食品ロスに関する11の事実 ― 持続可能なフードシステムとの関連性について
持続可能な食料システム(食品を生産・加工し、最高の品質と量で消費者に届けるために必要なネットワーク)は、食料の安全保障と栄養に加えて、気候危機の影響に適応し、地球への影響を軽減するためにも不可欠です。食品ロスは、これらの食料システムの持続可能性を損ない、その結果、食料不安を増大させる危険性があります。 つまり、先進国における食品の廃棄は、何百万人もの人びとを飢餓に陥らせる気候変動の危機を助長しているのです。2030年までに食品の廃棄を半減させることが、持続可能な開発目標に掲げられているのは、このためです。ここでは、食品ロスに関する11の事実をご紹介します。
事実①
食品ロスには消費者によって生産物が廃棄される場合(food waste)と食料チェーンの生産、収穫後や加工の各段階で生産物が失われる場合があります(food loss)。
事実②
人が消費するために生産された食品の約3分の1が失われたり、無駄になったりしており、その経済的損失は年間約1兆米ドルにのぼります。
事実③
世界の70億人を養うのに十分な食料が生産されているにもかかわらず、8億1100万人が毎晩空腹で眠りについています。その背景には膨大な食品ロスがあります。
事実④
世界の耕作地の28%が生産している食料は、無駄となっていて、最も食料を必要としている人びとには利用されていません。
事実⑤
無駄になっている食料生産に使われる貴重な水は、ジュネーブ湖を3回満たすことができる量です。その量が効率的な農業に振り向けられた場合を想像してみてください。
事実⑥
先進国で無駄になった食品は、埋め立て地へ送られ、そこでは温室効果ガスが発生します。実際、廃棄された食品による温室効果ガスの排出量は、年間30億トン以上にのぼります。これを国に例えると、アメリカ、中国に次ぐ第3の温室効果ガス生産国となります。
事実⑦
これらのガスは、水の供給に影響を与え、砂漠化と干ばつを加速させ、気象現象の予測不可能性と深刻さを悪化させることで、気候危機の主要な要因となっています。これらはすべて、世界の多くの地域で農業にダメージを与え、その結果、飢餓を増大させています。
事実⑧
WWF-UKの最近の報告書によると、農場段階での食料廃棄は低所得地域で特に深刻ですが、実際には世界の農場段階での食料廃棄物の58%は中・高所得地域で発生しています。
事実⑨
食品ロスに対処する方法は無数にあります。革新的な考え方によって、農産物の生産、加工、貯蔵、流通、利用を変えることができます。例えば、サハラ以南のアフリカでは、国連WFPは教育や生産後の技術を促進することで、廃棄を減らすために政府を支援してきました。その中には、低コストの乾燥機、水分計、密封袋などがあり、農家が穀物の損失を軽減することができます。インドでは、国連WFPスタッフがGrainATMを考案し、農家が必要とする量の穀物を正確に分配することで、無駄を省くことに成功しました。
事実⑩
国連WFPのサプライチェーンユニットは、食料の積み込み、積み降ろし、舗装されていない道での輸送、飛行機からの投下などの際に、機械的なダメージから食料を守るための効果的な包装方法を確立するために活動しています。これは極端な温度、過剰なほこり、一般的な汚染などの厳しい条件の中で、その品質を保つことができます。
事実⑪
消費者が自らの食品ロスを減らすための直接的な行動としては、必要なもの、使えるものだけを買う、「賞味期限」ではなく「消費期限」を確認する、一週間先の計画を立て、残り物をどうするかを考える、また、空き時間を利用して食事をまとめて調理したり、冷凍したりすることが挙げられます。
参加しよう
食品ロスを減らすことで、温室効果ガス排出量を削減し、より強固なフードシステムの構築に貢献することができます。また、節約したお金を国連WFPを通じて、最も食料を必要としている人々の命を救うための食料に変えることで、飢餓対策にも役立ちます。詳細は https://www.wfp.org/foodwaste をご覧ください。
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