学校給食のロスを防ぐため、豆の数を数えるケニアでの取り組み
ケニア北東部にあるジャリブ小学校で、グリフィンズ・オチエンくんのお皿に盛られた豆はすべて、はじめに保管されていた政府の倉庫まで辿ることができます。
この取り組みは、ケニアの学校給食で食品ロスを出さない、という考えのもと生まれたものです。国連WFPの支援により、給食は政府の国家教育マネジメント情報システム(教育セクターのすべてのデータとプロセスの管理を自動化するオンラインツール)に統合されています。これは、最先端のテクノロジーが人びとの生活に目に見える変化をもたらすことができるという大きな例であり、「情報へのユニバーサル・アクセスのための国際デー」で紹介されました。
「国連WFPは教育省のソフトウェア開発者と協力し、サプライチェーン全体における学校給食の記録を集め、デジタル化しました」と、国連WFPケニア事務所の学校給食マネージャー、チャールズ・ニェール氏は話します。「権限を持つ人はいつでもデータにアクセスし、精査することができるのです。」
ケニア当局は現在、この取り組みを全国的に展開しており、国連WFPは学校給食データの更新と追跡方法に関する教員研修を支援しています。ガリッサ県のジャリブ小学校は、手書きの台帳からデジタルファイルに移行する準備が整っている学校のひとつです。
モハメド・ゲディ校長は、新システムが多忙なスタッフの仕事を軽減してくれると確信しています。
「どこからでも記録を更新することができるのです。また、食材の配分や在庫の動きも一目瞭然です」と彼は言います。
ゲディ氏のような教育者のスマートフォンには、現在、アプリが搭載されています。このアプリは、国連WFPが米国農務省の支援を受けて開発をサポートしたものです。
これは、2018年に政府が引き継いだケニアの学校給食プログラムにおいて、国連WFPがあらゆる変化と歩調を合わせ続けていることを示すもう一つの例と言えます。
ゲームチェンジャー
モバイルアプリは、学校給食だけでなく、追跡システム全体に大きな変化をもたらしています。
インターネット接続が不安定だったり、接続できなかったりする遠隔地の教育関係者は、オフラインの状態でも、在籍している生徒数、毎日の出欠、教科書の割り当てなどのデータを簡単に更新することができます。時々、データをバックアップするためにインターネットに接続します。
ゲディ校長によると、このオンラインツールは先生たちの大きな力となっています。先生たちは、輸送業者から受け取るべき物資と正確な数量を知ることができるからです。もし間違いがあれば、委託を断り、クレームを出すことができます。手書きの記録では、このような不一致を発見することはほぼ不可能でした。
「すべての学習者が重要であり、すべての食事が重要です」と、ケニアの初等教育ディレクターのネリア・オリック氏は言います。「学校給食の記録をデジタル化することで、プログラム全体の管理における説明責任と透明性を向上させることができます。」
ケニアの学校給食は、トウモロコシや米、豆、葉野菜からなるボリューム満点の温かい食事が一般的で、子どもたちの健康を維持し、学校に通わせる上で欠かせない重要ものです。
この数十年で最悪の干ばつにより飢餓が深刻化し、10月までに435万人が深刻な食料不足に直面すると予想されている今、これは特に重要なことなのです。
ジャリブ小学校に通うグリフィンズくん(7年生)にとって、学校給食が一日に食べる唯一の食事になることもあります。彼は警備員の父親と一緒に、県庁所在地であるガリッサ町の学校の近くの一室で暮らしています。
「時々、父は食費が足りなくなるんです。ちょうど先週、父は現金が全くありませんでした。僕たちは空腹のまま眠りました。」
グリフィンズくんは兵士になりたいと思っています。規律正しい軍隊を真似してか、彼は厳しい表情を浮かべています。
「学校で給食があることが嬉しいです」と彼は言います。「栄養価の高い食事は、学び、強く成長するためのエネルギーを僕に与えてくれます。人生の目標を達成するのを助けてくれるのです。」
9月29日(水)は「情報へのユニバーサル・アクセスのための国際デー」です。すべての人が情報を求め、受け取り、伝える権利を持つことを推進しています。