飢餓のホットスポット: 4カ国が飢きんに直面していると国連報告書が警告
国連の最新の報告書によると、飢餓のホットスポットとされている20カ国で、紛争、経済危機、自然災害、人道的アクセスの制限により、数百万人の命が危険にさらされ、食料不安が急増しています。
国連食糧農業機関(FAO)と国連WFPが共同で発表した「飢餓のホットスポット」報告書によると、南スーダン、イエメン、エチオピア北部とナイジェリアの人々が、特に飢餓の危険にさらされています。
食料不安の世界基準である総合的食料安全保障レベル分類(IPC)における「破局」段階へと、ますます多くの人々が陥っている中、報告書は「飢餓、死、生活の完全崩壊を防ぐ」ための行動を呼びかけているのです。
「国連WFPは、壊滅的な結果を回避するための、即座に対応でき、緊急対応資金のような柔軟な、使途が割り当てられていない資金拠出を緊急に必要としています」と、国連WFPのマーゴット・ファン・デル・フェールデン非常事態担当部長は述べています。
「世界の飢餓のホットスポットで活動する私たちに資金を提供することは、今年非常に重要になります。より多くの人々が飢きんに陥るという現実的なリスクがあるからです」
また彼女は次のようにも話します。
「人道支援活動家として、私たちは圧倒されるような課題に直面しています。厳しい状況下で活動の規模を拡大し、複雑な危機の中で重要な支援を維持し、突然の混乱や予期せぬ緊急事態に迅速に対応できるよう準備しなければなりません」
彼女は、国連WFPによる数々の成功を数え上げます。
2021年、困難な状況にもかかわらず、1500万人を支援しました。その数には12月一か月で支援をした800万人も含まれます。
マダガスカルでは、国連WFPをはじめとする人道支援機関の支援により、現在、飢きんとみられる状況にある人はおらず、急性食料不安のレベルもそれ以上高まっていません。
国連WFPとFAOが支援する人々の多くは、中央アフリカ共和国、コンゴ民主共和国、ミャンマー、ソマリア、南スーダン、スーダン、中央サヘル地域などの国々で紛争から逃れ、土地や家、仕事を放棄せざるを得ない状況に置かれています。
極端な気候変動は、最も弱い立場に置かれた国々に大きな打撃を与え続け、アフガニスタン、アンゴラ、ハイチ、シリアなどでは特に人々の生活が苦しくなっています。
一方、新型コロナウイルスの世界的流行による経済的な課題は依然として残っており、今後も食料価格の上昇と飢餓を促進すると予測されています。
(2021年半ばに一時的に低下したものの、2020年5月以降、世界の食料価格は継続的に上昇しています)
FAOと国連WFPの報告書は、人々が重要な栄養を摂取することができなくなるという飢餓による最大の被害を警告するとともに、数百万人が飢餓や飢餓に起因する死に直面している地域について警鐘を鳴らしています。
それでは最も危険な4カ国を詳しく見てみましょう。
1. 南スーダン
最新の予測では、720万人が深刻な食料不足に直面しており、一部では飢きんのリスクもあるとされています。
ますます頻発する深刻な洪水は、多くの地域で人々の住む場所を奪い、農業生産に損害を与え、生計手段を破壊し、すでに弱い立場に置かれた人々の状況をさらに悪化させており、地域社会は対処に追われています。
最近の気候モデルは、4月以降も平均より雨の多い季節が続くことを示唆しています。
2. ナイジェリア
不安と高いインフレ率が、深刻な食料不足を悪化させています。
安全の確保が難しい地域ではアクセスが制限され、人道支援物資の到着に厳しい課題を投げかけています。
紛争の影響を受けているボルノ州では、人道支援と生活再建のための介入が継続されない場合、約1万3,500人が飢餓と死に直面すると予測されています。
3. エチオピア
2021年7月から9月の間に、ティグライ州で401,000人が飢きんとみられる状況に直面する可能性があると予測されました。
現在の人道的・商業的アクセスの制約が続き、ティグライ州で紛争が再開された場合、飢きんの高いリスクが残る可能性があります。
飢餓ホットスポット報告書の発表後に出された国連WFPとREACHの共同緊急食料安全保障評価では、ティグライ州における食料不安の大きさと深刻さが引き続き懸念されていることが強調されています。
また雨季に雨が少なければ、エチオピア南部での食料の確保の状況がさらに急激に悪化する可能性があります。
4. イエメン
イエメンでは、紛争と経済の衰退という悪い要素が重なり、飢餓が拡大しています。その結果、イエメンの全家庭の半数以上が必要な消費活動ができなくなっています。
2021年には、225万人以上の子どもたちと100万人以上の妊娠中および授乳中の女性が急性栄養不良となりました。