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国連WFP事務局長、レバノンのシリア難民支援活動を視察

2012年11月7日
ベイルート発
3日間の予定でシリア周辺諸国を訪問しているアーサリン・カズン国連WFP事務局長は7日、シリア難民に対する人道支援のニーズを把握するためレバノンを訪問しました。

 今回の訪問はカズン氏にとって、国連WFP事務局長として初の中東訪問です。午前中、カズン氏は、現在レバノンが直面している難問、及び国連WFPやパートナー機関の人道支援活動を巡って、レバノンのミッシェル・スレイマン大統領とナジーブ・ミーカーティー首相と会談しました。

 

カズン事務局長はレバノン政府のシリア難民支援活動を称え、「レバノン政府は、安全を求めて避難してきたシリア難民のためにシリアとの国境を開放し、そして国内での国連WFPの活動が円滑に進められるよう手助けして下さいました。心より感謝しております」と述べました。

 

午後、カズン氏は国境通過地点のベッカー高原を訪問し、支援センターにて難民が国連WFPから食糧引換券を受け取る様子を視察しました。また、バールベックにある街ブリテルを訪れて、食品店で食糧引換券を使って買い物をするシリア人とも会いました。

 

その後、カズン氏は、ホムス郊外からバールベックに逃げてきたシリア人の家庭を訪問し、避難の際の話を聞きました。

娘4人の母親である35歳のアベールさんは、「9ヵ月前、住んでいた地区に爆撃が始まり、家が倒壊して、私たちは着の身着のままで避難せざるを得なくなりました。 所持品を全部置いて逃げたので、生活に苦労しています。でも国連WFPからもらっている食糧引換券のおかげで一息つくことができて、少なくとも子どもを食べさせることには困っていません。」と語りました。

 

国連WFPは今月末までに、レバノンにいる約85000人のシリア難民に食糧引換券を配給することを目標としています。この引換券とは最新の取り組みの一つで、主に都市部に生活する難民に配られています。難民は引換券を用いて、現地の店で食品を選んで買うことができ、通常の食糧配給では配られない生鮮食品も手に入れることができます。また、このシステムは地域経済の活性化にもつながります。

 

カズン事務局長はベイルートで行われた記者会見で、「私は自分の責任として、今日会った難民たちの人道支援を求める声を届けなければなりません。シリア国内外を問わず、避難を余儀なくされているシリアの人びとが生きていく上で最低限必要とするものを届け続けるため、私たちは国際社会と連携しなければなりません」と述べました。

 

国連WFPは、シリアの隣国であるイラク・ヨルダン・レバノン・トルコにおいて、避難してきたシリア難民の食糧ニーズを満たすため、緊急支援活動を展開しています。

118日、カズン氏はヨルダンを訪問します。