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食料が十分にある状態 から飢きんに至るまでの5つの段階

食料が十分にある状態から、最も極端な形の飢餓に至るまでの段階を見てみましょう。
, Mert Er
世界で4,500万人の人々が飢きんの瀬戸際で生活しています。Photo: WFP/Marwa Awad
世界で4,500万人の人々が飢きんの瀬戸際で生活しています。Photo: WFP/Marwa Awad

この記事(世界で4,500万人の人びとが飢きん危機に瀕しています。)を読むと、紛争、気候変動、新型コロナウイルスの大流行、経済的不安定が相まって、飢きんの瀬戸際で生活をしている人々が大勢いることがわかります。

アフガニスタンは世界最大の人道危機に瀕する国となりつつあり、その他にもエチオピア、南スーダン、シリア、イエメンなどの国々があります。

しかし、飢きんとはどのように定義されるのか、また人々がそのような壊滅的な飢餓のレベルに達するまでには、どのような段階があるのでしょうか。

しばし飢餓の「リヒタースケール」と呼ばれる食料不安を測る世界標準は、「総合的食料安全保障レベル分類(IPC)」です。ここでは、IPCが定義するさまざまな飢餓の段階について詳しく見ていきましょう。

1) 食料が十分にある状態(IPCフェーズ1)

アフガニスタンのヘルマンド州にて、国連WFPの食料支援を配給場所から運ぶ男性。Photo: WFP/Alessio Romenzi
アフガニスタンのヘルマンド州にて、国連WFPの食料支援を配給場所から運ぶ男性。Photo: WFP/Alessio Romenzi

活動的で健康的な生活を送るために必要な、十分で安全かつ栄養価の高い食品を手に入れることができれば、人々は「食料が十分にある状態」にあると言えます。

国連WFPの優先課題は、SDGs(持続可能な開発目標)2番の「飢餓をゼロに」に沿って、このフェーズを世界的に達成することです。このフェーズでは、栄養不良の人口は5%未満で、人々は安定した収入を得ています。ほとんどの人にとって、1日2,100キロカロリー以上の量と質の安定した食事があります。

2) 食料不安 (IPCフェーズ2)

南スーダンのジョングレイ州アコボ村の配給ポイント。気候変動のショックは、この国のすでに脆弱な食料の入手状況に拍車をかけています。Photo: WFP/Theresa Piorr
南スーダンのジョングレイ州アコボ村の配給ポイント。気候変動のショックは、この国のすでに脆弱な食料の入手状況に拍車をかけています。Photo: WFP/Theresa Piorr

このフェーズでは、人々が基本的ニーズを満たすことが難しくなり、食料以外のニーズを満たすために大幅な犠牲を余儀なくされる場合があります。

所得は維持できず、人口の5~10%が急性の栄養不良に陥ります。1日あたり2,100カロリーの摂取にとどまり、食料ニーズを満たすのにかろうじて必要な食事が得られることを意味します。

3) 急性食料不安 (IPCフェーズ3)

国連WFPは毎月、マダガスカル南部で75万人に食料支援を行っています。Photo: WFP/Krystyna Kovalenko
国連WFPは毎月、マダガスカル南部で75万人に食料支援を行っています。Photo: WFP/Krystyna Kovalenko

急性食料不安の状態では、必要不可欠な財産を売ることでしか最低限の食料ニーズを満たすことができない人や、限られた食事を得るために必要不可欠な資源を使い果たしてしまう人がいます。

食料の選択肢は限られており、人々は必要なカロリーを得るために極端な努力をしなければなりません。人口の10〜15%が急性栄養不良に陥り、人々の収入に深刻な支障をきたします。

 

4) 人道的危機 (IPCフェーズ4)

リディア・ヤクブさんと娘のビクトリアちゃんは、ナイジェリア北東部の採掘場で灯油を買うため順番待ちをしています。Photo: WFP/Patrick Fuller
リディア・ヤクブさんと娘のビクトリアちゃんは、ナイジェリア北東部の採掘場で灯油を買うため順番待ちをしています。Photo: WFP/Patrick Fuller

悲しいことに、最近ニュースで「人道的危機」という言葉をよく目にするようになりました。

このフェーズは、極端な食料不足に直面した人々の存在によって定義され、急性栄養不良のレベルが高く、飢餓による死亡のリスクが急速に高まっている状態です。

このフェーズでの所得の損失は不可逆的であり、人口の15〜30%が急性栄養不良に陥っています。人々は果物、穀物、野菜など3つ以下の食品群にしかアクセスできず、1日に摂取するカロリーは2,100キロカロリー以下です。

5) 飢きん (IPCフェーズ5)

イエメン: アル・ダーレの国連WFP支援診療所にて、栄養不良に苦しむ10ヶ月の男の子を抱く女性。Photo: Saleh Bin Haiyan
イエメン: アル・ダーレの国連WFP支援診療所にて、栄養不良に苦しむ10ヶ月の男の子を抱く女性。Photo: Saleh Bin Haiyan

飢餓の最も深刻なフェーズです。豊かな世の中に飢きんが未だに存在するのは恥ずべきことです。

飢きんとは、食料やその他の基本的なニーズを完全に満たすことができない状態を意味し、1万人のうち少なくとも2人が餓死または飢餓に関連する原因で病死します。

人口の30%以上が急性栄養不良に陥り、収入も途絶えてしまいます。人々は1つか2つの食品群にアクセスできるだけで、一人一日当たりのカロリーは極端に不足し、20%の家庭が極端な食料不足に直面します。

国連WFPは、飢きんに直面した人々に対し、緊急食料支援で命を救う活動を行う一方、さらなる緊急事態を防ぐためのプロセスなど、より長期的で複合的な活動として、教育、栄養、生活再建、社会保護制度の強化に取り組んでいます。

国連WFPの飢餓への取り組みについて詳しくはこちら

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