知花くららさん スリランカ訪問
2010年8月、WFPオフィシャルサポーターの知花くららさんが、スリランカを訪問しました。スリランカは、政府と反政府勢力「タミル・イーラム解放の虎(LTTE)」との間で25年以上にわたって続いた内戦が、去年5月に終わったばかりです。知花さんは、激しい戦闘が行われた北部地域の村と学校を訪れました。
訪問した北部は激しい戦闘が行われた地域で、砲撃の傷跡がそこかしこに残っていました。
最初に訪れたのは、北部キリノッチ地域のピラナンマル村。およそ600世帯、計2,000人の住民は、元々は北部の別の場所に住んでいましたが、戦闘が激しくなり、キャンプへ避難しました。内戦終結後、元々住んでいた土地に戻ろうとしましたが、地雷の除去が済んでいないなどの理由で戻ることができず、今年の春に、ピラナンマル村に移住することになりました。
案内してもらった住居は、ビニールシートで仮の屋根をつけただけの簡素なもので、雨漏りがひどく、サソリやヘビが侵入してくることもあるとのこと。電気は通っておらず、飲み水は遠くまで行かないと汲めません。村の中は地雷除去が住んでいますが、周辺地域はまだ地雷や不発弾が残っているため、農業や牧畜を行うこともできない状況で、住民はWFPが配給する食糧を唯一の生活の糧として命をつないでいました。
WFPはこの村で、月に一回、一日三食分の食糧(米、小麦、豆、砂糖、食用油)を配給しています。配給現場では、袋からこぼれてしまった食糧をおじいさんが一粒一粒拾い集める姿が見られ、一粒すら無駄にできない生活の厳しさをあらためて感じさせました。
住民は、内戦で家族を亡くしたり怪我を負ったりしたつらい経験や、生活の大変さを口々に知花さんに訴えました。「今、目の前で話している人たちが、『ある日突然、日常を奪われた』という事実が本当に衝撃的だった」、と知花さん。戦闘が終わっても、一から生活を再建しなければならないという困難な日々が続いています。
翌日は、北部マナー地域のヴァダカンダル学校を訪問しました。内戦中に校舎が爆撃を受け破壊されましたが、内戦終了後に新校舎が完成し、今年2月に再開校した学校です。1~9年生およそ310人がWFPの学校給食を食べながら学んでいます。
この日の給食は、豆のカレー。日本から贈られた缶詰のツナに加え、玉ねぎ、にんじん、にんにく、青唐辛子、ココナッツとスパイス各種が入っている、スリランカならではの給食です。WFPは主に、米、豆、食用油を提供し、野菜やスパイスは学校が地元からの寄付を受けたり政府の助成金で購入したりしています。
すすめられ、知花さんも子どもたちと一緒に床に座り、カレーを食べてみました。「本当においしい!」と知花さん。スパイスがほどよく聞いた、味わい深いカレーでした。
知花さんが子どもたちに朝食を食べたかどうか聞くと、クラスの半数ほどが「食べていない」と答えました。学校から家が遠い子は、5キロ以上の道のりを空腹でやってきます。「給食はおいしくて力が出る」「みんなで食べられるから楽しい」と子どもたち。夢を聞くと、一所懸命勉強して、学校の先生や聖職者になりたいなどと答えました。
今回、知花さんは、開発途上国の今を伝え、一人ひとりの国際協力活動を応援する「なんとかしなきゃ!プロジェクト」の著名人メンバーとしてスリランカを訪問しました。同プロジェクトのホームページYouTubeチャンネルで、訪問時の動画が公開されています。また、知花さんのブログにも、たくさんの写真とともにスリランカ訪問の報告が掲載されています。あわせてご覧下さい。