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危機に直面しているアフリカの一部の地域で、国連WFPの学校給食が子どもたちとその家族にとって重要な生命線となっている

アフリカの各国政府が学校給食の10年間の歩みを祝福する中、より多くの子どもたちを参加させるための取り組みを推進しています。
, Sylvain Barral, Eulalia Berlanga, Amadou Dansalaou, Alaa Aboughrara, Clara Prip, Jerry Lemogo, Shelley Thakral and Lena von Zabern
WFP school meals have helped nurture a friendship between Jumayi Mahamat Djebure (above) and Sudanese refugee Mariam. WFP/Lena von Zabern
国連WFPの学校給食は、ジュマイ・マハマト・ジュブレさん(上)とスーダン難民マリアムさんの友情を育んできました。 WFP/Lena von Zabern

開け放たれた窓からサヘル地域特有の熱風と砂埃が吹き込む、チャド東部の村立ケルフィ小学校の教室では、17歳のジュマイ・マハマト・ジュブレさんが黒板に書かれた測定単位の学習に取り組んでいます。

学校のチャイムが鳴ると、生徒たちで一杯の教室から、年少者から順に飛び出し、湯気の立つコメとレンズ豆が盛られた皿に向かっていきます。この給食は、WFP国連世界食糧計画(国連WFP)の支援を受けています。この辺境の村出身のジュマイさんにとって、給食の時間は、スーダンでの残酷な紛争から国境を越えて逃れてきた難民である親友のマリアムさんに会える特別な機会でもあります。

「私たちは毎日顔を合わせていますが、私はよくマリアムに会いにキャンプに訪ねます。彼女は放課後に私の村を訪ねてくれます」と、鮮やかなピンクのヘッドスカーフとドレスを身にまとったジュマイさんは言います。

In Chad and other hungry places, WFP school meals can be the only ones children eat all day. WFP/Lena von Zabern
チャドやその他の飢餓に苦しむ地域では、国連WFPの学校給食が、子どもたちが一日で口にする唯一の食事となることがあります。 WFP/Lena von Zabern

この学校に通う3,000人のチャド人およびスーダン難民の生徒たちには、1つ共通点があります。それは、学校で提供される栄養価の高い給食は、生徒たちが一日で口にする唯一の食事となる場合もあるということです。紛争の余波、飢きん、異常気象、その他の緊急事態に苦しむ他のアフリカ諸国と同様に、ここでも国連WFPが支援する学校給食は不可欠です。給食は子どもたちを学校に呼び寄せ、高い退学率を改善し、すでに食料不安に苦しむ家庭の経済的負担を軽減するのに役立っています。

これらの教訓は、今週の3月1日に10周年を迎えるアフリカ学校給食の日に紹介されます。この日は、学校給食が、学習効果、食料安全保障、地域経済の向上に果たす役割の重要性を強調することを目的としています。過去2年間だけでも、アフリカにおける学校給食の対象児童数は30パーセント増加しており、2022年の6,600万人から2024年には8,700万人に増加しています。これは主にアフリカ各国政府からの資金提供によるもので、国連WFPは、多くの国々と協力して、各国の学校給食支援の強化に取り組んでいます。

しかし、最も被害の大きい地域では、資金不足、サプライチェーンの混乱、紛争などにより子どもたちは教育や学校給食の恩恵が受けられない状況が続いており、依然として取り残されています。実際、今年国連WFPの支援により学校給食の恩恵を受けると見込まれる、危機に瀕した世界中の国々の子どもたち2,100万人のうち、多くはアフリカに暮らしています。

Young students wash their hands before a WFP meal in northeastern DRC. In Africa and elsewhere, school feeding offers high-impact returns. WFP/Benjamin Anguandia
コンゴ民主共和国北東部で、国連WFPの給食の前に手を洗う生徒たち。アフリカやその他の地域では、学校給食は大きな効果をもたらします。 WFP/Benjamin Anguandia

学校給食が実施されているニジェール、リビア、コンゴ民主共和国、南スーダンなど、危機を乗り越えつつある国々、あるいは回復の途上にある国々では、学校給食は、子どもとその親を飢餓から守り、一連のショックから立ち直る手助けをしたり、アフリカの次世代に繁栄のチャンスを与え、持続可能な国家主導の学校給食支援の基盤を築いたりするなど、大きな成果をもたらしています。

「お腹がすいていないと、子どもは先生の話に集中できるので、学校に通い続けることができます」と、ケルフィ小学校でアラビア語を教えるスーダン人のマハマト・アダム・イドリスさんは言います。難民のマリアムさん同様、彼も戦争で荒廃した祖国から逃れてきました。「一緒にここにいると、強い絆が生まれます。」

紛争は破壊し、食料は立ち直らせる

ニジェール南東部の村、アワリディに住む13歳のサラマトゥ・マハマドゥさんは、ピンクのチョークを手に、地元の小学校の黒板に「紛争は世界を破壊する」と丁寧に書き込みます。12年前、武装した戦闘員の襲撃により、家族とともにナイジェリア北部の故郷からの避難を強いられたサラマトゥさんは、このことをよく理解しています。

最終的に家族は、ニジェール・ディファ州のアワリディに落ち着きました。ここでは、特に被害の大きい北部だけでなく、ニジェール国内の広範囲にわたって不安定な情勢から逃れてきた何千人もの人びとが暮らしています。昨年だけでも、ニジェール国内での武力衝突により、数百の学校が一時的に閉鎖を余儀なくされ、7万4000人もの子どもたちが教育を受けられなくなりました。

