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ネパール:国連WFPはコミュニティの気候変動への対応を支援します

, WFP日本_レポート

南部で発生した洪水に先立って支払われた現金支援は、悲嘆にくれた村人の生命線となっています。

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バンケのドゥドゥワ村で働くパワン・スナールさんと妻のカンヤウォティさんに話しかける国連WFP職員。Photo: WFP/Srawan Shrestha

4年前、ネパール南部バンケ地区のドゥドゥワ村はモンスーンの大雨に見舞われ、作物は破壊されました。

世界最貧国の一つであるネパールの食料不安は悪化しました。

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ラプティ川によって水没したドゥドゥワ村の全景。Photo: WFP/Srawan Shrestha

12月に、私は最悪の洪水被害を受けた地域の一つを訪れ、国連WFPの支援を受けている2つの被災家族に会いました。

昨年7月、国連WFPは洪水の被害が予想されるバンケ地区とバルディヤ地区で、障害者や高齢者、女性の家族を対象として、2,700人に現金を配布しました。

予想された洪水はここまで到達しませんでしたが、私は村の人たちから、直近の洪水による大きな衝撃、喪失と荒廃の話を聞きました。

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「水は腰の高さまでありました」と語る、プッタ・ラル・マホウトさん。両親、妻、二人の息子と一緒に。Photo: WFP/Srawan Shresth

農夫

プッタ・ラル・マホウトさん(28歳)は、ドゥドゥワ村の農村地帯に住んでいます。彼の長男は特別な支援が必要な状態で生まれ、体のどの部分も動かすことができません。

「洪水が私たちの村を襲ったとき、私は眠っていました」とプッタ・ラルさんは言います。

「水はすぐに腰の高さになり、どこへ行くこともできませんでした。」

彼は伝統的なチャッパイ(ロープベッド)の複雑な模様をじっと見つめ、水が来たときの悲惨な経験を思い出します。

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プッタ・ラルさん(右)。直近の洪水の間、彼と彼の家族が18時間もしがみついていたシタンの木の前で。Photo: WFP/Srawan Shrestha

生き延びるためには木に登るしかありませんでした。「家族を一人ずつ背負って、この木の枝に登るのを手伝ったのです。」とプッタ・ラルさんは語ります。

「私たちは18時間もそこにしがみついていました。食べるものもなく、水を飲むこともできず、恐怖の時間でした。洪水で2頭の牛が流されて来ました。私はジャムナハ(対岸のインドの町)から流されてきた1頭を救出しましたが、もう一頭はまだ行方不明です。」

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ラプティ川を渡る水牛の群れ-川は恵みであり災いのもとでもある。Photo: WFP/Srawan Shrestha

翌日、自治体から派遣されたレスキューボートが彼のコミュニティを支援するために到着しました。

彼はなんとか家族をボートに乗せて地元の避難所に向かいました。

一家はその避難所で一週間を過ごしてから帰宅しました。

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昨年国連WFPは、食料、水、貯蔵庫など人々の必需品を備えたコンテナを設置しました。 Photo: WFP/Srawan Shrestha

自宅に戻ったプッタ・ラルさんは、地元の学校の前の広い畑に国連WFPが設置した非食料品を保管するための新しいコンテナを見て大喜びしました

「コンテナに収納されているので、使いやすくなりました。」と彼は言います。「中にはライフジャケットやバケツ、防水シート、マットレス、サイレンなど便利なものがたくさん入っています。」

「サイレンが鳴って最初にすべきことは、重要な書類と数日分の食料と水を非常持ち出し袋の中に詰めることです。そして、それをコンテナに運んで保管するのです。」

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カニャウォティ・スナールさんは、国連WFPネパール事務所から現金支援を受けて米などの必需品を購入しました。Photo: WFP/Srawan Shrestha

借地農民と労働者

道を10分ほど下ると、川の横にある家に到着し、そこにはカニャウォティ・スナールさんとその息子さんが私たちを待っていました。

彼女の息子は冬の初めからずっと、熱と咳で体調を崩していました。

カニャウォティさんは借地農民として働き、夫のパワン・スナールさんは日雇いの労働者として働いています。

私たちはスナールさん一家と一緒にボートに乗って、隣接するインドのウッタルプラデーシュ州にある町ジャマナハに行きました。

食料が安く、家族がより良い医療施設を利用できるので、少なくとも月に2、3回はインドに国境を越えると、移動の間パワンさんは話しました。

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より安い価格で物資を購入するため、インドとの国境の町まで船で移動する地元の人々。Photo: WFP/Srawan Shrestha

パワンさんは通常、30分ほどでインド側に渡る船に乗ります。

しかし、川が氾濫すると、一日がかりのルートを取らざるを得なくなります。

「雨季には水量が増えるので、船便はひとつもありません。私たちのようないくつかの村は 洪水のたびに浸水します。」

彼の実家の外壁は直近の洪水で崩壊し、家族との大切な思い出を写した写真など、彼らの所持品物のほとんどが流され、破壊されました。

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洪水で大切な家族の写真を失ったスナールさん一家。 Photo: WFP/Srawan Shrestha

国連WFPが弱い立場に置かれたコミュニティに洪水を見越して行う現金支援は、彼らが生きるための不可欠なものを確保するのに役立てられています。

パワンさんは、受け取った30米ドルを「塩、唐辛子、ターメリックパウダーなどの食料や、石鹸などを購入するために」使用しました。

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2020年7月、国連WFPは洪水の被害が予想されるバンケ地区とバルディヤ地区の2,700人に現金を配布しました。 Photo: WFP/Srawan Shrestha

彼は貯金をすべて使い果たしたので、お金を受け取ったことに非常に感謝しています。

「国連WFPからの支援はタイムリーで、家族を養うのに役立ちました。新型コロナウイルスによる封鎖が行われたため、蓄えは1ペニーもありませんでしたので。」

現金支援で、彼は6週間分の食料を購入することができました。

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国連WFPが支援する、洪水に備え飲料水を貯蔵するための水袋が、安全な場所に設置されました。 Photo: WFP/SrawanShrestha

パワンさんはまた、ネパール赤十字社と国連WFPが主催するいくつかのコミュニティ研修プログラムにも参加し、災害への備えと予防、コミュニティの応急処置などを学びました。

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気候変動が生活に与える影響により、スナールさん一家は数ヶ月先、数週間先の見通しさえつかなくなることもあります。Photo: WFP/Srawan Shrestha

「(研修プログラムは)救助後すぐに負傷者に応急処置をする方法を教えてくれました」とパワンさんは言います。

「私たちはまた、テントや水袋を設置したり、村人を高台に避難させたりする訓練を受けました。次の洪水がいつ襲ってくるかわからないことを知っています。しかし、今ではより良い準備ができ、以前のような怖さはなくなりました。」