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未来への一歩「学べてしあわせ」

, WFP日本_レポート

ミャンマーとの国境に程近いバングラデシュ南東部クトゥパロン難民キャンプ。2017年8月、大量のロヒンギャ族が激しい迫害を逃れ、ミャンマー北部より命辛々この地に辿り着きました。ここには辛い過去を乗り越え、自立に向けて奮闘する女性たちの姿があります。

生きる力を手にする

同難民キャンプ内の国連女性多目的センター。最新プロジェクトに参加する難民キャンプの女性15名が、笑い声を交わしていました。今日は16日間の研修の成果として、刺繍をあしらい、ノートブックカバーを作成しています。

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女性たちが集まり、新しいスキルを習得しながら、交流を広げる場となっています。Photo: Gemma Snowdon/WFP

これは、国連WFPの自立支援プロジェクトのひとコマです。立場の弱い女性や10代の少女を対象に、女性の社会的地位と食料安全保障の向上を目的に始められました。

学んだスキルを活かし、参加者たちはこの仕事で毎月賃金を受け取ります。自ら稼ぐ力は女性たちの人生に大きな変化をもたらし、食料やその他必需品の入手を向上させます。

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ルベーダも難民女性のひとり。刺繍を学び、ブックカバーを作ります。 Photo: Gemma Snowdon/WFP

10代で背負う一家の家計、負傷の家族を抱え

参加者のひとりは、ティーンエイジャーのアメナです。昨年ミャンマーで起きた迫害から家族で逃げて来ました。それ以来、稼ぎ頭として家族を支える立場です。アメナは、ロヒンギャ弾圧の暴力で母を亡くし、父親と姉もひどい傷を負いました。だから、家族で一番年下の彼女が家族を支えていかなければなりません。

「父と姉は、火で焼かれました」

「その上、父は銃で脚を撃たれ、必要な治療を未だ受けられていません。父は今も苦しんでいます。姉は全身にやけどを負い、普通に動くことができません」アメナはそう打ち明けてくれました。

アメナにとってこのプロジェクトは、社会性と実用的な学びの機会となっています。

「私は家の中で多くの時間を費やしています。だからここに来ました」とアメナは言います。

「新しいスキルを学びたいです。きちんと学ぶことで、市場で商品を売り、お金を稼ぐことができます。だから、これを学べて本当にうれしいです」

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ティーンエイジャーの アメナ。ロヒンギャ迫害の暴力で家族が負傷し、10代で一家を支える立場に。 Photo: Gemma Snowdon/WFP.

今、家族の中で唯一、働くことができるアメナにとって、お金を稼ぐことは重要です。

「私がお金を稼ぐことができれば、家族を助けることができます。そうすれば、父がより良い治療を受けることができ、病状も回復するでしょう。父がよくなれば、仕事に就くことができ、家族も助かります」

女性たちに生きる力と尊厳を

ヌバは別の参加者です。トラウマとなる体験をした他の女性たちと一緒に、新しいスキルを身につけることは、女性たちの思いを伝える、より大きな集団の声になると信じています。

「私たちは全員、ロヒンギャ迫害の暴力の犠牲者です。技能研修で過去は変わりませんが、未来への希望を与えてくれます」ヌバは力強く話します。

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ヌバ。自立を築くことで、難民キャンプの女性たちがより大きな声をあげ、集団の力となっていくことを望んでいます。 Photo: Saikat Mojumder/WFP

彼女たちは、毎月国連WFPからの食料支援を受ける約88万人のロヒンギャ難民の1人です。自立支援プロジェクトを通して、さらなる訓練とサポートを受けています。

ロヒンギャ難民危機は、女性や子どもたち弱者が、不平等により大きな被害を被った人道危機のひとつです。多くの女性たちが何らかの暴力を体験しました。自立支援プロジェクトは、女性たちにより多くの選択肢を与え、尊厳を与え、自立できるスキルを築く助けになります。

92万人以上のロヒンギャ難民の人びとが暮らす、バングラデシュ、コックス・バザール難民キャンプ。国連WFPは、栄養不良の予防と治療のため、ロヒンギャ難民の人びとの命を救う食料支援と、栄養補給食の供給を続けています。この支援を2019年4月まで継続するためには、2,220万米ドル(約25億円)が緊急に必要です。

ロヒンギャ難民の人びとの命を支える食料を届けるため、支援をお願い致します。寄付はこちら