新型コロナウイルスにも断ち切れない絆
新型コロナウイルス禍の中で、国連WFPが何百万人もの人を飢餓から救い、未来を救うための活動
(Original 3月31日付)
サプライチェーンが崩壊しても、最も弱い立場に置かれた人々は生き延びるための食料を必要としています。
新型コロナウイルスによる世界的大流行が、国境閉鎖、渡航制限、かつてないほどのサプライチェーンの複雑化を引き起こしている中、国連WFPは、最も弱い立場に置かれた人々を飢餓から救い、未来を救うための方法を見つけなければなりません。その中には、学校閉鎖のためにWFPが支援する学校給食を受けられなくなった1,160万人の子どもたちが含まれており、その数はこれから数日、数週間のうちにさらに増加することが予想されています。
食料を超えたロジスティクス
WHO(世界保健機関)が主導するサプライチェーン調整担当の一員として、国連WFPは他の国連機関、国際機関、NGOとともに積極的な役割を果たし、人道支援セクター全体で新型コロナウイルスへの対応の効率性と一貫性を高めています。これには、後方支援の制約に関する最新の情報を得るためのリソースを貯めておくこと、進行中の開発支援での混乱が生じている部分を指摘することや、より良い意思決定をまとめて行うことなどが含まれます。
サプライチェーン調整担当の目標の一つは、手袋、マスク、防護服などの個人用保護具、ラボの診断機器や臨床機器など、新型コロナウイルスへの対応に必要なアイテムの需要を可視化することです。
これらの重要な物資に対する需要の高まりに対応するため、国連WFPが管理する国連人道支援物資備蓄庫(UNHRD)は、1月25日より74の支援国に対し85以上の物資を発送してきました。これらの輸送品には、140万米ドル相当の個人用保護具、緊急医療キット、麻酔キット、噴霧器、ストレッチャー、体温計、遺体袋、浄水器材、後方支援機器などが含まれています。
国連WFPは、資金の確保状況に応じて、中国、ヨーロッパ、中東、アジア、ラテンアメリカ、アフリカに人道支援拠点を追加で設置し、一時保管施設、発電機、救急車などの活動支援機材を迅速に動員する計画です。これらの拠点は、既存のUNHRDの能力とインフラを強化し、最も必要とされる場所に人道物資を迅速に届けることを可能にします。
次のレベルへの備え
地震やサイクロン、津波などの緊急事態に備えるため、国連WFPは定期的に食料を事前に調達し、戦略的に重要な場所に保管しています。これにより、配送までのリードタイムが短縮され、より有利な市場条件で食料を購入できるようになります。
今回の世界的な緊急事態に際し、国連WFPは戦略的に配置された14の拠点の在庫を強化し、必要な時に必要な場所へ食料を配給できるようにします。
より脆弱で、サプライチェーンの寸断による被害を受けるリスクが高いと判断された国々に対しては、最も弱い立場に置かれた人々が生き延びるための支援を失うことのないよう、3カ月分の食料を購入し、保管します。
国境閉鎖の中での供給路の維持
世界で最も脆弱な国のいくつかでは、移動の制限が、命を守る活動にとって大きな課題となっています。
「南スーダンのような内陸国にとって、人道支援物資の供給路が可能な限り開かれていることは絶対に重要です」と、国連WFP 南スーダン事務所代表のマシュー・ホリングワースは言います。「私たちは、雨季が来る前に食料やその他の物資を準備して届けようと急いでいますが、今年は雨季が早く訪れる可能性もあり、また雨によって道路や小道が流され、国内での移動が困難になるかもしれません。近隣諸国を経由して物資を調達し、輸送できなければ、これら努力の甲斐もむなしく、500万人以上の人々の生活がより不安定なものになるでしょう。」
政府による規制の強化がもたらす影響を最小限に抑えるために、国連WFPは現地当局と緊密に連携し、食料やその他の必需品の貨物を最終目的地まで輸送し続けることができるように努力しています。
その例としては、人道・保健にかかわる貨物の優先的な通関手続きと迅速化、戦略的な保管場所の活用による入国時の混雑緩和、新型コロナウイルス禍での安全な取り扱いを可能にする手続きの導入などが挙げられます。
それでも困難なら、私たちが「飛ぶ」
国連WFPの最優先事項は、商業パートナーが事業を継続できるようにすることです。しかし、航空、鉄道、海外、陸路での渡航の中断が増加しているため、国連WFPは必要に応じて次のステップの支援を行う準備を整えています。
私たちは必要に応じて、通常の商業輸送が不可能な場所への物資の移動を確保するために、専用の戦略的航空サービスを確保し、専用船や陸路車両をチャーターします。また、国連人道支援航空サービス(UNHAS)を通じて、国連WFPは19カ国をカバーする常設の航空サービスを管理しており、食料やその他の救命必需品が必要とする人々に継続的に届くよう、航空サービスを活性化する準備ができています。
また国連WFPは、人道支援にかかわる人々のための輸送を提供し、これらの人々の中で重篤な症状の人が最寄りの医療施設に安全に移動できるよう、医療避難サービスを提供します。
安全が第一
各国政府が国民の健康を守るための対策を講じると同様、国連WFPはすべての事業において、私たちが支援を届ける人々、パートナー、スタッフへの感染リスクを軽減するための予防措置を強化しています。
各支援配給先で採用されたソーシャルディスタンスの確保や手洗いなどの対策に加えて、UNHASはスタッフと乗客、ひいては私たちが支援を届ける人々の健康を守るための措置を講じています。これには、航空機の消毒のための手順、スタッフと乗客が手指消毒剤を利用できるようにすること、症状や体温に基づいた乗客のスクリーニング、スタッフへの保護具の提供などが含まれます。
失敗は許されない
8,700万人の人々が、その生存のために国連WFPの支援に頼っています。グローバルなサプライチェーンに影響を与える新たな課題が日々どのように現れようとも、WFPは、私たちが最も得意とすること、-必要としている人たちに必要なものを届けること-を続けていきます。