レバノン・ベイルート港の爆発を受け、国連WFPは支援を拡大
既に過去最悪の経済危機に見舞われていた中、食品価格が高騰する恐れがあります。
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既に過去最悪の経済危機に苦しんでいたレバノンの首都ベイルートで8月4日に発生した爆発では137人の死亡が確認され、さらに死者の増加が予想される中、国連WFPはレバノンで食料の確保が困難になっている事態を深刻に受け止めています。
レバノン社会福祉省の要請を受け対策に乗り出した国連WFPは、米、パスタ、食用油、砂糖、塩、トマトペーストなど、5人家族が1カ月間生活できる食料5,000箱を各家庭に配布する予定です。
「国連WFPが提供する同地域向けの食料の3分の1を運ぶ船舶が停泊するベイルートの港が被害を受け、既に経済的にも食料確保の点でも厳しい同国の状況はさらに悪化するでしょう」と国連WFPの広報担当者は話します。
同港の倉庫に備蓄されていた小麦、大豆その他の豆類など、レバノンの主食料12万トン分が消失し、食品価格の高騰を懸念しています。
爆発の発生前からレバノンでは食料危機の状況にあり、世界銀行によると100万人が貧困線以下の生活を強いられ、人口の45%が貧困状態に陥っています。
国連WFPは、レバノン政府の貧困対策プログラムを通して、レバノンの10万7000人へ食品購入のためのデビットカードをに提供しています。
国連WFPが行ったレバノンの経済危機と新型コロナウイルスに伴うロックダウン措置が及ぼす食料安全保障への影響調査によると、レバノン人の50パーセントが、十分な食料が手に入らない不安を過去1カ月間に感じたと回答しており、食料の確保が大きな問題となっています。
Photos: WFP/Malak Jaafar必要な食料の85%を輸入に依存するレバノンでは、4月までの半年間で輸入量が激減しており、その結果、過去数カ月で主要な食料の価格が2倍に値上がりしました。
8日の爆発で30万人が家を無くしたとされる中、食料危機に加え、新型コロナウイルスでひっ迫する病院で患者の受け入れが困難となるなど、保健衛生の面からも危機的状態に陥っています。
国連WFPは食料支援の他に、医療支援の提供も検討しています。先日はイタリア外務省から提供された8.5トン分の手術用、外傷治療用物資をベイルートに運ぶ輸送機が、イタリアのブリンディジにある国連WFPの拠点から飛び立ちました。
国連WFPは関連機関や支援者、レバノン政府と連携し、緊急セーフティネットなどを通して最も貧しい人びとへの支援を強化、拡大し、最も弱い立場に置かれた人びとの速やかな救済に向けた取り組みを進めています。
他の人道支援団体と連携し、経済危機と新型コロナウイルスの影響に苦しむレバノンの5万世帯、最大25万人に対する緊急食料支援を計画しています。また、1万3000世帯の子どもたちへ給食に代わる持ち帰り用食料の配給も行っています。
予想される食品の値上げは、失業率の急激な上昇や減給により家計に苦しむ多くの家庭を直撃します。
長期的な自立支援として、灌漑設備や雨水の排水溝、青果市場、主要道路の整備・再整備による農業部門の支援を継続します。国連WFP事務局長デイビッド・ビーズリーも8月10日にベイルートを訪問しました。
この危機的事態に際し、国連WFPによるベイルート支援活動に、日本の皆さまからのご寄付をどうか宜しくお願いいたします。
現地の状況(8月14日更新)