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アフリカ・デー:ブルンジで気候変動に見舞われた家族を支援する国連WFP

干ばつにより生活ができなくなった人々のニーズが、食料支援により満たされます。
, Jacques David
栄養不良の多いブルンジで、国連WFPの食糧支援を受けるジャンさんとフランシーヌさん。
栄養不良の多いブルンジで、国連WFPの食糧支援を受けるジャンさんとフランシーヌさん。 Photo: WFP/Arete/Fredrik Lerneryd

20年前、ジャン・ンカラミヒゴさんとフランシーヌ・カンヤナさんは、自分たちの農場を持ち、家族を養うための土地を求め、ブルンジのキルンドにあるヴンビという自治体に移住してきました。

その当時、この地域では農業が主な収入源であり、夫妻は簡単に生活ができると考えていました。しかし20年後、生活は彼らの期待とはまったく違うものとなりました。計画が狂った理由、それは、アフリカ大陸に共通する気候変動です。

キルンドで最も弱い立場に置かれた他の家族と同様に、ジャンさんとフランシーヌさんとその12人の子どもたちは、人道支援と賃金労働に頼って生きており、時には1日に1食しか食べられないこともあります。この夫婦は、2022年4月に国連WFPが基本的な食料需要を満たすために支援した、4万人の最も弱い立場に置かれた人びとの中の一人です。

「現地の行政官から“国連WFPから食料支援を受けることになった”と聞いたときは、とても安心しました。受け取った米、豆、植物油、塩で、今後数カ月間、より良い明日を夢見ながら食料難に向き合うことができ、とても助かります。国連WFPが提供してくれた食料に感謝しています」とジャンさんは言います。

ジャンさんとフランシーヌさんの住む地方では、2005年以降、度重なる干ばつで農作物が不作になり、日々の食料をどうしたら満たすことができるのか、多くの家族は不安に苦しんでいます。

「乾季が長く続くと、すべての作物(豆、トウモロコシ、ソルガム)に影響が出るので、次のシーズンは食料が乏しくなります」とジャンさんは言います。このような悲惨な状況のため、彼のような家族は他の県やルワンダ、タンザニアといった近隣諸国に仕事を求めざるを得ないのです。

「国連WFPの支援で、肥沃な土地を探すために近隣の県まで出かける必要がなくなったので、家事もできるようになりました」とフランシーヌさんは話します。

彼らは食料支援を受けるだけではありません。国連WFPは、ブルンジで最も栄養不良が深刻なキルンド県で、急性栄養不良への対処法を家族に教えています。

ブルンジのキルンド県で、地元で採れた食材を子どもに食べさせる方法を家族に教えるワークショップ。
ブルンジのキルンド県で、地元で採れた食材を子どもに食べさせる方法を家族に教えるワークショップ。Photo: WFP/Arete/Fredrik Lerneryd

GDPで世界第2位の貧困国であるブルンジは、アフリカ大陸の中央に位置する内陸国であり、その丘陵地帯の地形から気候関連の災害に対して非常に脆弱であることが指摘されています。豪雨、洪水、地滑り、干ばつなどが代表的な災害です。近年では、度重なる干ばつに加え、過剰な降雨により、タンガニーカ湖の水位が上昇し、何千人もの人々が避難を余儀なくされています。 

人口の90%が自給自足農業に依存しながら、土地の38%がひどく荒廃しているこの国では、人びとは資源の争奪戦に巻き込まれます。

今年、ブルンジは記録的な干ばつに向かっていますが、アフリカでこのような問題に直面しているのはブルンジだけではありません。サハラ砂漠の南側に位置するブルキナファソ、チャド、マリ、モーリタニア、ニジェールを含むサヘル地域は、現在ここ数年で最も乾燥した状態にあります。この5カ国では、2022年に1,050万人が飢餓に苦しむと予測されており、そのうち100万人以上が餓死の淵に立たされていると言われています。

アフリカの角と呼ばれる地域は現在、過去数十年で最悪の干ばつに見舞われており、紛争、新型コロナウイルスによる経済損失、継続する食料・燃料価格の高騰と相まって、この地域に属するエチオピア、南スーダンなどの国々は深刻な飢餓の危機にさらされています。

人道的な支援が緊急に行われなければ、干ばつによる飢餓に苦しむ人の数は2022年末には2,000万人に達する可能性があると言われています。しかもこのような事態は、ウクライナの戦争で世界の食物連鎖が寸断され、資源が底をつき、世界各地でかつてない飢餓が発生している年に起きているのです。

国連WFPは、2022年に1億4,700万人に食料を届けるために215億米ドルを必要としています。しかし、ニーズと資金のギャップはかつてないほど大きくなっています。

気候変動により、異常気象の頻度と深刻さが増す中、国連WFPをはじめとする人道支援機関は、緊急災害対応のみに注力することは解決策にならないと警告しています。そのため、国連WFPはブルンジをはじめとするアフリカ大陸の多くの国々で、緊急支援プログラムを長期的な解決策と組み合わせて実施しています。

2021年、国連WFPはブルンジでおもに気候変動のために国内避難民となった19万2000人を食料と現金給付で支援し、今後数年間はこれを続ける予定です。

さらに、国連WFPはギテガ県、カルーシ県、カンクゾ県で実施された活動を通じて、政府の気候変動対処計画の整理に協力しました。これらは、土壌の回復、雨水活用、そして木の苗木や裸地の再植林など、気候変動のショックに耐性を持たせるような活動を通じて、住民が食料支援に頼らず、自らの生活を維持できるよう役立っています。

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