危機が拡大するパキスタン シーランWFP事務局長が被災地を訪問
8月31日、ジョセット・シーランWFP事務局長がパキスタンの洪水被災地を視察した。 ヘリコプターに乗り、上空から水浸しになった農地や村を目の当たりにしたシーラン事務局長は、改めて今回の洪水の被害の大きさを実感したという。「この大洪水で、農作物はおろか、種まきに必要な種も流され ました。現地の人たちは飢餓、住居喪失、絶望という三つの脅威にさらされています。事態は極めて深刻です。パキスタンの人々を救済するため、継続的な支援が必要です」と話した。
被災した女性と交流するシーランWFP事務局長
シーランWFP事務局長は、ユニセフのアンソニー・レーク事務局長と共にパンジャブ州の小さな村で簡易避難所として使われている学校を訪問。二人は支援の必要性の大きさを再確認した。人々の生活環境は最低限と言えるレベルだが、WFPの支援により少なくとも1か月分の食糧は確保されていた。WFP はこれまでに300万人近くの洪水被災者へ1ヶ月分の食糧を配給している。
シーラン事務局長は、避難所にいた女性たちと交流。女性たちは洪水が襲ってきたとき、自分の子どもたちと着の身着のままで逃げたことをシーラン事務局長へ話した。住んでいた家が洪水に飲み込まれ流されてしまったのを見て、泣いて悲しんだと話す女性もいた。また、明らかに栄養不足の生後6ヶ月の女の子を世話していた女性は、息子が洪水で流されてしまったと話した。
きれいな水が不足していることから、病気の蔓延も懸念されている。皮膚病、マラリア、蛇や犬に咬まれて病気になる者もいる。このような衛生状態では、子どもの健康が最も懸念されており、WFPは子どもたちを対象に栄養強化食品を配布している。
食糧価格も高騰しており、「食糧価格は3~4倍になった」との声も多く聞かれた。輸送路の寸断や渋滞が解消されない限り、被災地の市場への供給不足は続く見込み。