タジキスタンで活躍する女性の生産者グループ
タジキスタンでは、国民のほとんどが農業と労働移住で生活しています。
しかし、タジキスタンの女性農民は労働の見返りとして報酬や収入をほとんど得ていないことが、多くの調査により分かっています。
また、土地、金融サービス、教育など、生産的な資源やサービス、機会へのアクセスも男性より劣るのが現状です。
ハトロン州ムミノボドに住むダストゥルグル・イブロヒモワさんもその一人です。
新型コロナウイルスの流行以前は、ダストゥルグルさんと4人の子どもたちの家族は、ほとんどを夫からの送金に頼っていましたが、移動制限のため、夫はロシアに仕事を探しに行くことができなくなりました。そのため、家族の耕作地が唯一の収入源となっています。
2020年、国連WFPは国連WFP協会[訳注:国連WFP協会は日本におけるWFPの公式支援窓口]の資金援助を受け、ダストゥルグルさんの故郷であるムミノボド郡を含む同国の21地区で女性生産者グループプロジェクトを開始しました。このプロジェクトは、NGOのカリタススイスが実施を担当しました。
ダストゥルグルさんは、このプロジェクトの最初の参加者の一人です。彼女は学んだ知識をもとに、村の女性6人からなる生産者グループを結成しました。
「1ヘクタールの土地をオーナーから借りて、このビジネスを始めました。耕すための土地の準備がとても大変でした。
夫でさえ私たちの計画に不安を感じ、手伝ってもらえませんでした。この土地は長い間使われていなかったので、耕作地にするためには非常な努力が必要でした」とダストゥルグルさんは言います。
「最初、8月に国連WFPからもらった種でひよこ豆を植えたのですが、ほとんど収穫できませんでした。この土地の気候条件に私たちが得た知識をうまく活用できず、また植えるのに適した季節ではないことにも気づきました。
2回目は翌年の4月に挑戦しました。幸い、良い作物が収穫できたので、まず自分たちの消費にまわし、余った分は市場で売ることができました。このプロジェクトが始まる前は、自分たちが消費する分も収穫できませんでした。
今後は、さらに区画を借りて、この活動を広げていく予定です」とダストゥルグルさんは語ります。
このプロジェクトを通じて、ダストゥルグルさんは、総合的な土壌肥沃度管理など、優れた農業実習によって農場の生産性を高める方法を学びました。また、作物の市場開拓や販売に役立つビジネス戦略も学びました。
プロジェクトには、国内21地区の約90人の女性が参加しました。
国連WFPは、食料確保の機会と収入向上の機会を平等に得られるよう、ダストゥルグルさんのような農村部の女性の参加者を確保しました。
このプロジェクトでは、すべての生産者グループにタブレット端末が配布され、女性参加者はWhatsAppでグループを作成して連絡を取り合い、経験やヒントを共有し、お互いにサポートし合うようにしました。
「私たちは、農産物の保存方法、肥料の使い方、農業専門家のアドバイスに従う必要性など学びました。
今では、私の地区では複数回の収穫が可能であると自信を持って言えます。
この点に関して、国連WFPと国連WFP協会の支援に心から感謝したいと思います」とダストゥルグルさんは締めくくりました。