気候変動にさらされる人々
WFP 国連世界食糧計画は、40年以上にわたり、天候に振り回される人々を支援してきた。
彼らにとっては、自然とはかたや友になり、かたや敵にもなる存在だ。
適量の雨が降れば、豊作となり、十分な食糧を収穫することができる。しかし、雨が降りすぎたり、あるいはほとんど降らなかったりすると、災害が猛威を振るう。
ローマ発――世界では多くの人々が天候に大きく左右される生活を営んできたが、ここ数十年間で加速している気候変動により、さらなる貧困と飢えに陥っている。
WFPは、自然災害にいち早く対応する国連機関だ。1990年代の半ば以降、自然災害の発生件数は倍増し、それに伴いWFPが出動する機会も増えた。そして私たちは支援現場で、気候変動の猛威にさらされた人たちを目のあたりにすることになった。
WFPは緊急食糧支援のみならず、災害への備えや適応策も促進している。以下は、ますます予測ができなくなりつつある気候の影響で、不安定な状況におかれた人々をWFPが支援した3つの例である。
エチオピア――エチオピア政府と合同で、WFPは零細農家に対し、日照り続きの耕作地に降った貴重な雨を貯水するプロジェクトの支援を行った。この支援を受けた農家は、自給ができるようになった上に、余剰生産物の販売も始めた。
ハイチ――WFPはハイチで、山肌がむき出しの斜面に水路や壁をつくるプロジェクトを支援している。住民は、このプロジェクトの工事に参加すると、その労働力の対価として食糧を受け取ることができるという仕組みだ。これにより、ハリケーンの季節に雨水が町に流れ込み洪水を引き起こすのを防ぐことができる。
バングラデシュ――洪水が起こるたびに家屋が流出してしまうようでは、貧しい人々が飢えと貧困から抜け出すのは容易なことではない。支援を受けたうちの一人は、WFPと政府が開講した講座で防災の知識を得て、洪水被害が及ぶことのない家屋を建てることができた。