飢餓と食品ロスに関する、5つの事実
「不十分の」途上国と「不注意の」先進国
世界の飢餓の原因は、食料生産が追いついていないからではありません。事実、世界中の一人ひとりが十分に食べられるだけの食料が生産されています。
しかしその足りているはずの食料のうち、3分の1が食品ロスとなっている現実があります。
先進国では、「作りすぎによる食べ残し」や「賞味期限切れ」など、消費段階で多くの食料が捨てられています。
一方、途上国では収穫段階から食品ロスが生じています。衛生状態が悪く、不十分な保管施設では害虫やカビが発生し、作物が傷んでしまいます。また経済的に貧しい農家は人手や機械が手に入らないため、収穫が間に合わないと作物を腐らすしかありません。
慢性的な貧困、紛争や経済危機と共に食品ロスは飢餓の諸悪の根源となっています。さらに食品ロスは、生産時に使用した水や資源のロスにもなります。
貴方の知っておくべき5つの事実:
その1:世界の食料生産量のうち3分の1が廃棄されている。
その2:食べられずに捨てられた食料は世界の20億人分に及ぶ。
その3:世界中で食料廃棄によって発生する二酸化炭素の量は、アメリカと中国に次ぐ3番目の排気量となる。
その4:先進国の食品ロスの量は、サブサハラアフリカ地域の食料生産量に及ぶ。
その5:開発途上国の食品ロスの4割は、収穫後と加工の段階で発生する。一方で、先進国では食品ロスの4割以上が小売と消費の段階で発生。
2030年までに食品ロスを半減する事が、17の持続可能な開発目標(SDGs)の一つでもあり、国連の最優先事項の一つです。
想像してみてください、何百万人もの農家が捨てていた作物を無くすことが出来たらと。収穫物の適切な保存方法や管理技術などを知らない小規模農家多く、作物が利益にならず農業従事者自身が食料不足に陥る可能性があります。国連WFPの「収穫後の無駄ゼロ」プロジェクトでは、市場への参入方法のアドバイスや農業技能訓練・指導を参加者に行っています。
「今までは非効率な生産方法で1割以上の作物を無駄にしていました。」と振り返るのは、マラウイでプロジェクトに参加したティモシーさん。「訓練期間中に栽培技術などを学べた事で穀物の無駄をなくし、自分の利益になりました。」
さらに、国連WFPは小規模農家と市場との連携を強化し、食料の無駄を無くそうと活動しています。地産地消の学校給食の導入や、地元住民との食料貯蔵施設や周辺道路の建設を行い、コンゴ民主共和国では女性農業従事者へバイクを提供し、市場への参入を促しています。
当然、私たち一人ひとりが食品ロスの削減に協力すれば、食料とそれに費やす資源の無駄を無くせます。