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制限と治安悪化の中、ガザで食料配布を実施

【パレスチナ・ガザ】WFP 国連世界食糧計画は、ガザ地区で治安の悪化、アクセスの制限、そして食料支援を必要とする人々の間で絶望が広がる中、命を守るための食料支援の提供をガザの中に入って継続しています。

WFPが行った最新の調査では、3人に1人が数日間まったく食事をとれていないことが明らかになっており、より多くの人々が飢餓の危機に直面しています。
318日以降、70万人以上が避難を強いられており、ガザ地区の約85%が現在、軍事活動が活発な地域とされています。

ガザにおける食料不安とWFPの活動に関する最新情報をお知らせします。パレスチナに滞在したWFP副事務局長カール・スカウによるコメントも含まれています。
 

ガザにおけるWFPの支援活動
521日に国境が一部再開され、限られた人道支援物資の搬入が再開されて以来、WFPはガザへの支援活動を拡大。これまでに1,200台以上のトラックで18,247トンの食料支援を搬入しました。しかし、これは200万人以上の人々が生存するために必要な量のごく一部にすぎません。

〇搬入された食料支援の内訳(73日時点):
・パン用の小麦粉:12,275トン
・すぐに食べられる食料:5,828トン
・緊急栄養補助食品:113トン
・パン作り用の酵母:30トン

〇トラックの食料は空腹な市民によって途中で奪われるケースが多発していますが、WFPは一部の地域で直接配布を実施しています。内容は以下の通りです:
・直接配布により支援を受けた人数:24,649人(5,357世帯)
5歳未満の子どもおよび妊娠中・授乳中の女性への栄養支援:102,544人(配布拠点92か所)
・栄養補助食品の配布:11,125
・パートナー団体と協力し、6月にはコミュニティキッチン72か所を通じて計25万食の温かい食事を提供

〇 イスラエル当局は、ガザ地区での人道支援活動の環境が改善されること、そして今後、より多くのトラックが食料支援を搬入できるようになる旨を文書で保証しました。
〇 この保証には、搬入ルートや国境検問所の追加、通関手続きの迅速化、安定した通信環境の確保、ならびに車列周辺に武装した人員を配置しないことなどが含まれています。
〇 WFPはイスラエル当局と合意のもと、ガザに1日あたり2,000トンの食料支援を搬入することを目標としています(北部と南部にそれぞれ1,000トンずつ)。
WFPは停戦が発効した場合に備え、食料支援の拡大に即応できる体制を整えています。現地には経験豊富なチームが常駐し、大規模な対応が可能なシステムも確立しています。
  直近の停戦期間中、WFPは他の人道支援機関による支援の約40%をサポートし、8,000台の食料トラックを手配して飢餓の拡大を食い止めました。今後も同様の対応を行う準備ができています。
  WFPは現在、地域内および輸送中の状態を含めて14万トン以上の食料を確保しており、これは全住民(210万人)に対して約2か月分の食料を供給できる量です。

ガザ地区の食料ニーズ

〇ガザでは今なお、飢餓への恐怖と、食料を求める切実なニーズが極めて高い状態が続いています。
〇 WFPの最近の調査によると、3人に1人が数日間まったく食事をとれていないことが判明しています。
〇 最新の総合的食料安全保障フェーズ分類(IPC)では、紛争が続き、必要な支援を届けられない限り、飢きんが発生するリスクが高いと警告されています。

〇 今年5月から9月の間に、約47万人が「壊滅的な飢餓」(IPCフェーズ5)に直面すると予測されています。
〇 栄養不良も急増しており、約9万人の子どもと女性が緊急に治療を必要としています。
〇 人々が食事をとるための唯一の手段は支援です。
・紛争が起こる前に比べてパン用の小麦粉の価格は約3,000倍に高騰しており、1キロあたり23ユーロ(約3,900円)。調理用の燃料もまったく入手できない状況です。
 

支援活動拡大のために必要な条件
WFPは、最も脆弱な家庭に対して命を守るための支援を直接届ける準備が整っています。そのためには、以下の条件が緊急に必要です。
〇 1日あたり少なくとも100台のトラックが、ガザ北部・中部・南部の各国境検問所を通過できること
〇 検問所からガザ内部へのトラック搬入の迅速化
〇 支援物資を積んだ車列のルートや、住民への配布拠点付近に武装した人員がいないこと
〇 各人道支援機関が連携して活動できるようにするための安定した通信環境の確保
〇 安全かつ大規模で効果的な人道支援を可能にする、持続的な停戦の実現

編集者への注記

カール・スカウ副事務局長は、71日から2日にかけてガザ市内を訪問し、現地の家族と対話を行うとともに、人道状況を視察しました。以下は、スカウ副事務局長のコメントとして引用可能です:

「ガザ訪問は4回目ですが、状況はこれまでで最悪です。目の当たりにした絶望の深さは、言葉では表現できません。人々は食料を得ようとして命を落としています。私たちのコミュニティキッチンは空っぽで、今はほんの少しのパスタが浮いたお湯を配るのが精一杯です。ある母親は温かい食事を求めてキッチンを訪れましたが、何も持たずに帰るしかありませんでした。別の父親は、ここ2か月で25キロも体重を失ったと話していました。人々が飢える一方で、国境のすぐ向こうには食料があります」

「ガザで活動しているWFPのチームは、厳しい状況下で賢明に働いています。しばしば銃撃戦に巻き込まれ、酷暑の中、動けなくなった車の中で24時間待機しながら、戦闘地帯を移動しています。私たちには車両用の燃料も、トラックや車の交換部品も、通信機器すら十分にありません。そして現地スタッフは単なる支援要員ではなく、この地に暮らす住民でもあります。彼らも同じ危険にさらされ、同じように飢えています。このような環境では、支援活動を続けることはできません」

「即時の停戦が不可欠です。 私たちは支援を届ける準備ができています。食料も、体制も、支援システムも整っています。前回の停戦中には、42日間で8,000台以上のトラックによる食料支援を実現しました。再びそれを行うことは可能です。しかしそのためには、すべてのルートと搬入地点を開放し、安全と秩序を確保することが必要です。この停戦が、持続可能な平和への第一歩となるべきです」

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国連世界食糧計画(WFP は世界最大の人道支援機関であり、緊急時には命を救い、食料支援を通じて人々が紛争、災害、気候変動の影響から立ち直るための平和と安定、繁栄への道を築いています。

トピック

パレスチナ 紛争 緊急支援 ロジスティックスと輸送ネットワーク Food assistance 食料安全保障

お問い合わせ

WFP 国連世界食糧計画 日本事務所 広報
田中 理子  satoko.tanaka@wfp.org

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