アフガニスタン:厳しい冬を前に、地震から立ち直ろうとする被災者たち
地震に見舞われたアフガニスタンのナイブラフィ村の瓦礫の中で、女性が黒いショールにすすり泣き、その近くでは貴重な穀物を救い出そうと、岩だらけの瓦礫を掘り返している男性の姿がありました。
「見ての通り、私たちの持ち物はすべて埋もれてしまいました」と、10月7日の大地震で娘を亡くしたジバさんは言います。「掘り出すこともできません。私たちは自分の足で立つことさえできません。」
アフガニスタン西部のヘラート州を襲った強い地震により、少なくとも1400人が死亡し、村全体が崩壊しました。貧困に苦しむ同国の人びとの生活がさらに圧迫される中、危険な冬が迫りつつあります。
「この地域で暮らす人びとはやっとの思いで毎日の食事にありついています。このような危機が起こるたびに、再び困窮の極みに達してしまいます。」地震の発生後、被災した村を訪れた国連WFPアフガニスタン事務所広報官のフィリップ・クロプフは話します。
「今回の地震が起こる前から、アフガニスタンでは40年近く紛争が続いています」とクロプフは付け加えます。「深刻な食料不安、5年に渡る干ばつや、干ばつに近い状況 — そして2年前から始まった経済不況によって、多くの人びとが仕事や生活の手段を失っています。」
国連WFPは、最初の地震発生から数時間以内に緊急支援を開始し、ジバさんを含め3万4,000人近くの地震被災者に食料を届けました。
今後、3ヶ月から7ヶ月にかけて10万人以上の人びとに食料と現金の支援を提供し、被災者の生活再建を支援する長期的なレジリエンス構築プログラムを展開する計画です。しかしそうするためには、深刻な資金不足の中、資金繰りに苦しむ他の支援活動から資源を借りなければなりません。
すでに国連WFPは、アフガニスタンの最も脆弱な人びとが冬を乗り切るのに十分な食料を確保するために、緊急に4億米ドルを必要としています。10月の地震によって、支援を必要とする人びとがさらに増加しました。
「アフガニスタンの人口の3分の1に当たる1500万人が、次の食事のあてがないという時に、このような地震が起きてしまいました。しかし、国連WFPは今年、資金不足のため1000万人への食料支援を打ち切らざるを得ませんでした。」クロプフは話します。
ジバさんは自宅となったテントの中で、最初の地震が発生した後、急いで家に駆け戻ったことを思い出します。彼女は幸運にも、当時は外に出かけていました。
「倒壊した家の壁の下敷きになった娘たちを見ました」と彼女は話します。1人は足を骨折していました。もう1人は地震で亡くなってしまい、子どもたちは祖母のジバさんに託されました。
「私は赤ちゃんと一晩中起きていました」とジバさんはミルクが足りずに泣いていた末っ子のことを話します。
「すべてを失ってしまった」
人道支援機関によると、今回の地震による死者の大半は女性と子どもでした。また、多くの家畜が犠牲になり、自給自足の農業や牧畜で生計を立てている人びとにさらなる打撃を与えました。
地震で被災した村々を訪れた国連WFPの職員は、掘られたばかりの墓の列を目にしました。悲しみに打ちひしがれた青年が職員を自宅の瓦礫まで案内しました。地震で家族7人が亡くなったといいます。
1人の羊飼いが2頭の羊が埋もれてしまった瓦礫の山の近くに座っていました。彼は家畜をすべて失ってしまいましたが、それを嘆き悲しむ時間も、生活するためのテントを手に入れる時間もなかったと話します。亡くなった家族を掘り起こし、負傷した家族を病院に連れて行くので精一杯でした。
「私たちにはもう、何も残されていません」と1人の女性は哀しみました。
国連WFPの緊急援助食料は、いくらかの慰めになります。支援内容には栄養強化ビスケット、栄養強化小麦粉、植物油、豆類や塩などが含まれています。
必要な資金を確保できる限り、国連WFPは食料配給を数カ月間続けることを目標としています。これは、アフガニスタンの厳しい冬を最も貧しい家族が乗り切るのに十分な量となります。
新たな資金があれば、国連WFPは長期的なレジリエンス構築プログラムを展開することも可能です。レジリエンスプログラムを通して、灌漑用水路の建設や家庭菜園を作るための研修などを実施することができます。参加するコミュニティには現金が支給され、地震被災者の立ち直りを支援できます。
しかし、十分な資金が確保できなければ、被災者の中には冬を越せない人びともいます。 「非常につらい生活になるでしょう」とクロプフは話します。「彼らはすべてを失ってしまいました。」
前向きな気持ちを持てる人びとは、希望を頼りに生きています。
「私たちが家を建て直します」とジバさんは言います。「誰も助けてくれなければ、自分たちの力で建て直すしかないのです。」