Salamatou Mahamadou (L) eats a WFP-supported school meal with friends. The food has greatly boosted attendance, her school's headmaster says. WFP/Amadou Dansalaou
国連WFPが支援する給食を友人たちと一緒に食べるサラマトゥ・マハマドゥさん(左)。給食のおかげで出席率が大幅に上がったと、彼女の学校の校長先生は言います。 WFP/Amadou Dansalaou

しかしサラマトゥさんはアラウィディ小学校に通えるようになりました。この学校は紛争で避難した子どもたちが町に流入した後、国連WFPの支援を受けた学校食堂を設置しました。そこでは生徒たちに1日2食の給食が提供され、「出席率が大幅に上昇した」とアラギ・ファナマニ校長は言います。

「この学校給食のおかげで、私は授業に集中でき、目標を達成することができそうです」と、現在4年生で、看護師になって「地域のケアに貢献したい」と夢見るサラマトゥさんは言います。

「朝食を食べない生徒が多く、さらにひどいことに、前日の夕食を食べずに学校に来る生徒もいます。」-コンゴ民主共和国のある学校の教頭先生

「娘を入学させたのは正しい選択でした。それが娘の進むべき道であり、娘は順調に成長しています」とサラマトゥさんの母親ゼイナブ・ウマーさんは言います。そして、学校給食を「神様からの恵み」と表現します。

危機に変化をもたらす

国連WFPの学校給食は、危機が最も深刻な地域で効果を上げています。2023年にリビアの港湾都市デルナを大洪水が襲い、数千人が死亡し、広範囲に渡って破壊が生じた際、国連WFPはリビア当局や現地パートナーと協力して市内の各地に給食センターを開設しました。現在、給食センターでは何百人もの生徒たちに栄養のある給食を提供し、彼らの立ち直りと継続的な教育の両方を支援しています。

WFP has been supporting flood affected children in Derna, Libya, like these young pupils. WFP/Yasmin Alfretis
国連WFPは、リビアのデルナで洪水の被害に遭った子どもたちを支援しています。 WFP/Yasmin Alfretis

「保護者からはすぐに好意的な反応があり、このプロジェクトを本当に支持し、協力してくれました。生徒たちは毎日食事を楽しみに学校に来るようになりました」とデルナの学校の校長先生は語ります。

「娘たちがおなかを空かせながら眠りにつくことを心配することなく、仕事に集中できるようになりました」南スーダンの農家ティエン・マロンさんは、学校に通う娘たちについてこう語ります。

東部で戦闘が激化するコンゴ民主共和国では、学校が閉鎖され、子どもたちは家を追われて仮設キャンプで暮らしています。国内の他の地域では、長年の不安定な状況から立ち直りつつあり、国連WFPの学校給食と持ち帰り用の食料が約20万人の子どもたちに届けられています。このプログラムでは、地域の農家、学校、家族に、食事を補うために野菜を自分で育てるよう奨励しています。

Students harvest cabbage in restive North Kivu, DRC, where many WFP-supported school meals programmes also encourage communities to grow vegetables to supplement their diets. WFP/Benjamin Anguandia
不安定な情勢が続くコンゴ民主共和国の北キブ州でキャベツを収穫する生徒たち。この地域では、国連WFPが支援する多くの学校給食支援の下、地域社会に野菜の栽培を奨励し、食生活を補うサポートを行っています。 WFP/Benjamin Anguandia

「生徒たちは学校で給食を食べることができ、放課後は友達と遊べるので、学校に来るのを楽しみにしています」と、暴力によりすでに深刻な飢餓がさらに深刻化した北キブ州北東部のムジャ小学校のディウドネ・ナクル・ミサティ校長は言います。「朝、朝食を食べない生徒も多くいます。さらに悪いことに、前の晩に夕食を食べずに学校に来る生徒もいます。」とミサティ校長は付け加えます。

南スーダンの北バハル・エル・ガザール州で、2024年の壊滅的な洪水と隣国スーダンからの戦争難民の流入の余波に対処しながら7人の子どもを育てる30歳の母親ティエン・マロンさんは、娘たちが学校で少なくとも1回は栄養のある食事を食べられることに安堵しています。

「娘たちがおなかを空かせながら眠りにつくことを心配することなく、仕事に集中できるようになりました」とマロンさんは言います。

Young pupils at class in Bahr el Ghazal state, South Sudan, which has welcomed hundreds of thousands of Sudanese refugees. Thanks to the WFP-supported food, parents know their kids will no longer go hungry at night. WFP/Eulalia Berlanga
南スーダンのバハル・エル・ガザール州では、数十万人の難民を受け入れています。国連WFPの給食支援のおかげで、親たちは子どもが夜におなかを空かせることのないことに安堵しています。 WFP/Eulalia Berlanga 

南スーダンと同様に、チャドは数十万人のスーダン紛争の生存者に加え、他国からの難民を受け入れ、世界で最も急速に拡大する難民危機を生み出しています。

深刻な干ばつと洪水、そして紛争による避難民の流入により、コミュニティ間の緊張が高まっています。ケルフィ小学校に通うジュマイさんとマリアムさんのように、異なる背景を持つ子どもたちを一緒に集める学校給食は、緊張を和らげるのに役立っています。

「私たちは同じ水を飲み、同じ食べ物を食べます」とケルフィ小学校のアデフ・ハッサン校長は言います。「私たちはみな一緒です。」

アフリカにおける国連WFPの学校給食支援は、ベルギー、カナダ、フランス、欧州連合、ドイツ(KfW)、日本、オランダ、スウェーデン、スイス、米国、末日聖徒イエス・キリスト教会などからの寄付により実施されています。

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