完全な食料支援を年内まで続けるために1,660万米ドルが必要です。追加資金が得られなければ、現在支援している難民への食料支援は10月に停止されます。
- ルワンダ:2025年まで難民に対して完全配給を維持するために、1,200万米ドルが緊急に必要です。即時の資金がなければ、8月までに難民および庇護申請者への現金支援が全面的に停止され、命の危険が増大します。
- タンザニア:すべての難民に対し75%配給を提供するために、2026年4月までにさらに1,800万米ドルの資金が必要です。
ウガンダ:2025年まで減額された配給量での命を守る食料支援を維持するために、2,600万米ドルの資金が必要です。
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編集者への注記:
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