F1チーム、飢餓撲滅へ向かって走る
ロンドン発
6月21日に行われるF1世界選手権シリーズ第8戦、イギリス・グランプリ(GP)にて、パナソニック・トヨタ・レーシングのF1ドライバーたちが、世界の飢餓撲滅のために、国連の食糧機関、WFP 国連世界食糧計画(WFP)を支援することになった。
ヤルノ・トゥルーリ選手とティモ・グロック選手は、2009年のシーズンの間ずっと、WFPが行う「一杯の給食キャンペーン」のロゴマークが掲載されたF1マシン・TF109でレースを行う。「一杯の給食キャンペーン」とは、空腹のまま学校へ通っている世界の子どもたち6600万人に、少なくとも一日一杯の学校給食を提供しよう、というキャンペーン。このキャンペーンのロゴをマシンに掲載することにより、世界中のF1ファンが、飢餓問題への認識を高めることが期待されている。
「会場にレースを見に来るファンや、テレビでレースを観戦する何百万人のモータースポーツファンにメッセージを届ける最高の機会だ」と、ドライバーのヤルノ・トゥルーリは語る。「一人の子どもに一杯のお粥を配給するにはおよそ25円しかかからない。一人一人ができることがあるということを、なるべく多くの人に知ってもらわなければならない。」
サンタンデール・イギリス・グランプリがシルバーストーン・サーキットにて行われるのは今回が最後で、イギリスのトップ・ドライバーのジェンソン・バトンとルイス・ハミルトンが対決することもあり、注目が高まりそうだ。
「F1によって、多くの人々が飢餓問題へと関心を向け、お腹をすかせた子どもたちを助けなければならないと思うことでしょう。飢餓問題の解決には、資金のみならず、人々が問題を認識するということがとても重要です。」と、WFP広報・渉外担当(民間部門)部長のナンシー・ローマンは述べた。
パナソニック・トヨタ・レーシングのF1マシンへの「一杯の給食キャンペーン」のロゴ掲載は、サウジアラビアを拠点に活動している世界最大のトヨタ代理店、アブダル・ラティフ・ジャミールグループ(ALJ)が広告料を支払うことで実現した。ALJは今まで、自社の広告をパナソニック・トヨタ・レーシングのF1マシンに掲載してきた。
慈善団体のキャンペーンロゴがシーズンを通してF1マシンに掲載されるのはおそらく今回が初めてではないだろうかとWFPのローマン氏は述べている。
昨年の食糧・燃料価格高騰に相次いで世界を襲った経済危機により世界の飢餓状況は悪化しており、飢餓撲滅は一層急務となっている。最近の研究によると、多くの家庭は食事回数を減らし、安価で栄養価の低いものを食べている。また、世界経済の低迷により、各国政府からの拠出金が減ることをWFPは懸念している。
WFPは世界68か国で2000万人以上の子どもに学校給食を配給している。「一杯の給食キャンペーン」は、学校給食プログラムへの資金調達を目的としている。