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中央アフリカ共和国:情勢不安が続く国のレジリエンスを再構築するために

西部の町パウアでは、国連WFPの支援を受け、地域社会が農業と教育を活性化させています。
, Marie Dasylva and Richard Mbouet
In Paoua, CAR, Simplice Beyo's farming group has sharply increased its harvests, thanks to relative calm and WFP support. Photo: WFP/Richard Mbouet
中央アフリカ共和国のパウアでは、シンプリス・ベヨさんの農業グループが、比較的平穏な状況もあり、国連WFPの支援により、収穫量を大幅に増やすことができました。Photo: WFP/Richard Mbouet

シンプリス・ベヨさんは、中央アフリカ共和国北西部の町パウアで、現地の言葉のサンゴ語で歌を歌いながら、約20人の男女を率いて稲刈りをしています。青々とした植物には、早朝の露のしずくがまだ残っています。

地元の農業団体の代表で、現在30代のベヨさんは、収穫と食料が豊富であったより良い時代を懐かしみます。

「パウアはかつて中央アフリカ共和国の穀倉地帯とみなされていました」とベヨさんは言います。「しかし、相次ぐ紛争により食料生産は大幅に減少し、飢餓が私たちの家庭にも押し寄せました。」

中央アフリカの人口の約80%が従事する農業は、この国の長年にわたる混乱と政変により、甚大な被害を被っています。紛争により農家や遊牧民は土地を追われ、食料生産量は減少し、飢餓は深刻化しています。

新たに発表された飢餓に関する専門家の調査結果「総合的食料安全保障レベル分類(IPC)」によると、現在、同国内の約200万人、つまりおよそ3人に1人が深刻な飢餓に直面しています。食料不安の原因は、貧困、不安定な降雨量から、長年にわたり数十万人を避難させ、サプライチェーンを混乱させた武力紛争まで、さまざまな要因が絡み合っています。

WFP employees check crops with Paoua's farmers, whose harvests partly go to feeding their children at school. Photo: WFP/Richard Mbouet
パウアの農家とともに作物の検査を行う国連WFP職員。収穫物の一部は子どもたちの学校給食に充てられます。Photo: WFP/Richard Mbouet

しかし、パウアのような場所では、2019年の和平合意の締結以来、平穏が保たれているおかげもあり、地域社会で再び農業が行われるようになっています。また、中央アフリカ共和国から逃れた何万人もの難民が、生活を再建するために帰国しています。

パウアの住民は、「平和の果実」をより大きな形で享受しています。WFP国連世界食糧計画(国連WFP)の支援により、ベヨさんたちのような協同組合の農産物は、国連WFPによる同国初の学校給食の取り組みに地元産の食材として提供されています。

「学校に食堂ができたことで、教室が生徒たちであふれるようになりました」と、ベトコミア第1小学校のフランクリン・テンベイ・マセネアン校長は言います。生徒数は5年前の650人から1,400人以上に倍増しました。

A hearty meal at Betokomia 1 primary school featuring rice and yellow beans. WFP's school feeding initiative will soon be extended to other schools in Lim-Pende prefecture. Photo: WFP/Marie Dasylva
ボリュームたっぷりのベトコミア第1小学校での給食。地元で収穫されたコメとインゲン豆が提供されました。国連WFPの学校給食支援は、リム・ペンデ県の他の学校にもまもなく拡大される予定です。 Photo: WFP/Marie Dasylva

国連WFPの学校給食の取り組みは、現在、パウアがあるリム・ペンデ県内の他の3つの学校でも実施される予定です。この地域の多くの人びとにとって、これは復興の大きな第一歩となります。

国連WFPが提供した改良種子や農業技術、収穫後の処理技術のおかげで、農業生産性は大幅に向上しました。ベヨさんが所属する160世帯以上からなる協同組合は、耕作地を3ヘクタールから35ヘクタールに拡大しました。トウモロコシ、落花生、豆に加え、ベヨさんたちはコメやゴマを栽培し、オクラ、ニンジン、トマト、スイカなどの市場向けの野菜も育てています。

これらの農産物は、地域社会に多様な食生活をもたらし、将来への基盤を築くものです。協同組合の収穫の一部は家族の生活を支え、別の一部は将来の収穫のための種子備蓄として使用されます。残りが、国連WFPの支援を受けているベトコミア第1小学校の学校給食の食材となります。

教育、それから先へ

パウアの地域社会は、別の方法でも学校への投資を行っています。武装集団の乱入など、長年続いた暴力により、学校のインフラは損傷し、教師は追放され、多くの中央アフリカの子どもたちは教育を受ける機会を奪われました。ベトコミア第1学校では、テンベイ・マセネアン校長が教員免許を持つ唯一の教師です。

Paoua's community is investing in its schools, including with volunteer parent teachers, after CAR's conflict robbed many kids of an education. Photo: WFP/Richard Mbouet
中央アフリカ共和国の紛争により多くの子どもたちが教育の機会を奪われたことを受けて、パウアの地域社会はボランティアの保護者教師の派遣など、学校への投資を行っています。 Photo: WFP/Richard Mbouet 

ボランティアの保護者が、教師の空きポストを埋めてきました。現在は、ベヨさんの農業協同組合の利益の一部が、このような保護者教師の給料に充てられています。

「国連WFPとのパートナーシップのおかげで、150万CFAフラン(およそ2,400米ドル)を集めることができました」と、ベトコミア第1小学校に通う子どもを持つ14人の子どもの父親でもあるベヨさんは語ります。「そして、このお金で、保護者教師の給与を支払うことができました。」

ペラギエ・ホンドヨテさんの3人の子どももこの小学校に通っています。彼女の家族はカメルーンでの12年間の避難生活から最近帰国したばかりで、生計を立てるのに苦労しています。

「仕事のある日は、少しお金が稼げて、子どもたちに料理を作ってあげることができます」と彼女は言います。「でも、何も稼げない日もあり、子どもたちが食べられるように学校に頼ることもあります」と彼女は言います。国連WFPが支援する給食のおかげで、子どもたちは食事にありつけるのです。

Pelagie Homdoyote (second to right in blue) and her children returned to CAR after spending years in exile in Cameroon. The WFP school meals are sometimes the only ones her kids eat all day. Photo: WFP/Marie Dasylva
ペラギエ・ホンドヨテさん(右から2番目、青い服)と子どもたちは、カメルーンで何年も避難生活を送っていた後、中央アフリカ共和国に帰国しました。子どもたちが一日の中で口にする唯一の食事が、国連WFPの学校給食だけということもあります。 Photo: WFP/Marie Dasylva

他の子どもたちにとっても、ベトコミア第1小学校のコメ、豆、その他の野菜を使ったボリュームたっぷりの給食は、その日の唯一の食事となることもあります。しかし、テンベイ・マセネアン校長は、他の恩恵も指摘します。

「子どもたちが学校給食のために学校に来てくれれば、子どもたちは教育を受けることができます」と彼は言います。「こうしたことがすべて、この国の前進につながっているのです。」 

フランスは、中央アフリカ共和国のリム・ペンデ県における食料と栄養面でのレジリエンスを強化するための国連WFPの活動を支援しています。

国連WFPは、中央アフリカ共和国の44の学校で「地産地消の学校給食支援」として知られる農場から学校への食料供給の取り組みを継続するために、2025年に810万米ドルを必要としています。

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