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栄養不良で体重が9kgに満たない4歳児、襲撃で母を殺され、母乳を飲めなくなった赤ちゃん…。 紛争によって荒廃したコンゴ民主共和国のカサイ地区では、40万人の子どもたちの命が脅かされています。十分な資金援助がなければ、深刻な飢きんへと進みかねません。
4歳のムランバ・ルサンゾの体重は、8.8kg(政府統計によると、日本の4歳児の平均体重は16kg強)。
カサイ地区にあるツィカパの栄養センターで、国連WFPによる栄養強化サプリメントの提供が2周期目を迎えたところです。 中度の急性栄養不良で体の成長は遅れており、将来的に知能の発達が妨げられる恐れもあります。
生き延びるため盗み食いも
ムランバの母親、ウィヴィンは6カ月前、住んでいた村を襲撃されました。3人の息子を連れて逃げましたが、夫とは連絡が取れなくなりました。 一家はブッシュを14日間歩き続け、ツィカパにあるおばの家にたどり着きました。 避難中は飢えに苦しみ、畑から芋の一種であるキャッサバを盗み食いして命をつなぎました。 おばの家は6人の子どもを抱えており、ウィヴィン一家は避難後も、やっとのことで生き延びている状態です。
資金不足で治療受けられず
ムブンマ(13歳)と妹のマンバ(2歳)は、家の庭で友だちと遊んでいた時に突然襲撃を受け、両親は殺されてしまいました。 2人は友だちと3日間歩き続け、ツィカパの教会に避難しました。近所の人や教会の信者から、わずかばかりの食べ物を分けてもらいました。
マンバは重度の急性栄養不良の治療を受けましたが、完全に回復したとは言えず、今も中度の栄養不良に苦しんでいます。しかし、これ以上の処置を受けることはできません。 栄養センターは10月中旬以降、定員の64人をはるかに超える患者を受け入れていますが、それでも100人あまりが待機中です。 新たな資金が拠出されない限り、マンバもこれ以上、栄養支援を受けるのは難しい状況です。
ンガルラ(11歳)と妹のマロー(1歳)は深刻な栄養不良で治療を受けています。マローは眠っているように見えますが、これは急性栄養不良の患者によく見られる無気力状態です。
ノルバートの足はひどくむくみ、腕の細さは測るまでもなく、重度の急性栄養不良であることを物語っています。
母射殺、乳飲み子栄養不良に
ンゴンゴと彼の一家は、襲撃を受けて集落を逃れてきました。妻は射殺され、ンゴンゴは1歳半の娘、カピンガを連れて逃げるのがやっとでした。4カ月前にツィカパに来て、教会の避難所に助けを求めました。
母乳を飲んでいたカピンガは急激にやせ衰え、センターで治療中です。ンゴンゴ自身は、物乞いをして生き延びています。
カサイ地域で家を失い、避難している76万人のほとんどは、ろくな食べ物もなく逃亡生活を送ってきました。避難民は作付けの時期を3回連続で逃しており、食糧生産が途絶えたことで、問題はさらに深刻化しています。
国連WFPのビーズリー事務局長は昨年10月、カサイと北キブ州を訪れ「罪のない女性と子どもたちに、紛争のつけを回すのはやめよう」と訴えました。 国連WFPは他の支援団体などとともに、カサイ地域への緊急支援を拡大、2018年には120万人に支援を届けようとしています。しかし子どもたちを救うには、18年5月までにさらに8,000万ドルが必要です。