食料廃棄と飢餓に関する5つの事実
世界的な飢餓は食料不足によるものではありません。現在、世界では地球上のすべての子ども、女性、男性に栄養を与えるのに十分な食料が生産されています。
しかし、毎年生産される食料の約5分の1は消費されることなく浪費されたり失われたりしています。
多くの豊かな国では、こうした食料廃棄は台所で起きています。調理した食べ物を食べ残したり、冷蔵庫やキッチンの戸棚の中に放置して腐らせたりしているのです。
途上国では、食料廃棄は収穫期に発生します。農場の貯蔵施設が不十分なため、害虫の蔓延やカビにより作物が台無しになります。技術や市場へのアクセスも不足しているため、収穫に必要な労働力や資金が不足し、何百万人もの農家は畑で作物が腐るのをただ見守るしかありません。
慢性的な貧困、紛争、経済ショックと並んで、食料ロス は世界中の飢餓の根本的な原因の一つです。食品 ロスは、土地、水、エネルギーなど、食料を生産するために使われる資源そのものの浪費でもあります。
以下は、いくつかの基本的な事実です(出典:UNEP食品廃棄物指数報告2024)
1.人間の消費用に生産された食料の5分の1が世界全体で失われたり廃棄されたりしています。これは1日あたり10億食分に相当します。
2.食品ロスと廃棄が世界経済に与える総コストはおよそ1兆米ドルと推定されています。
3.食品ロスと廃棄による温室効果ガス排出量は世界全体の約10%を占め、航空部門の総排出量のほぼ5倍に相当します。
4.食料廃棄の60%は家庭で発生しています。
5.気温が高い国では、高温が食品の保管、加工、輸送に影響を与えるため、家庭レベルでも収穫後の段階でも食料廃棄が多くなります。
2030年までに世界の食料廃棄を半減させることは、国連の最重要課題の1つで、これは国連の17の持続可能な開発目標の1つです。
もし食料がすべて無駄にならなかったら、1人の農家に何が起こるかを想像してみてください。これが何百万人もの食料不安を抱える農家で実現したらどうなるかを想像してみてください。収穫した作物を処理し、保管する技術の不足は、小規模農家が直面する最大の課題の1つです。WFP国連世界食糧計画(国連WFP)は、収穫後の処理方法の改善に関するトレーニングや、防水・防気貯蔵設備の補助金を通じて、農家がこの問題に対処できるよう支援しています。
国連WFPはまた、地元市場へのアクセスを促進することで食料廃棄の問題にも取り組んでいます。これには、地元で収穫された作物を学校給食に使うことや、地域社会と協力して道路や橋、貯蔵施設の建設や修復を行うことも含まれます。
食品ロス や食料廃棄を減らすために、食品だけでなく、その食品に投入される資源のためにも、私たち一人ひとりがそれぞれの役割を果たすことができるのです。