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洪水よりも早く二次災害を防ぐ バングラデシュから

国連WFPと国連中央緊急対応基金(CERF)は次なる気候変動に備えられるよう予測を活用しています
, WFP日本_レポート
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バングラデシュ北部で発生した洪水の中で、家畜の食料を回収するアブドゥス。Photo: WFP/Sayed Asif Mahmud

バングラデシュ北部では、アブドゥス・サマド・サルカーが洪水の中を泳ぎ、必死に家畜の食料を回収しようとしています。 アブドゥスと彼の家族は、世界最大の河川の1つであるブラマプトラ川の近くに住んでいます。

国中が新型コロナウイルスの拡大と戦っている中、さらに何百万もの人々が家や生計を脅かす洪水にも直面しています。ブラフマプトラ川とその周辺の河川網は、重要な自然の水源として欠かすことのできないものですが、モンスーンの期間には水が堤防を破り、低地の国土の大部分を浸水させるという脅威をもたらします。

アブドゥスの家は腰の高さまで浸水し、彼の所持品の多くが水に浸かってしまいました。

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水没した家の外に立つアブドゥス。 家族は水が引くのを待つ間、船で寝泊まりします。Photo: WFP/Sayed Asif Mahmud

地震など自然災害に起因する災害は予測がほぼ不可能ですが、洪水などの異常気象は、データ収集と気象予報システムの進歩により、比較的簡単に予測できます。

国連WFPと国際赤十字・赤新月社連盟(IFRC)は、強固な気象予報システムを利用して、洪水が発生する前でも人道支援のための資金を拠出できるように開発した革新的なメカニズム(「予測ベースの資金調達」(FbF)と名付けられています)をバングラデシュで活用しました。その目的は、次の災害が起こる前に、地域社会の人々が自分自身を守るための準備ができるように、より早く、より力強くサポートを提供することにあります。

最先端の早期警告システムとタイムリーな現金給付により、アブドゥスは洪水が沈静化するのを待つ間、彼の主な収入源である家畜をより高い場所に移すことができました。

「日中は隣人の家で過ごしますが、夜はボートで寝ます。」と彼は言います。「私は78歳で、就職の見込みがありませんので、このお金のおかげで家族を養うことができます。」

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バングラデシュでは、新型コロナウイルスの増加に直面する一方、何百万もの人々が洪水の被害も受けています。 Photo: WFP/Sayed Asif Mahmud

バングラデシュにおける予測プログラムは、国連中央緊急対応基金(CERF)が今年主導する1億4,000万ドルの「予期的人道行動」プロジェクトを通じて拡大されました。国連WFPはこの取り組みの主要なパートナーであり、その技術的な専門知識を提供してパイロット・プロジェクトを実施し、世界各地の様々な場面で「予期的行動」アプローチを拡大しています。

アブドゥスのような家族には洪水が発生する前に現金を支給し、洪水が彼らの生活や家、生計に与える影響に備えるための時間と資源を確保するという考えです。

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洪水が発生する前に現金を給付することで、家族が事前に準備をし、早期に回復を図ることができます。 Photo: WFP/Sayed Asif Mahmud

CERFは、7月4日に発表された「今月中旬までに5つの脆弱な地域で大規模な洪水が発生する」という予測に基づき、史上初となる予期的人道支援資金を直ちに拠出しました。

総額520万ドルのうち、国連WFPは425万ドルを受け取り、ブラマプトラ川の水位が危険なレベルに上昇して大惨事になる4日前に、14万5千人の人々に携帯電話を使った現金送金で支援を行いました。

国連食糧農業機関(FAO)と国連人口基金もまた、家畜の飼料や貯蔵ドラム缶などの貴重な農業資産をもつ被害農家の支援に、それぞれ約50万ドルを受け取りました。

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浸水した家の中に立つロウシャン・アラの子どもたち。この家族が洪水の影響を受けたのは今年2回目です。 Photo: WFP/Sayed Asif Mahmud

弱い立場に置かれた女性や少女たちには衛生・健康キットが提供されました。

ロウシャン・アラは、53米ドルの現金支払いを受けた人々の1人でした。 それは大した金額ではないかもしれませんが、平均日給が1日5米ドル未満の地域では、大きな意味のあるものでした。

ロウシャンと彼女の家族は、モンスーンの早い時期に洪水の壊滅的な被害を受け、土地を失ってしまいました。その後新しい土地を見つけ、3年間の賃貸契約を結びましたが、現在彼らの新しい土地も完全に水没してしまいました。

この送金により、家族は食糧や医薬品などの必要な物資を購入し、家を強化し、資産を保護し、より安全な場所に移動することで、迫りくる困難な状況に備えることができます。

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洪水の被害が和らぐまでの間、ロウシャン・アラは給付金により家族の安全を手に入れ、十分な食事を与えることができます。Photo: WFP/Sayed Asif Mahmud

また予期的支援は、彼らがより早く再建を始めることを可能とし、彼らの回復を支援するもので、長期的に彼らの生活に大きな変化をもたらすのです。

「このお金は、この洪水を乗り切るのに非常に役立ちます。」ロウシャンは語ります。「もし洪水が去った後にお金が残っていたら、そのお金を使って家を高く建てて、次の災害の被害が少なくなればいいと思います。」

予期的行動は、今回のような急速に変化する気候や、その他のリスクが組み合わされ複合災害を形成する状況に効果的に対応することが可能であり、各人道支援団体が採用すべき新しいモデルの中核要素です。

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vバングラデシュでは洪水が毎年発生しており、人々が災害への備えをするための支援である予期的行動がこれまで以上に重要になっています。 Photo: WFP/Sayed Asif Mahmud

「このプログラムは、気候リスクを管理するための非常に革新的なアプローチです」と国連WFPバングラデシュ事務所代表リチャード・レーガンは言います。「科学、特に天気予報や洪水データを利用することで、人々を危険から遠ざけることができます。私たちは、新型コロナウイルスに加えて、これらの大洪水の複合的な被害に苦しむ人々に、タイムリーな現金給付を行うことができました。」

国連WFPとそのパートナーは、予期的行動を通じて、開発の利益を守りつつ、より迅速で効率的な人道的対応を実現し、危機を未然に防ぐことを目指しています。

国連WFPはコックスバザールの85万人以上のロヒンギャ難民を含むバングラデシュの117万人を支援しています。国連WFPの予測に基づく資金調達プログラムは、韓国とドイツによって資金提供されています。予期的人道パイロット・プロジェクトは、CERFの資金提供を受けています。