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バヌアツ緊急支援の現場から

バヌアツ緊急支援の現場から
, WFP日本_レポート

3月13日、バヌアツを大型サイクロンが襲い、人口の半分に当たる約17万人が被災しました。国連WFP日本事務所に勤務する中井恒二郎は急きょ、バヌアツでの緊急食糧支援に派遣され、活動を率いてきました。中井の手記と写真をお届けします。

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筆者(写真左)。タンナ島ラナワワ村で被災者と。©WFP

国連WFPバヌアツ食糧支援チーム長

中井恒二郎

2015年3月13日、南半球で史上最大級のサイクロン・パムがバヌアツ共和国に上陸し、83諸島のうち23の島々、人口の半分に当たる約17万人が被災しました。防災意識が高い国民性を反映して死者はわずか10数名に留まりましたが、主食のタロ芋、ヤム、キャッサバなどが、根こそぎサイクロンでさらわれました。3月18日にバヌアツ政府から支援要請を受けて、国連WFPは被災者の中でも特に食糧を必要としている約7万人を対象に食糧支援を開始。また政府に対する物流サポート、緊急通信事業も同時に開始しました。

4月上旬、私は食糧支援チーム長として、バヌアツ緊急チームに派遣されました。バヌアツでは、政府に災害対策本部が設置され、国連WFPは、政府に対する支援、政府との調整に重点をおきました。また、緊急食糧支援のスピードを早めるため、政府およびNGO団体と連携することにしました。国連WFPと連携したNGOは、ADRA、Samaritan's Purse, Save the Children, World Visionの4団体で、それぞれ島ごとに、食糧支援を手伝ってもらっています。

政府やNGOとの連携を決めた後、3月の緊急食糧支援第一弾に続いて、4月の第二弾を行うべく、16の島々で政府と協力して被災者登録を行い、村ごとに正確な被災者数を把握し、どこの港に荷卸しして、どうやって村まで運ぶか(トラックか、ボートか)、物流の計画を立て、4月23日から第二弾の食糧配給を始めました。配給食糧は、米、魚缶、インスタントヌードルの三点セットです。

4月下旬、バヌアツ最大の被災地タンナ島を訪れました。活動中のヤスール火山で有名な観光地ですが、サイクロン後は、人口4万人を擁する最大の被災地となってしまっていました。山道には、ところどころ倒木があり、中には直径5メートルはありそうな巨木までが倒れていて、サイクロンのすさまじさを感じさせられました。

バヌアツの人たちは陽気です。車で道を走っていると、老若男女問わず、みんな声をかけてきたり、手を振ったりしてきます。実際に話してみると、作物が根こそぎ奪われたり、家が破壊されたり、被災者としてそれぞれ大変な状況にあるはずなのに、そうした大変さはあまり見せずに、外国から来た我々のことを温かく迎え入れて、気遣ってくれています。

自然災害に負けない、この陽気な国民性があれば、サイクロン・パムの被害からも、きっとすぐに立ち直るに違いない。そう信じながら、被災者や政府の支援に日々あたっています。

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タンナ島の山道。サイクロンの影響で木々が倒れてて通行が難しい ©WFP/Kojiro Nakai
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おなかがすいているのか、ずっと草を噛んでいた子ども。 ©WFP/Kojiro Nakai
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国連WFPの食糧には本当に助かっている、と言うお母さん。タンナ島イマキ村で。 ©WFP/Kojiro Nakai