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内戦からの復興を目指すスリランカ、母子栄養支援の現場を訪問
, WFP日本_レポート

南アジアの島国スリランカは、2009年まで26年間続いた内戦により、社会的及び経済的に甚大な被害を受けたため、今も全人口の22%にあたる470万人近くが栄養不良の状態にあります。栄養不良により低体重の子どもやお母さんへの母子栄養支援を行う診療所を訪れました。

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©Mayumi Rui

近年、スリランカでは、干ばつ、洪水といった自然災害が増えており、特に低所得者が安定的に食べ物を入手し栄養を摂ることが難しくなっています。内戦で最も被害を受けた北部の地域では、戦火を逃れるため国内外に避難していた人びとが、内戦終結後少しずつ戻ってきて、生活をゼロから立て直しています。国連WFPは彼らを食べ物の心配から解放し、子ども達の健全な成長を促すため、様々な支援を行っています。北部地域では約43%の世帯が食糧不足に陥っており、母子の栄養不良が深刻です。そのため国連WFPは栄養強化食品の配給や栄養教育の実施により、母子の栄養状態の改善に力を入れています。

最北端ジャフナ地域のコディカマム診療所を訪れると、子どもの体重・身長計測が行われていました。体重計に乗った4歳の男の子の体重は11.5kg、低体重と診断されました。このように年齢の割に体重が少なかったり身長が低かったりと栄養不良の症状が見られる子どもも多くいます。

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測定の後は、助産師さんたちによるお母さん向けの講習が実施されていました。内容は栄養の大切さや授乳の方法といった育児に関してから、家族計画、家族からのサポートを得る方法等様々で、お母さんたちは皆熱心に参加しています。

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そして最後に「スーパーシリアルプラス」というトウモロコシ粉と大豆の粉にビタミンやミネラルを加えた高カロリー・高タンパクの栄養強化食品が配給されます。1袋1.5kgが1週間分で、ひと月に4袋が配られます。

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助産師さんに話を聞くと「子ども達の栄養状態が改善され良い結果を得られています」と話してくれ、お母さんも「講習はとても役に立ちます」と伝えてくれました。

またムラティブ地域のカチレイマドゥ診療所でも低体重など栄養不良の子ども達が多くいました。4人の子のうち一番下の3歳の子が低体重というお母さんに話を聞くと、「熱が出たり病気になると体重が落ちてしまうこともあり心配ですが、スーパーシリアルプラスをもらって100gずつ体重が増えています」と支援の効果が見られていることを語ってくれました。なお出産時やその後の子どもの栄養状態は妊娠中の母親の栄養状態が大きく影響しています。そのためこの診療所では妊娠および授乳6カ月までの母親への栄養強化食品の提供も実施して、子ども達が健康に育つよう後押ししています。

国連WFPは今後もスリランカ国内の6カ月~5歳未満の乳幼児57,000人と妊娠・授乳中の母親33,000人を対象とした食糧支援や栄養教育を続け、栄養不良を改善することを目指します。