ミャンマー:沼田幹夫・日本国特命全権大使がラカイン州の活動現場を視察
2014年1月、沼田幹夫・駐ミャンマー日本国特命全権大使が国連WFP、国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)及び国連開発計画(UNDP)の現地代表と共に、ミャンマー北西部に位置するラカイン州のシトウェを訪れました。
日本政府はこれら3つの国連機関に対し、ミャンマー国境付近の少数民族地域に対する支援として、2013年3月に合計39億円を拠出しました(平成24年度国際機関経由コミュニティ開発無償資金協力案件)。国連WFPはそのうち20億円の支援を受け、ほぼ6割がラカイン州の国内避難民への食糧支援にあてられました。今回の視察は昨年の日本の支援の成果を確認するために行なわれたものです。
ラカイン州には、2012年6月と10月に起きた仏教徒とイスラム教徒のコミュニティ間での暴動の結果、家を追われ、財産を失い、人道支援を必要とする国内避難民が約14万人います。同州はミャンマーの中でも2番目に貧しい地域とされており、州の人口の約半数が貧困線以下の生活をおくっています。また、慢性的に栄養状況も悪く、国連WFPは栄養強化を活動の大きな柱としています。
国連WFPは暴動が勃発した直後から国内避難民に対し緊急食糧支援を行なっており、毎月、米、豆、食用油、塩を配布しています。また、栄養不良を防ぐため、5歳未満の子供と妊婦及び授乳中の女性に対しては、ソヤブレンドという栄養強化食品(米もしくは麦と大豆の粉にビタミン、ミネラル、食用油、砂糖などを加えたもの)を毎月配給しています。国連WFPは食用油以外、ミャンマー国内で食糧を調達しており、現地の経済にも大きく貢献しています。
2泊3日の視察期間中、沼田大使はシトウェ市内のセットヨーチャキャンプ、シトウェ郊外のボードゥパーキャンプ及びパオトウタウンシップにあるスィンテットマーキャンプを訪れたほか、国連WFPの食糧倉庫も視察しました。各キャンプにおいて大使は避難民たちと直接交流し、「非常に困難な状況の中で生活しているにも関わらず、特に女性たちが力強く生きておられる姿に心が動かされました」と語りました。
最終日にはラカイン州政府関係者との会談も行なわれ、その中で大使はラカイン州における国連機関への活動を今後も支援していく意向を示しました。また、大使は同国政府に対し、長期的な国内避難民の問題解決の道筋を明らかにすることの必要性、現地の状況等に関する透明性、ならびに情報開示の重要性を伝えました。
国連WFPミャンマー事務所代表ドム・スカルペリは、「国連WFPのミャンマーにおける活動を支援している各国政府の中でも、日本は第1位の拠出国です。日本政府の寛大なご支援のおかげで多くの人々に食糧を届けることが出来ています。日本の皆様には大変感謝しており、今後も一層日本との連携を強化していきたい」と述べました。