カンボジア:洪水被害を受けた障害を持つ人々に対する国連WFPの支援
国際障害者デーに、カンボジアで過去10年間で最悪の洪水被害を受けた最も弱い立場に置かれた人々に目を向けてみましょう。
シム・トゥオンさん(62歳)は、苦難と逆境を乗り越えて人生の大半を過ごしてきました。若い頃、彼は地雷を踏んで両足を失いました。約50年前のカンボジアの内戦の負の遺産です。

長年にわたり、彼は農民としての生活を築くために一所懸命に働いてきました。彼の畑で生産される米、トウモロコシ、サトウキビ、果物などの農産物は、彼と彼の家族(妻のヴェン・ソクさんと二人の娘)の生活を支えるのに十分なものでした。
しかし今年は、稲刈りまであと数日というところで、カンボジア西部の彼の村を洪水が襲い、すべてが失われてしまいました。
「雨は10月初旬に始まり、月の半ばまでに水位は急速に上昇しました」とシムさんは言います。「私たちはどこにも行けませんでした。道路が水没し、市場が閉鎖され、その月の残りの期間は閉鎖されたままだったため、仕事に行くことができませんでした。」
この集中豪雨は、カンボジアが10年以上にわたって経験した中で最悪の洪水被害を引き起こしました。国の25県のうち14県の数十万の家族が影響を受けました。その中で、プルサット県の被害は最悪なものとなりました。

「それは私たちにとってとても困難なことでした。私も両足に障害があり、糖尿病を患っています」とシムさんの妻のヴェン・ソクさんは話します。「作物は私たちの唯一の希望でした。あと3、4日で収穫できるはずでしたが、今ではすべてがなくなってしまいました」。
国連WFPは、カンボジアの国家災害管理委員会(NCDM)と協力し、USAIDの資金提供を受けて、支援を必要としている家族に緊急食料支援を行ってきました。
シムさんとヴェンさんの家族は、政府、国連機関、国際NGOが実施した共同評価を受け、国連WFPの支援を受けている2,560世帯のうちの1世帯です。

国連WFPの食料配給チームの一員であるチア・チャン・モニロスは話します。「プルサットは深刻な被害を受け、約2万世帯が緊急支援を必要としています」。
「この県の多くの人々はすでに非常に貧しい状況にあります。さらに、この県に来る救援物資は限られています。高齢の障害者等、緊急に支援を必要としている家族に、米50キロと魚の缶詰5缶の食料支援が割り当てられています。」

先週、国連WFPの取材で現地を訪れたフリーランスの写真家セザール・ロペス・バランさんは、家族が直面する苦難を目の当たりにしました。
「農地や道路の大部分は、まだ雨水の残水で埋め尽くされています。一部の人たちは土地をすべて失い、もはや自分たちで食べていくことができなくなっています。人々は、何とか鶏を生き長らえさせようと、手に入れた米の一部を鶏に与えています。生計の面でも家畜の面でも、彼らに残されたものはほとんどないのです。」
家屋や所持品の喪失に加えて、2,000 kmにおよぶ道路が被害を受け、全国で33万ヘクタール以上の農地が荒廃しました。

6月以降、大雨と洪水により、極東から南東アジア、南アジアに至るアジア全域で大混乱が発生しました。最も災害を受けやすい地域であるアジアは、気候変動の結果、今後数年間でより多くの異常気象に見舞われる可能性があります。
シムさんにとって、壊滅的な損失から立ち直るすべを模索する中、米と魚の缶詰は、彼自身と彼の家族を救うものでした。彼は種子、肥料、農具の代金を支払うためにローンを組んでおり、収穫から得られる収入を頼りにしていました。
「借金の返済は大変ですが、利息が低いのでうれしいです。必要に応じて物を売らなければならないでしょう。何があっても、立ち止まることはできません。前へ進むしかないのです」と彼は言います。