シリア危機:食料配給の削減で数百万人が深刻な飢餓に
急速な資金の枯渇に直面しているWFP国連世界食糧計画(国連WFP)は、7月からシリアで支援する550万人のほぼ半数に対する食料および食料購入のための現金支援を削減せざるを得なくなっています。この措置は最後の手段であり、すでに半分にカットされた配給でかろうじて生きている状態にある最大250万人に深刻な影響を与えることになります。
人々のニーズの高まりとも相まって、国連WFPの運営コストの上昇により、現在の支援レベルを10月以降にも維持することが困難になっています。アフガニスタン、バングラデシュ、チャド、マリ、パレスチナ、タンザニア、イエメンなどの国々において、国連WFPは大幅な削減を迫られています。
シリアでは、削減を回避し、年末まで現在の水準で食料支援を継続するために、国連WFPは最低1億8000万米ドルを緊急に必要としています。
ケン・クロスリー国連WFPシリア事務所代表は、「拡大するニーズに対応するどころか、最も支援が必要なときに支援を続けることができないという暗いシナリオに直面しています」と述べます。
「これ以上の配給量の削減は不可能です。唯一の解決策は、受給者の数を減らすことです。私たちが支援する人々は、紛争の惨禍に耐え、家から逃げ、家族や生計を失ってきました。私たちの支援がなければ、彼らの苦難は増すばかりです。」
クロスリー代表はさらに付け加えます「私たちには、人道支援への依存を減らし、人々の生活に永続的な変化をもたらす能力と解決策があります。人々が生活を再建し、立ち直りをサポートするための介入に取り組む一方で、家族が毎週、毎月を乗り切るのを助けるために、命を救う食料支援を提供し続けることが重要です。」
「私たちのパートナーは、これまで、特に過去2年間、このような削減の回避に尽力してきました。今、私たちはシリアの人々の将来に対する取り返しのつかない損害を防ぐために、彼らに期待しています。行動するのは今です。」
マヘルさんとの出会い
「私たちは12年間、戦争、強制移住、経済の衰退という危機に直面してきました。第2次世界大戦以来、同様の危機が世界の他の地域であったとは思いません…生活は想像を超えて困難です。」国連WFPが支援するデリゾールの栄養クリニックでマヘルさんはこう語ります。
マヘルさんの家族は2018年から国連WFPの食料支援を受けており、彼の4人の子供のうち2人は栄養不良です。「10歳の娘のラヤンの骨を病院で検査してもらいましたが、彼女の成長が5歳児程度に相当すると診断されました。」マヘルさんはこう語ります。
ラヤンさんが通う学校の教師は、彼女が授業に集中できず、記憶力も低下していると言います。マヘルさんの奥さんも栄養不良で貧血気味です。
「この削減は、すでに体調を崩している私の子供たちに大きな影響を与えます。ましてや、小麦粉、菓子パン、米などが手に入らなくなれば、その影響は計り知れません」とマヘルさんは話します。「危機の前、私は石油施設の従業員でしたが、その施設は破壊されてしまいました。」
2010年時の彼の収入は月に20,000シリアポンド(400米ドル)ほどでしたが、今では14米ドルほどしかありません。
「1日3食」が望ましいのですが、それを2食に減らしています。朝食をできるだけ遅らせて、昼食を18時頃に摂るのです。こうすることで、1食分を節約しているのです」と彼は語ります。
「2018年、2019年は、国連WFPの配給が充実していました。時には、豆やマカロニ、缶詰ももらえました。当時は油は5リットル、米は10kgと、今よりたくさんもらえました。」マヘルさんは話します。「しかし、この2年間で、配給量は徐々に縮小しています。マカロニや豆は受け取れなくなり、米や油も減りました。」
国連WFPは、これらの削減が食料支援に大きく依存している家族へ与える甚大な影響を懸念しています。このような人たちは、現金を得る手段をほとんど持たないため、支援が削減されれば、想像を絶する困難に直面することになります。
マヘルさんは、4リットルの油、小麦粉1袋、砂糖4kg、米4〜5kg、ひよこ豆1袋を2か月に1度受け取ります。
「私の妻は、食料の消費をできるだけ切り詰め、長く持たせるようにしていますが、それでも1か月も持ちません。」と彼は語ります。
「(配給がないときでも)なんとかしようと思っています。ジャガイモを茹でたり、ナスを焼いたりして、油やギー(液状のバター)が必要ないようにします。手に入るものでうまくやりくりするようにしています。」
国連WFPは、脆弱性に関するデータを使って、誰が食料支援で優先されるかを決定しています。支援から外された人には訴える機会があります。
「支援がなければ生活をやりくりするのは難しいです。たとえ少なくとも、支援がなければ生活は困難です」とマヘルさんは付け加えます。
シリア国民のニーズに応えるには、当面の人道支援にとどまらず、長期的な早期復興支援と平和と安定を促進するための持続的な取り組みが必要です。
2015年以降、シリアの食料不安レベルは50%以上増加し、2000万人を超える人口のうち食料不安の状態にある人の割合は、2015年の800万人から2022年には1210万人に増加しています。紛争に起因するシリアの食料不安は、レバノンの経済崩壊、新型コロナウイルス感染症のパンデミック、ウクライナ戦争、2月の震災などの世界的な出来事によって悪化しています。
現地通貨のシリア・ポンドが記録的な安値に落ち込む中、今年第1四半期には、必需品の標準的な食料バスケットの価格が10%上昇しました。これは、学校の先生の平均賃金のほぼ4倍の額に相当します。
一方、現地の国連WFP職員は、支援する人々の間で怒りや欲求不満が高まっていると報告し、彼らが直面している圧力の厳しい状況を明らかにしています。
「人々は娘を早く結婚させたり、学校をやめさせ働きに出したり、さらには女性が性的虐待を受けたり、性労働を強いられたりしている可能性もあります」と、ある現地モニターは報告しています。
多くの親がそうであるように、マヘルさんも現状が楽観視できるとは考えていません。「私たちの状況はすでに悪く、食料支援がなければどうなるかは容易に想像がつきます。2か月に1度、食料の配給を受けるための電話を待っています。もしこれが止まったら、どうしたらいいのかわかりません。」