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国連WFP シリア事務所長ムハナド・ハディ氏とのインタビュー 「困難伴うシリア支援に挑む」

7月初旬以来、国連WFPは激しい戦闘の続く町アレッポに4万人相当以上の食糧支援を届けてきました。しかし現地での活動は危険を伴い、困難な状況です。活動の状況について国連WFPシリア事務所長ムハナド・ハディ氏に話を聞きました。


Copyright WFP / photo library

1) どれだけ人道支援が必要とされているのですか。今後もそういった人道支援のニーズは増えそうですか。

シリアでの人道的支援の必要性はかなり高まっていますし、今後より一層必要とされるでしょう。アレッポやダマスカスでは紛争が激化し、大勢の人々がこの地域を避難しなければなりませんでした。彼らは、家や仕事、時には家族をうしない、大変苦しい状況の中で生きています。そういった中、食糧支援は最も優先されるべき課題です。現在の支援対象人数は85万人ですが、数ヶ月以内には150万人に支援できるように活動を拡大しています。

2) アレッポでの食糧支援活動はどのような状況ですか。

アレッポからは、何千人もが郊外や他の行政地区に避難しています。国連WFPはアレッポからの避難民に食糧を提供しており、また、まだアレッポで身動きが取れないでいる人々にも最大限支援を行うよう努力しています。

しかし、食糧を積んだトラックが街に入ろうにも安全な道が確保できないこともあるのです。支援は困難な状況ですが、私たちは7月にはアレッポにいる2万人の市民に食糧を支援しました。アレッポを含む行政地区全体では、4万6千人以上に食糧を支援しました。

3) 国連WFPが直面している最も難しい課題とは何ですか。

治安の悪化です。国連スタッフが足を踏み入れることが禁止されている地域もありますし、その場合は配給や配給後のモニタリングを行うことが出来ません。装甲車両を調達してからは、以前行けなかった場所にも行けるようになりました。職員は臨機応変に対応しており、電話で住民からの聞き取りをしたり、地元密着の団体から情報を得たりしています。大変困難な状況の中で彼らは勇敢に仕事をこなしています。

4) こういった地域にはどのように食糧を輸送しているのですか。

国連WFPはシリア•アラブ赤新月社(SARC)と協力しながら、食糧を提供しています。状況によって配給の方法は変わります。時には赤新月社の支部で食糧が配給されます。危険な地域では、赤新月社のスタッフが家から家へ回って直接配給します。その他の場所では、他の地域団体や慈善団体の力を借りることもあります。

5) どのようにして食糧が運送されているのですか。

食糧は一旦シリアに届くと、まず国連WFPのトラックによってダマスカスに届けられて包装されます。そこから各地に向け輸送されます。

6) 食糧支援の対象者をどのようにして決めるのですか。

私たちはシリアに14つある全ての行政地区に支援を行っており、最も紛争の影響を受けた地域に住んでいる人達を重点的に支援しています。

最も弱い立場に置かれている人々が食糧支援を直ちに受けられるよう、私たちは、①戦闘地域やその付近に住んでいる人々、②安全な場所に避難した人々や、避難民を受け入れている家庭、③経済悪化の打撃を受けやすい都市・農村部の貧困層、に重点を置いて支援しています。

7) どのような食糧を提供しているのですか。

食糧はひと月に一回配給されます。これで、一日に必要とされているエネルギー量の3分の2が摂取できます。配給食糧には米、小麦、パスタ、油、白豆、砂糖、塩、肉の缶詰が含まれています。子供の栄養不良を避けるため、来月からは子ども向けの特別な食糧も追加されます。

8) ヨルダン、レバノン、トルコ、イラクに逃れたシリア人はどうなっているのですか。

これらの周辺国に逃れた12万人のシリア人難民に支援を行うため、国連WFPは難民支援プログラムを開始しました。シリア難民には避難先の商店で食品を購入するための食糧引換券が配られました。この制度はもう既にレバノンやヨルダンで始まっていて、イラクやトルコでも近々始める予定です。

9) 支援活動をして良かったと思うのはどんな時ですか。

食糧が配給されているときに、人々の笑顔が見られるのが最も嬉しいことです。私たちの職員は助けを必要としている人の手助けができることへの満足感や誇りで笑顔になります。また、食糧を受け取る人の笑顔からは、喜びと安堵の気持ちがうかがえます。