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なぜコロナウイルスによって教育の再考をする必要があるのか―学校、健康、栄養の側面から

国連WFPは、パンデミックが学生たちに与える影響を最小限に抑えることを目指しています。
, WFP日本_レポート
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キルギスタンのディカン村の学校で提供される無料の給食は、親が子どもたちを学校に通わせる動機づけになっています。Photo: WFP/Daniil Usmanov

昨年、アントニオ・グテーレス国連事務総長は、2億5000万人の学齢期の子どもたちが非就学となっており、世界は「学習の危機」に直面していると警告しました。

「私たちは、かつてない規模で人間の可能性を浪費し、数十年の進歩を無駄にし、不平等を一段と悪化させる可能性のある『世代的大惨事』に直面している。」と彼は警鐘を鳴らします。

この脅威を回避するためには、質の高い包括的な教育を提供する方法を再考する必要があります。そのためには、「教育」という概念自体を子どもたちの福祉を含むように拡大することから始めなければなりませんが、それには学校を基盤とした保健・栄養サービスへの緊急かつ大規模な投資が必要となります。

4月中旬までに、新型コロナウイルスの世界的大流行による学校封鎖により、驚くことに世界中の児童の94%が学校に行けなくなりました。これらの子どもたちは教育の機会を奪われましたが、それだけではありませんでした。学校こそが、子どもたち、特に最貧層の子どもたちが、生きるために必要な栄養と健康面での支援を受け、それによって学ぶことができる場所なのです。最貧層のコミュニティでは、学校は家族の結束と支援のための最も重要な要素の一つなのです。

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4月の学校閉鎖を前に、自宅持ち帰り用の食料支援を持ち帰るモザンビークのベイラの女子生徒たち。Photo: Karel Prinsloo/Arete/UN Mozambique

学校は、貧しい家庭が構造的不平等に立ち向かえるよう、財政的・非財政的な支援や励ましを受けることができる場所です。4月以降、約3億7,000万人の子どもたちが食事や必要不可欠な保健サービスを受けられなくなっています。学校という場所がなければ、また健康と栄養プログラムを利用することができなければ、何億人もの子どもたちとその家族にとって飢餓、貧困、栄養不良などの問題が悪化し、新型コロナウイルスによってもたらされた危機から立ち直る機会が失われてしまうでしょう。

この問題は、この地球に住む私たち全てとその家族に影響を与えてきました。先日、英国サッカーチーム、マンチェスター・ユナイテッドのマーカス・ラッシュフォード選手が、授業が中断されている英国の児童に学校給食を届けるよう英国政府に呼びかけたことで、メディアの注目を集めました。

実際70カ国以上の国々では、学校閉鎖中の子どもたちへの支援を継続するために、自宅持ち帰り用の食料支援やバウチャー、現金給付などのプログラムを導入しています。国連WFPは、最貧国の45カ国で690万人の子どもたちに手を差し伸べてきました。学校の再開を計画する際には、教育セクター全体がこのような考え方を採用する必要があります。このため、国連WFPとユニセフは協力して、最貧国の学校を安全に再開することを提唱し、最も弱い立場に置かれた子どもたち1,000万人に保健・栄養支援プログラムを提供しています。

子どもたちが栄養価の高い食事を摂ることができない場合、学習することは難しくなります。ロックダウン後に子どもが学校に戻ってくることは、飢餓と栄養不足によりさらに困難になります。現在の推定では、2400万人の子どもが学校に戻らず、その中で女の子の割合は非常に高いものとなっています。

今日、学校で数百万人の児童を失うリスクに直面しているグローバルリーダーたちは、#SaveOurFutureへのキャンペーンに参加し、新型コロナウイルスの世界的大流行前の原状に復帰することだけでなく、より良い教育システムを構築するために必要な資金調達と政策変更を強化するよう要求しています。

学習と学習者に投資し、学校と栄養プログラムに資源を注入することによってのみ、最も弱い立場に置かれた子どもたちの全世代を取り残すことなく守ることができます。学校は、コミュニティと子どものより広範なニーズに対応する場所である-この教訓を心に留め、この前例のない危機において国連の持続可能な開発目標(SDGs)4を達成するよう、私は全ての人に要請します。

私たちは、教育インフラ、データシステム、学校の健康と栄養サービスを改善することにより、安全な学校環境への回帰を確実なものとする全体的な取り組みを追求する必要があります。

多くの子どもたちは、コロナ危機以前から主要な学校保健と栄養の統合したセットを受け取っていましたが、これらが最も貧しく最も弱い立場に置かれた人々、つまり最も必要としていた人々に届くことはほとんどありませんでした。それらのセットは今や、飢餓を救うためだけでなく、親が子どもたちを学校に再び通わせる強力な動機付けにもなるため、今まで以上に重要な存在となっています。

現代史のなかで最も厳しい不況の時代を迎える今日、このような人的資本、特に女子教育への投資から何兆ドルものリターンが得られるということに目を向けましょう。学校は、コミュニティや子どもの幅広いニーズに対応する場所です。「教育」という用語の意味を再定義することは、状況を一変させる可能性があります。それができない場合には、取り返しのつかないほどの損失を被ることを覚悟せねばなりません。