学校給食がひらく、子どもたちの可能性
インドシナ半島の内陸国ラオス。メコン川が南北に流れ、山岳地帯や高原が国土の約70%を占める、アジアで最も貧しい国のひとつです。
2002年、国連WFPはラオス北部で学校給食支援を開始しました。この支援を通じて、ラオス北部の5万人の子どもたちが、毎日ご飯や缶詰の魚、植物油、レンズ豆、そして微量栄養素で栄養強化したトウモロコシと大豆の粉で作られた給食を食べて育ちました。
現在20歳になったケオも、学校給食で育った最初の生徒たちのひとりです。
毎朝、おなかを空かせて学校へ
ラオス北部、霧深い山々と緑豊かな田んぼに囲まれた辺境の美しい小さな村。ここルアン・ナムタは、多様な少数民族の故郷の地です。アカ族のケオもここで生まれ育ちました。
「私は子どもの頃、いつも朝早くに学校へ行きました。自宅で朝ごはんを食べたことはありません。幸いなことに、先生が休憩時間にトウモロコシと大豆でできた軽食を配ってくれました。まさにベストなタイミングで私たちの空腹を満たし、学業に集中することができました。そのおかけで、私は毎日学校に行きたいと思うようになりました」とケオは説明しました。
「国連WFPの支援はとても嬉しかったです。両親も私に学校に行くようにと、いつも促しました。なぜなら、私が学校に行くと、お米と魚の缶詰を受け取ることができたからです。それが学校に行きたいもうひとつの理由でした。地域の人たち、中でも貧しい家族たちにとって、国連WFPの支援は大きな支えでした」とケオは言います。
空腹を満たし、学ぶ楽しみ
これがラオスで始まった最初の学校給食支援でした。子どもたちの飢餓を減らすために始められ、子どもたちは学校の授業に集中できるようになりました。学校給食支援のおかげで、学校に通う子どもたちが増え、特に女の子たちの就学の機会が増しました。学校給食支援によって、家族も子どもたちを学校に通わせる恩恵を受け、就学率の向上につながったのです。
現在、国連WFPは、子どもたちの学校の出席率と教育の質の向上に取り組んでいます。地方の僻地に住む子どもたちも含め、子どもたちがよりよい人生のスタートが切れるよう、識字教育が導入されています。
学校給食が育む、夢と希望
「子どもの頃の夢は、先生になることでした」「勉学を続け、卒業後は故郷の村に戻って、教師になると決めていました」
2018年7月、ケオは長年の夢を叶え、教員課程を修了して大学を卒業しました。ケオは、自分の言語能力を使って、地域の次世代の子どもたちを支援する計画です。
ケオのルーツでもある少数民族のアカ族は、ラオスの中でも最も取り残されている民族のひとつです。ラオスの少数民族の多くは、識字率が70%を超える中、アカ族の女性の識字率は35%に留まります。
「ほとんどのアカ族の子どもたちは、ラオスの公用語である"ラオ語"を知りません。ラオ民族の先生から"ラオ語"を学ぶことは、アカ族の子どもたちにとって難しいことです。私はアカ族の出身なので、アカ族の言語とラオ語、両方を知っています。だから、アカ族の子どもたちに、わかりやすく教えることができると思います。子どもたちの成長を目にし、そして、故郷の村が発展していくことを見てみたいです」
ラオスの学校給食支援は16年続いており、現在、ラオス国内30地区で145,000人の生徒たちの健康を守っています。