中東情勢の緊迫で、食料不安が過去最高水準に達する可能性があると予測
• 世界の食料不安人口は、ウクライナ戦争が始まった頃と同水準に達する可能性があります。
• アフリカとアジアの輸入依存国は、飢餓リスクが最も急増する可能性があります。
【ローマ】世界食糧計画(WFP)は、中東での情勢悪化が世界経済を不安定化させ続けた場合、2026年には世界中で深刻な飢餓に直面する人が過去最多に達する可能性があると警告しています。
WFPの新たな分析によると、紛争が今年6月ころまでに終結せず、かつ原油価格が1バレル100米ドルを超える状態が続いた場合、最大で4,500万人近くが急性食料不安、もしくはそれ以上の深刻な状況(総合的食料安全保障レベル分類のIPC3+)に陥る可能性があると推計しています。これは、すでに世界で食料不安に直面している3億1,800万人に加わることになります。
2022年にウクライナ戦争が始まり、生活費の危機が引き起こされた際、世界の飢餓は過去最高に達し、3億4,900万人が影響を受けました。中東の紛争が続けば、今後数カ月で私たちは同様の状況に直面する恐れがあると予測しています。2022年当時、食料価格は急速に高騰した一方で、下落には時間を要しました。その結果、すでに飢餓に苦しんでいた脆弱な人びとは、主食の価格が一夜にして手が届かない水準となり、その状態が長期間続きました。
2026年の紛争は世界の「穀倉地帯」ではなく「エネルギー供給源」で起きていますが、エネルギー市場と食料市場は密接に連動しているため、その潜在的な影響は類似しています。
現在、食卓にわずかな食べ物しか並べらない脆弱な人びとが、近い将来ほとんど、もしくは全く食料を買えなくなる状況に追い込まれる可能性があります。
「この紛争が続けば、その衝撃は世界中に広がり、すでに次の食事を買う余裕がない人びとが最も大きな影響を受けることになります」と、WFP副事務局長兼最高執行責任者のカール・スカウ氏は述べました。「十分な資金が確保された人道支援がなければ、すでに瀬戸際にある何百万人もの人びとにとって壊滅的な事態となりかねません」
ホルムズ海峡で事実上船舶がほとんど動かなくなっていることや、紅海の海上交通に対するリスクの高まりによって、エネルギー、燃料、肥料のコストはすでに上昇しており、中東以外の地域でも飢餓を深刻化させています。紛争の影響は広範囲に及び、その余波に最もさらされるのは、世界で最も脆弱な人びとです。
WFPの分析によると、サハラ以南のアフリカ諸国とアジア諸国は、食料と燃料の輸入に依存しているため、最も影響を受けやすいとされています。予測では、西部・中部アフリカで食料不安の人びとが21%増加し、東部・南部アフリカでは17%増えると見込まれています。アジアでは24%の増加が予測されています。
たとえばスーダンは、小麦の約80%を輸入に依存しており、主食の価格が上昇すれば、さらに多くの人びとが飢餓に追い込まれることになります。深刻な干ばつに見舞われているソマリアでは、紛争が始まって以来、一部の必需品の価格が少なくとも20%上昇しています。これらはいずれも、近年飢きんを経験し、高い食料不安レベルにある国々です。
この危機は、WFPが深刻な資金不足に直面している中で発生しており、そのため全ての大陸で事業の大幅な優先順位付けを余儀なくされています。結果として、本来支援を必要としている人びとが支援から取り残されている状況です。さらに、資源の増加を伴わないまま食料不安がさらに悪化すれば、すでに飢きんの危険にさらされている世界で最も脆弱な国々にとって、壊滅的な事態となりかねません。
編集者向け注記:
紛争と世界の飢餓に関する影響を算出するために、WFPはまず、危機前の「1日2,100キロカロリーの十分な食事を購入できない人びとの数」を基準としました。そのうえで、原油価格が100米ドルのまま持続し、輸送コストと世界の食料価格が上昇する状況をモデル化しました。さらに、各国のエネルギーおよび食料の輸入依存度に応じて影響を加重し、同じ食事を購入できなくなる人々の数を再計算しました。その差分が、急性食料不安の予測増加数となります。
新たに急性食料不安に陥ると予測される数字は地域別に以下のとおり。
- アジア:10カ国の910万人(人口の24%相当)
- 東部・南部アフリカ:16カ国の1,770万人(人口の17.7%相当)
- 中南米およびカリブ海地域:3カ国の220万人(人口の16%相当)
- 中東および北部アフリカ:12カ国の520万人(人口の14%相当)
- 西部・中部アフリカ:12カ国の1,040万人(人口の21%相当)
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世界食糧計画(WFP) は世界最大の人道支援機関であり、緊急時には命を救い、食料支援を通じて人々が紛争、災害、気候変動の影響から立ち直るための平和と安定、繁栄への道を築いています。
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田中 理子 satoko.tanaka@wfp.org