WFPの食料搬入は続くも、危機と治安悪化で脆弱層に届かず
【ガザ、パレスチナ】 国連世界食料計画(WFP)は、ほぼ毎日ガザに食料を運送し続けていますが、現地の状況が過酷の一途をたどっており、飢餓を食い止めるために必要な量を届けることができていません。地域内の治安悪化が、最も脆弱な人々への支援物資の到達を妨げています。
以下は、ガザにおける食料安全保障とWFPの活動に関する最新情報です。
ガザの食料安全保障
2025年7月29日時点のIPC(総合的食料安全保障フェーズ分類)の最新評価:
- 飢餓と栄養不良は、約2年前の紛争開始以来、最も深刻な水準に達しています。
- 最も深刻とされる飢きんがガザで起きる可能性があります。飢きんの評価基準となる3つのうち2つが既にガザ地区の一部で確認されています。
- 人口の3分の1以上が何日も食事を取っておらず、急性栄養不良が急増しています。30万人以上の子どもが深刻な危険にさらされています。
- ガザでは50万人が飢きんの瀬戸際にあり、その他の人々も緊急レベルの飢餓に苦しんでいます。
WFPの活動
- 2025年8月7日時点で「人道的一時休戦」が発表されてからの11日が経過しています。WFPはガザ内部に10,400トン以上の食料を、800台以上のトラックで搬入することができました。
- 7月27日以降、ガザに入るWFPトラックの数はわずかに増えましたが、必要量には足りていません。ガザに食料を搬入しているWFPのチームは、平均して74台のトラックで構成されています。
- 食料ニーズを満たすには、毎月62,000トン以上が必要です。
- WFPは毎日2,000トンの食料を国境検問所からガザに搬入することを目指していますが、7月27日以降、目標の47%しか達成できていません。
- ガザに搬入されている食料には、小麦粉、調理用の食材、調理済み食品、酵母、栄養補助食品が含まれています。
- ガザに食料を搬入するほぼすべてのトラックが、WFPの倉庫に到達する前に市民によって止められており、組織的な配布は不可能となっています。このために、炊き出し施設はWFPからの供給が滞ってしまい、パン屋も再開できない状態です。
- イスラエル当局はガザの環境が改善され、より多くの支援食料がガザに流入できるようにする旨を書面で約束しました。
- その書面には、より多くの輸送ルートと国境検問所での通関手続きを迅速に行うこと、安定した通信環境を確保し、車両の近くに軍隊がいないことを保証しています。
- WFPは17万トン以上の食料を保有しており、これは210万人の全人口に対してほぼ3か月間供給するのに十分な量です。
ガザ内部の活動環境
- 22か月にわたる戦闘の後、飢餓への恐怖が強まる中で、ガザの社会的秩序は崩れ、市民が食料を求める中で暴力が発生しています。
- 最も脆弱な市民は、食料を受け取ることが不可能です。パン屋は閉鎖され、わずかに機能している炊き出し施設も十分な食事を提供できないため、支援にアクセスできない状態です。
- イスラエル当局からの書面による保証にもかかわらず、WFPは依然として、職員や運転手が危険性の高い同じルートを通ってガザを移動せざるを得ない状況にあります。
- 支援車両の移動は、イスラエル当局による直前の変更や、輸送ルート沿いの軍事活動による深刻な治安の悪化によって頻繁に妨げられています。
- 支援車両は、ガザに入る最終許可を得るまでに何時間も待つことが常態化しており、既知のルート沿いには空腹の人びとが大勢集まり、トラックを止めようとしています。
- WFPは国境検問所での備蓄を補充する際も、困難に直面しています。7月27日以降、検問所に到着したWFPのトラック266台が引き返しを命じられましたが、このうち31%は許可されていたものでした。
- WFPが使用できる国境検問所は、現在2か所のみです。
- これまでに、ガザで食料を輸送するために承認を受けたトラック運転手は60人のみで、さらなる人員が緊急に必要とされています。
ガザへの食料支援の拡大
- ガザの人びとの絶望を和らげるためには、迅速かつ大規模、そして安全に食料を届けることが不可欠です。
WFPは以下を求めています:
- 北部・中部・南部の各国境地点から、1日あたり最低100台のトラックがガザに入ることを許可すること
- 市民と職員の安全のため、ガザ内部でのトラック移動にかかる通行許可を大幅に迅速化すること
- 人道支援の車両や食料支援などの活動現場の近くで発砲しないことを、現地のすべての軍事部隊が遵守すること。
- 飢えに苦しむ人びとを救護するため、パン屋や地域の炊き出し施設を再開すること
- 果物、野菜、肉、魚、乳製品などの新鮮で栄養価の高い食料へのアクセスを確保するため、商業的な食料輸入を定期的かつ継続的に行うこと
そしてWFPはガザ内部のすべての人々に対して、安全で確実に大規模な支援を届けられるよう即時の停戦を求めます。
国連世界食糧計画(WFP) は世界最大の人道支援機関であり、緊急時には命を救い、食料支援を通じて人々が紛争、災害、気候変動の影響から立ち直るための平和と安定、繁栄への道を築いています。