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避難生活を送っている方たちの「家庭の味」はどんなものなのでしょう。国連WFPの食糧支援を受けるシリア人の母親、ウンム・アブダラさんのお宅を訪ねたところ、素朴で栄養たっぷりの料理「ブルグル・ビル・フムス」を見せてくれました。
ウンム・アブダラさんの家族は1年以上前、IS(イスラミックステート)が支配するシリア北東部ハサカ県の故郷を逃れました。今、一家が暮らすのは、シリア南西部のスワイダー。ほかにも多くの避難民がここで避難生活を続けています。 「厳しい状況の連続でした。IS(イスラミックステート)は全てを破壊しつくし、私たち家族にはスワイダーへ逃れる以外に生き延びる道はありませんでした。」 ウンム・アブダラさんは農家での季節労働でわずかな収入を得ていますが、夫と9人の子どもと一緒にテントで暮らしています。安全ではありますが、以前の暮らしには程遠い生活です。
ウンム・アブダラさんが、月に一度、国連WFPから段ボールで支給される食材を使って料理を作ると、一家は故郷での暮らしを思い出すと話します。箱にはシリアの食卓には欠かせないひよこ豆、レンズ豆、白豆、米、挽き割り小麦、塩、砂糖、植物油、そしてパンが不足している地域では、小麦粉も入っています。 また時折、働き先の農家から収入の一部としてもらったり、ご近所さんからおすそ分けでいただいたりするなどして、トマトが食卓に上ります。 これらの食材を使ってウンム・アブダラさんが作る料理のひとつが、「ブルグル・ビル・フムス」と呼ばれている挽き割り小麦とひよこ豆を使った料理です。これはシリアでよく作る料理で、通常はピクルス、トウガラシ、新たまねぎと一緒に食べます。この料理に使われている挽き割り小麦は中東の多くの国で食べられている食材で、お米と同じように調理でき、ほかの食材から出る出汁や香りをよく吸収します。
ウンム・アブダラさんが「ブルグル・ビル・フムス」の作り方を見せてくれました。まず、乾燥ひよこ豆を煮ます。やわらかくなったタイミングで挽き割り小麦を加え、10分間煮込みます。皮を剥いて潰したトマトを加え少し煮て火を止めます。玉ねぎがもしあれば、みじん切りにし、飴色になるまで炒めて加えます。味を調えるため、ひとつまみの塩と、あれば胡椒を加えてできあがりです。 食事の時間には、大きなマットの上に子どもたちが大皿を囲んで座り、スプーンを手に一緒に食べます。避難生活が続く中、家庭の味を食べられることは、一家のささやかな慰めになっています。
国連WFPがシリアで配っている支援食糧の箱には何が入っているのか、また、ウンム・アブダラさんのストーリーをもっと知るには、動画をご覧ください。
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