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ロヒンギャ難民大流出から半年、雨期で食糧輸送滞る恐れ【職員に聞く】
, WFP日本_レポート
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WFP/Saikat Mojumder

2017年8月25日にミャンマー国内で起きた武力衝突をきっかけに、多くのロヒンギャ難民がバングラデシュに逃げ込んで半年が過ぎました。バングラデシュは3月ごろから雨期に入るため、ロヒンギャの人々が住む難民キャンプは土砂崩れや洪水の危険性が高まります。難民キャンプの支援に入り、1月末に帰国した日本人職員、濱井貢(はまい・みつぐ)は「橋が流され、キャンプへの食糧輸送が滞る恐れもある」と話しました。

濱井は昨年12月から約2か月間、バングラデシュ・コックスバザールの国連WFP事務所で、緊急支援物資の買い付けなどを担当しました。過去にケニアやマラウィなどで食糧調達の経験を積み、2016年の熊本地震でも、支援のため現地入りしています。

コックスバザール近くのクトゥパロン難民キャンプは昨年8月以降、約70万人のロヒンギャの人々が避難してきました。この地域には以前から47万人が暮らしていましたが、難民の大流入で人口が膨れ上がりました。今や世界最大、そして密度も最も高いキャンプです。

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キャンプは丘陵地の木を伐採して作られており、地滑りの起こりやすい地形に人々が密集して暮らしています。濱井によると地面は土がむき出しで、支援物資の倉庫などを置ける安定した地盤が少ないといいます。「雨期に川が増水して橋が流されてしまったら、物資を届けるトラックが入れなくなる恐れもある」と心配しています。

また現地は湿度も気温も高く、WHOやUNICEFが管理しているワクチンなどの冷蔵施設の確保も課題となっているそうです。

住民の急増によって、食料だけでなくまきなどの燃料不足も深刻化し、現地ではこれらの価格が上昇しています。濱井は「まき集めはたいてい女性の仕事。集落近くの木は取られつくしているので、遠くまで取りに行くとなれば、行き帰りに暴力被害に遭うリスクは高まる」と話します。実際に女性の性被害、子どもの誘拐などの問題も起きています。

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国連WFPはIOM(国際移住機関)やUNHCRなど他の支援団体と共同で、地滑りや洪水に備えたインフラ整備を始めました。道路や橋の建設に加え、地盤強化や食糧倉庫の強風対策も支援しています。交通が遮断された場合に備え、人力で食糧を運ぶことや、キャンプ内に食料を備蓄することなども検討しています。また、まきを使わずにすむよう、燃焼効率の良い改良型かまどの普及なども進めています。

調査によると、キャンプの子どもの半数は貧血で、多くの子供が下痢やジフテリア、感染症にかかっています。国連WFPは5歳未満の子どもたちや妊産婦に栄養のあるおかゆを支給するなど支援を強化しています。難民キャンプに住む人々の90%以上は、何らかの形で食糧支援を受けています。ただ昨年8月以降にキャンプへ到着した難民に関しては、十分に栄養のある食事が摂れているとは言い難いのが実情です。

一方、ミャンマー国内のラカイン州でも、食料不足と栄養不良が懸念されています。特に州北部の子どもたちは、昨年8月の武力衝突以前から、緊急の栄養支援が必要な状態でしたが、その後の暴力や避難生活によって、さらに悪化している可能性が高いとみられます。

イスラム教徒の中には、行動を制限されて耕作地や漁に出ることができず、食料不足に陥る人もいます。多くの水田は耕されておらず、州内にとどまっている人々の食事を賄うのは難しい状況です。

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濱井貢さん(左から2人目)

国連WFPは1月、同州のイスラム教徒ら15万人に食糧を支援しました。ミャンマー国内への支援で、今後6カ月に必要な資金は2260万米ドルですが、現在集まっているのは日本などからの約890万米ドル。現状が判明するにつれて、計画を上回る資金が必要になることが予想されます

国連WFPでは、バングラデシュをはじめとした世界各地で緊急支援を行っております。皆様のあたたかいご支援をよろしくお願いします。