国連WFPの存在が希望:冬のアフガニスタンで飢餓―資金協力を要請
「これは時間との戦いです。支援を継続できるかどうか心配です」と、WFP国連世界食糧計画(国連WFP)アフガニスタン国事務所のシェリー・タックラール広報官はヘラートからのビデオ通話で語っています。
「資金が足りず、国連WFPは2022年に必要な支援拡大のために26億米ドルを必要としています。 1人当たりに換算すると、必要な金額は1日約30セントですが、この資金を確保するにはほど遠い状態にあります。」
国が壊滅的な干ばつと長年の紛争で揺らいでいる中、経済が急激に悪化し、厳しい冬がピークを迎えています。
人口の半分にあたる約2,300万人が食料不安に陥り、そのうち870万人が餓死の危険にさらされています。つまり、食料不安を測る国際的指標、総合的食料安全保障レベル分類(IPC)のフェーズ4にあたる「緊急事態」の飢餓にあり、最も深刻なフェーズ5の「カタストロフィー」にあたる壊滅的な飢餓まであと一歩のところまで来ています。
「毎日停電があり、家族は食料や燃料を買うお金もほとんどありません」とタックラール広報官は言います。「母親たちは、誰が食べるか、誰が食べないかという決断を余儀なくされていると言います。多くの場合子どもたちに食べさせるため母親自身が食事を抜いています。」
他の多くの産業と同様、建設業が停滞しているため、日雇い労働の機会はほとんどなく、人びとは身の回りの物を売る手段に出ていて、中古市場は、家具などの商品で溢れています。
「経済危機は、すでに脆弱で食卓に食べ物を並べることに本当に苦労していた人びとに影響を与えました」と、国連WFPのヘラート事務所所長であり医師でもあるカディール・アッセミーは言います。
国連WFPの活動
「隣国へ逃げようとする人の長い行列が見えるでしょう。私はイランとの国境から1時間のところに座っています。多くの人が、故郷に食料を送るためだけに、臨時の仕事を求めて(隣国へ)行くことを望んでいます。」
国連WFPはこれに対して何をしているのでしょうか?
「私たちは、最も脆弱な人びとを特定するための調査を行っているNGOなどのパートナーと協力し、食料配布や現金支給、栄養不良の子どもや妊娠・授乳中の女性に対する栄養価の高い食料へのアクセスを確保する方法などを計画しています」とアッセミー所長は述べました。
そして、道路や橋の建設、トレーニングによる人びとの能力向上など、国連WFPが引き続き取り組んでいる長期的な開発支援もあります。
国連WFPは学校給食支援の規模を拡大するために全国で活動しており、2022年には100万人の子どもたちに給食を届ける予定です。
また、女性のために、仕立てや手芸、ガーデニング、カーペット織り、さらには携帯電話の修理などのトレーニングも支援しています。「こうしたプロジェクトを通じて、2022年には100万人を支援する計画です」とタックラール広報官は言います。
国連WFPは効率的に移動する171台のトラックで、アフガニスタンの34州全てに食料を輸送しています。
しかし、「最も重要な要素が欠けています」とアッセミー所長は言います。それは、国連WFPが2022年に行わなければならない支援拡大のための資金です。
「資金は車のエンジンのようなもので、エンジンがあれば、タイヤも見つかるはずです」と彼は言います。
希望の兆し
「私たちが調達できない1ドル1ドルは、子どもや母親が空腹になること、また誰かが食料を得られる人と得られない人の選択を迫られることを意味します。私たちの活動への支援が確保できれば、春に最悪の事態を回避することができます。しかし、私たちには1分も無駄にする時間はないです。
医師としての訓練を受けたアッセミーは、付け加えます。「私は過去20年間、断続的に人道支援団体で働いてきましたが、これほどひどい状況は見たことがありません」
希望の兆しはありますか、と私は聞きました。
「国連WFPの存在が希望なのです」と彼は言います。「今回、寛大な支援をしてくださった方々に感謝します」 しかし、「悲しいことに、それは十分ではありません」と彼は続けます。
現在の危機の特徴は、都心の中産階級の人びとへの影響です。給料が支払われず、多くの人、特に女性は仕事を追われ、貯蓄は枯渇し、瀬戸際に徐々に追いやられています。
公務員から教師まで、都市部の飢えた人びとが、今回初めて食料と現金支援を受け取る列に並びました。
国連WFPとパートナーは、誰が緊急食料支援を必要としているか、継続的に世帯調査を行っています。以前は収入があったのに、今は収入が何もない人が増えているため、この活動は拡大しています。
アッセミー所長は、路上で彼にあらゆる人が助けを求めてくると言います。そうした人の中には大学教授や誰かがパンを買って分け与えてくれることを期待して市場をうろついている人もいると言います。
「誰もが何らかの支援を求めています」と彼は言います。「そして、私たちはすべての人を助けることはできないのです」
個人的なレベルでは、これは試練です。「多くの感情を伴うものですからね」と所長は言います。「このような話や要望を聞いたあと、気を休めるというのは、人間の能力を超えています」。
タックラール広報官は、「『大丈夫、明日には仕事がある』とは言えません、仕事がないという悲しい現実があります」と述べています。
彼女は付け加えます。「初めてこのような配布場所に来ると、非常に圧倒されることがあります。どれくらいの量の食料がもらえるのか、それは十分な量なのか、次はいつもらえるのか、などたくさんの質問を受けます。」
「中には、自分がどんな目に遭っているのかを伝えにくる人たちもいます。経済制裁が自分たちを破壊していることを世界に知ってもらう必要があるのです。 」