カンボジアの輝く笑顔と健康的な学校給食
ラタナック・レン
ソク・リンは笑顔にあふれています。
多くのカンボジアの子どもたちのように、彼女も学校に通うことが好きで、大きくなったら教師になりたいと思っています。現在13歳で、勉強に意欲があるのは学校にいるときだけではありません。
「いつも学校に来たいと思っています。先生から新しいことを学べるからです。だから宿題も頑張れます」と彼女は言います。
家では彼女の生活は全く異なります。両親は、仕事とより良い収入を求めて3年前タイに移住し、まだ戻っていません。これは珍しいことではなく、ソク・リンの住む村では80%の成人が一度は移住を経験しています。村で定収入が減る乾期には、移住者はさらに増えます。
両親が国境沿いの工場で働く間、ソク・リンは祖母と一緒に暮らしています。両親は年に一度、4月のクメールの新年には家に戻ってくるのですが、今年は旅費が足りず戻ってこられませんでした。ソク・リンの家では両親に代わり、祖母が子どもたちを養育する役割を担ってきました。村では、このように多くの祖父母が何年も親代わりとして子どもを育てています。
ソク・リンは、もし両親とともにタイで暮らすと、生活が変わってしまうと思いました。「おばあちゃんが大好きなので、引っ越ししたくありません」と言います。
健康的な食事から得られるエネルギー
これまで7年間、ソク・リンは国連WFPの支援により、学校で毎日温かい朝食を支給されました。この学校での朝食でお腹がいっぱいになり、授業に集中できるので、いつも彼女は笑顔になります。好きな献立は冬瓜と卵の炒め物です。
「学校給食は子どもたちに毎日学校に来てもらうため、大切な動機付けです。ご覧のように、食事が配られると皆、本当に良い笑顔になります」と、ル・ヴェア小学校校長のオック・チャットは語ります。
カンボジアでは学校の始業時間が早いので、生徒たちは教室を掃除するため朝6時半前には集まります。掃除の後は朝食の準備をします。朝食は始業前に子どもたちが食べられるよう、学校の2人の料理人が毎日夜明け前に起きて作っています。
給食は子どもたちにとって美味しいものであり、家族も恩恵を受けています。
「ソク・リンが給食支援を受けると、両親は彼女が中学校に進むための貯金をすることができます」と、ソク・リンの60歳になる祖母、ソク・チョーンは言います。両親はソク・リンの教育を大切に考え、学校で勉強を頑張ってほしいと思っています。来年、彼女は中学校への進学を控えており、両親がタイで働いているのは、娘の教育資金を稼ぐためでもあります。
学校給食支援は地元の農家たちもサポートしており、農家たちは米や野菜、肉、魚など、給食の食材を提供しています。食材は新鮮で基本的に旬のもので、年間を通して食の多様性を提供しています。
農家は地域の子どもたちが健康的な食事を取ることをサポートすることができ、さらに地元で収入を得ることができます。
カンボジアでの学校給食の継続を確かなものにするため、国連WFPは同国政府およびパートナー団体等との共働により、給食の実施、運営について学校の料理人と小規模農家の能力向上に努めています。農家は気候変動に対しての回復力を高めて、異常気象に対して耐性を持てるよう、農業生産工程の改善についてトレーニングを受けています。