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学校が閉鎖されても給食を届け続ける ―ネパールから

, WFP日本_レポート

国連WFPはバジャン地区の子どもたちが栄養価の高い食事をとり続けられるよう支援しています。

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近所の友達と鬼ごっこをして遊ぶアシキ(中央の少女) Photo: WFP/Rajendra Rasaili

ネパールの多くの子どもたちと同じように、アシキもこの3カ月間、コロナウイルスの影響で学校を休んでいます。弟と遊んだり、母親の家事を手伝ったり、学校が閉鎖される前に借りてきた絵本を読んだりして過ごしています。

アシキは、自分は落ち着きがないことが多いと言います。「コロナウイルスのせいで、学校に行けなくなったり、友達に会えなくなったり、好きなことができなくなったりするので、心配です。私が一番恋しいのは、学校のキッチンで家族のようにみんなで一緒に給食を食べることです」。

コロナウイルスによって断たれた食事を確保するために、国連WFPはネパールの教育省と地方政府と共に、厳格な安全衛生要綱の下で、子どもたちとその家族に向けて約1,500トンの米、レンズ豆、植物油を15万世帯に配布しています。

学校の閉鎖は世界中の何百万人もの子どもたちの将来を危険にさらしており、学習能力だけでなく、栄養価の高い食料や健康支援制度を受けることにも影響を与えています。国連WFPの新たな推計によると、国連WFPが活動している国々の急性飢餓状態にある子どもたちの数は今年、2億7,000万人-世界的大流行しているコロナウイルスの社会経済的な影響等によりそれ以前の数値の82%増―に増加する可能性があります。

3月以来、ネパールの240万人の子どもたちが、かつて学校で食べていた栄養価の高い給食―彼らの多くが頼りにしていた唯一の適切な食事―を食べられなくなっています。

大きな黄色いマンゴー

アシキの一日は、たっぷりのローストコーンとヨーグルトと、一杯の新鮮な牛乳の朝食で始まります。彼女は日当たりの良い中庭で朝食をとるのが好きです。アシキの家族は伝統的な水牛農家なので、1日に2回は牛乳を飲みます。しかし、今の季節は、インド産の大きな黄色いマンゴーをはじめとする旬の果物が不足していて、なかなか手に入りません。

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中庭で母のパドマと物語を読むアシキ。Photo: WFP/Rajendra Rasaili

アシキは毎日運動することを心がけています。弟と一緒に、家から給水タンクまで体を動かしながら歩いて水を運ぶことを欠かしません。「人が密集するとコロナウイルスが広まっててしまうので、朝早く来て急いで水を入れて帰ります」とアシキは言います。アシキは笑いながら、弟と一緒に給水タンクから家事で使う分の水を運びます。

家に着いて彼女たちが最初に行うのは、学校で習った方法で手洗いをすることです。「コロナウイルスの感染を防ぐ最も安価で簡単な方法の一つは、頻繁に手洗いをすることです」と言いながら彼女は、まず石鹸と水で自分の手を洗ってから、弟が同じように手を洗うのを手伝います。

飢える人がいないように

9歳のアシキは、家族のためにお昼ごはんを作ってくれるお母さんをキッチンでよく手伝います。プリ家は食事量を減らしていますが、1日3回の普通の食事をしています。「鶏肉や卵を減らして、お金を少しでも節約するためになるべく少ない種類の食事をしています」とアシキの母親のハルカは、夫から支給される毎月の生活費を節約するために自分で編んだハンカチをいじりながら話します。

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勉強がしたい、アシキは強く願います。Photo: WFP/Rajendra Rasaili

世界最大の学校給食の支援者である国連WFPは、2002年以来、米国農務省の資金援助を受けて、バジャンをはじめとする西ネパールの10地区の公立小学校の25万人の子どもたちに栄養価の高い昼食を無料で支援しています。私たちが届ける一皿の栄養強化米、レンズ豆、栄養強化植物油、ヨウ素添加塩が、子どもたちの一日の必要摂取量の30%を賄っています。

学校で出される食事は唯一の適切な食事であり、子どもを持つバジャンの多くの家庭の支えになるのです」とアシキの父、ハルカさんは言います。「パジャンでは通常時においても食料はいつも不足しているので、学校給食はバジャンの多くの家庭にとって、とても重要なものなのです。」