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女性に対する制約の中、飢えに苦しむアフガニスタンでパン屋が花開く

国連WFPの生活支援プロジェクトが、アフガニスタンの女性たちに逆境を乗り越えるチャンスを提供します
, Rana Deraz
Bibi Sharifa (second from R) and two of her sisters, along with her sister-in-law Khal Jan (L), who is part of their baking business. Photo: WFP/Rana Deraz
ビビ・シャリファさん(右から2番目)、彼女の2人の姉妹とパン作りビジネスに携わる義理の妹のカール・ジャンさん(左端)。 Photo: WFP/Rana Deraz 

夜明けとともに、近隣のモスクからの礼拝の呼びかけでビビ・シャリファさんと4人の姉妹は目を覚まします。彼女たちは、伝統的な平らなパンであるナンと香り高い緑茶で質素な朝食を共にします。それから、彼女たちは居間の真ん中にあるパン工房で仕事を始めます。

ほとんどの国では、このような光景は目新しいものではないかもしれません。しかし、この話の舞台はアフガニスタンです。この国では、女性は小学校以上の教育を受けることを禁じられており、労働力や社会生活 の大部分から排除される傾向が強まっています。しかし、シャリファさんと彼女の兄弟姉妹は、国連世界食糧計画(国連WFP)の支援と、地域の学校にパンを配達 する契約のおかげで、生き延びるだけでなく、事業で成功を収めています。

「以前は1日に200斤ほどのパンを焼いていましたが、売れるのはその半分だけでした。今では1日に2,000~3,000斤のパンを生産できます 」と、9人の子どもの母親であるシャリファさんは、急成長したビジネスを誇らしげに語ります。

Despite restrictions on women in Afghanistan, the Sharifa sisters have built a thriving business with WFP's support. Photo: WFP/Rana Deraz
アフガニスタンでの女性に対する規制の中、シャリファさん姉妹は国連WFPの支援を受けて盛況なビジネスを築き上げました。 Photo: WFP/Rana Deraz

2021年にタリバンがアフガニスタンで再び政権を握って以来、女性たちは社会の片隅 へと徐々に追いやられてきました。現在の規制により、女性は男性の付き添いなしに自由に外出することが困難になりました。しかし自宅で仕事をしているシャリファさんと姉妹たちは、こうした問題に直面することはありません。毎日、国連WFPの非政府パートナーが彼女たちのパンを受け取り、国連WFPが支援する地域の4つの小学校に配達しているからです。

この取り組みは、国連WFPがアフガニスタンの女性たちに幅広く支援している活動の一環で、彼女たちが生計を立てられるようになることを目的としています。その他の技能育成の取り組みには、裁縫、刺繍、バッグ作りなどがあります。また、家庭菜園や作物の貯蔵を支援する物資を提供し、市場へのアクセスを提供することで、女性たちが生産物をより良く販売できるよう支援しています。

「これらのプロジェクトは、アフガニスタンの女性たちに生計を立てる手段を与えるだけでなく、彼女たちが自分たちの生活について発言する力を与え、 家庭の枠を超えて外の世界とつながる貴重で安全な空間を創り出すものです」と、シャオウェイ・リー国連WFPアフガニスタン国事務所 代表は話します。

WFP projects like baking are helping Afghan women to earn incomes despite the challenges they face. Photo: WFP/Rana Deraz
パン製造などの国連WFPのプロジェクトは、アフガニスタンの女性たちが、直面する困難に負けず、収入を得ることを支援しています。Photo: WFP/Rana Deraz

 

朝日が昇るにつれ、姉妹たちはそれぞれの持ち場でテンポよく作業を進めていきます。明るいピンク色の壁紙やレースのカーテンがかもし出す家庭的な雰囲気を除けば、そこはまるで製造ラインのようです。熟練した手つきで、彼女たちはナッツやドライフルーツを折り込んだ生地をこね、おなかを空かせた2,000人を超える生徒たちのために栄養価の高いパンを作ります。

「学校の生徒たちを自分の子どものように感じています。生徒たちのために働けること、それが私の大きな喜びです」とシャリファさんは語ります。

目的意識

姉妹は、シャリファさんの夫が病気になる前に始めた家族経営の事業を引き継いだのでした。姉妹が事業を始めた当初は、友人や近所の人だけを対象にパンを焼いていました。 

当初、彼女らの収入はかろうじて生活できる程度で、わずかなものでした。その後、国連WFPが技術支援を行い、小麦粉を混ぜて生地を作るための設備補強や、学校からの需要の高まりに対応するための大型の伝統的なタンドール窯を提供しました。

Crusty naan bread out of the oven at the Sharifa sisters' bakery. Their output has soared thanks to a larger tandoor oven supplied by WFP. Photo: WFP/Rana Deraz
シャリファ姉妹のパン屋でオーブンから取り出されたカリカリのナン。国連WFPが提供した大型のタンドール窯のおかげで、生産量が急増しました。 Photo: WFP/Rana Deraz

現在、姉妹は合わせて、アフガニスタンの家庭の平均月収の約10倍を稼ぎ、大家族を楽に養えるほどの収入を得ています。「私たちはこの仕事に満足しています」と話すシャリファさんは、事業からの収入で質素な家を建てることができました。「このような機会がもっとあれば、私は喜んで働きます」

12歳で結婚したシャリファさんは学校に通ったことがありません。「パン作りが私の唯一のスキルです。そして私がずっと続けていくことです」と彼女は言います。

しかし、教育を受けた彼女の姉妹たちにとって、パン作りは当初の将来設計にはなかった選択肢でした。「私は看護師になりたかった」とシャリファさんの妹、22歳のシャフィカは言います。

A young girl studies at an Afghan primary school. Bibi Sharifa hopes her girls will get the education she missed. Photo: WFP/Rana Deraz
アフガニスタンの小学校で学ぶ少女。ビビ・シャリファさんは、自分の娘たちが、自分が受けることができなかった教育を受けられることを願っています。 Photo: WFP/Rana Deraz

それでも、パン作りは姉妹たちに目的意識を与えました。「この子どもたちは見知らぬ他人ではなく、私たちの隣人の子どもたちなのです」とシャリファさんは、彼女のパンを頬張る若い生徒たちについて語ります。「私たちが作ったパンが生徒たちの栄養源になっていると思うと、とても嬉しいです。生徒たちの家族は苦境に立たされているので、私たちが生徒たちのためにパンを作ることは、神様の思し召しなのです。」

彼女はアフガニスタンの次世代の女性たちに関してはもっと多くのことを期待しています。「娘たちには学校に行ってほしい」とシャリファさんは言います。「私はパン職人であることに誇りを持っていますが、娘たちにはそれ以上の選択肢を持ってほしいのです。」

アフガニスタンの女性を対象とした、国連WFPの収入創出プログラムは、オーストラリア、欧州連合、フランス、ドイツ、日本、韓国、英国、ビル&メリンダ・ゲイツ財団などの支援により実施されています。

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