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国連WFPサポーターEXILEのÜSAさん、TICAD7を前にウガンダ視察―学校給食など

国連WFPサポーターのEXILEのÜSAさんは、6月中旬から下旬にかけて国連WFPの活動の視察のため、約1週間アフリカのウガンダを訪れました。滞在中は、学校給食や小規模農家支援、難民への食料支援、母子栄養支援など国連WFPの様々な活動を視察しました。また訪問先々では国連WFPの支…
, WFP日本_レポート

国連WFPとウガンダ

東アフリカに位置するウガンダは、「アフリカの真珠」と呼ばれ豊かで美しい自然にあふれた国です。その一方、人間開発指数は189カ国中162位、人口の41%が栄養不良の状況にあります。国連WFPは同国で子ども、女性、難民など約150万人に対して食料支援を行っています。

学校訪問:ダンスと歌で出迎え

ÜSAさんがまず最初に訪れたのはウガンダの首都カンパラから約500キロ北東部にあるカラモジャ地域。もともと遊牧民が暮らしていた地域で、同国内で最も発展から取り残され、今でも栄養不良に苦しむ人々が多く暮らす地域です。また、児童婚が慣習的に根強く残る地域でもあり、少女たちは10代前半で結婚することも多くあります。子どもたちの栄養不良を示す指標の1つである5歳以下の発育阻害率も35%と非常に高く、国連WFPが重点的に支援する地域の1つとなっています。

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写真:ナマル小学校で生徒たちにおかゆの給食を配るÜSAさん。©WFP/Kiyori Ueno

ÜSAさんが訪れたナマル小学校では、日本からの訪問者に大はしゃぎの子どもたちが学校の入り口で列になりダンスと歌で出迎えてくれました。その後、早速校庭へ。調理室で用意されていた大きな鍋に入った出来立てのおかゆを子どもたち一人ひとりに配膳し、教室で一緒に食べました。

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写真:ナマル小学校で提供されるおかゆの給食。材料のトウモロコシの粉などは国連WPPが支援しています。©WFP/Kiyori Ueno

同校は全校で1100人。給食後には、そのうち数百人の生徒たちが集まり、ÜSAさんにカラモジャ地域の狩猟の踊りを披露。ÜSAさんも誘われて一緒に踊りました。

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写真:ÜSAさんが訪れたナマル小学校。給食後には生徒たちがÜSAさんと一緒に踊ろうと集まってきました。©WFP/Kiyori Ueno
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写真:ÜSAさんに地元の踊りを教えるナマル小学校の生徒たち。©WFP/Kiyori Ueno
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写真:今度は生徒たちに踊りを教えるÜSAさん。目を輝かせてÜSAさんに見入る子どもたち。©WFP/Kiyori Ueno

学校給食

カラモジャ地域では、国連WFPは全ての小・中学校に通う約13万人の子どもたちに朝とランチタイムの2回、トウモロコシの粉あるいは豆類を粉にして水で溶かし、植物油を足して作るおかゆの給食を提供しています。同地域では貧しいがゆえに朝食を食べることができない子どもたちが多く、学校給食は家庭だけでは足りない栄養を補てんする役目を果たし、給食でお腹を満たされた子どもたちは授業に集中することができるようになります。また、親は学校給食をきっかけに学校に通わせることも多く、子どもたちは学校に通い続け学業を終えて仕事に就き、結果として貧困の連鎖から脱出できるようになります。

学校の視察後、ÜSAさんは同校に通う小学6年生のロコル・フロレンスさん(14)の家を訪れました。ロコルさんはきょうだい7人と両親の10人家族で暮らしています。父のマリコさん(61)は家族が食べるためのモロコシを育て、時折炭を焼いて現金収入を得ています。家はとても簡素で土の上に泥を固めた壁に茅葺き屋根。この地域の典型的な家です。

ロコルさんは朝、朝食を食べることなく学校に行きます。夜も現地でポショと呼ばれるトウモロコシの粉を引いたものを原材料にした主食と野菜を少し食べる程度。学校給食が栄養面でとても重要な役割を果たしています。また、毎日川で水を汲み、洗濯や食器洗いをするのもロコルさんの仕事です。

ロコルさんの父マリコさんは4年生まで学校に通いましたが、家庭が貧しかったためにそれ以上学校に通うことを許されませんでした。母のヴェロニカさん(53)は学校に通ったのは1年生までです。その結果、父はカラモジャ地域で話される言葉の読み書きはできますが、母親は全くできません。ロコルさんはカラモジャ語だけでなく、英語の読み書きも簡単にできます。

ÜSAさんが「将来の夢は何ですか?」と尋ねると、ロコルさんは少しはにかみながら「大学に行って看護師になりたい」と答えました。父のマリコさんも「自分の親は教育が大切だということを知らなかったが自分は分かっている。娘には学校を終えて仕事について、家族とコミュニティーを支えてもらいたい」と話していました。

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写真:ロコルさんの家族と親族。ロコルさんはÜSAさんの背後の紫色の制服を着ている少女。皆同じ敷地に暮らしている。©WFP/Kiyori Ueno

難民支援の視察:

カラモジャ地域視察後に6人乗りの小型機を使って訪れたのはウガンダ北西部の西ナイルとアチョリ地域。南スーダン国境に近いこの地域には紛争を逃れてウガンダに来た南スーダン難民が暮らしています。ウガンダ政府は難民に対して寛大で、難民と地元住民とを区別することなく両者が一緒に暮らす「居住区」を設けています。国連WFPはこの南スーダン難民60万人に対し緊急の食料支援、母子栄養支援、長期にわたって自立を促す支援を行っています。

ÜSAさんにとり、難民に会い彼らの生活に触れるのはは初めて。今回は難民が暮らす居住区を訪れ実際の生活を視察するとともに、難民に対して国連WFPが行っている食料・現金支援の現場を視察し、難民のグループと対話をする機会がありました。

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写真:国連WFPの食料・現金支援の順番を待つ南スーダン難民の女性たち。©WFP/Kiyori Ueno

南スーダンでの紛争の激化により2014年にウガンダに逃れてきた難民の女性はÜSAさんに対して親戚が殺されたこと、1週間かけてこの地まで歩いて来たことを語りました。

難民たちと対話をしたÜSAさんは「皆さん、自分の国を離れてここで暮らしている。大変な状況にあるということがよく分かりました。僕としては、国連WFPのサポーターとして日本に、世界に皆さんの状況を伝え、支援の輪を広げていきたい」と話しました。

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写真:南スーダン難民の子どもたちが通うアリワラ小学校の生徒たちに踊りを披露するÜSAさん。©WFP/Kiyori Ueno

ÜSAさんが視察最後に訪れたのは、難民居住区にあるアリワラ小学校。ここでÜSAさんが昨年国連WFPの最初の視察として訪れたホンジュラスで考案した「おいしいダンス」を子どもたちや先生たちに披露し、みんなで一緒に踊りました。

「ダンスは人種や民族が異なっても通じる世界共通の『言語』だと思っています。踊りを通じて、飢餓ゼロの世界の実現に向けて貢献していきたい」。ÜSAさんはウガンダ視察の最後にそう話しました。